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日系金融機関のアプリ普及はアジア主要国で最も低調 規制・現金文化が要因か【App Annie調査】

2017/05/22 12:30

 App Annieはアジア太平洋地域ファイナンスアプリレポートを発表した。国別にセッション数やダウンロード数を見ると、日本は他国と比べファイナンスアプリ、特に金融機関が提供するアプリの普及が進んでいない実態が明らかになった。

 アプリ市場データを提供するApp Annieはアジア太平洋地域ファイナンスアプリレポートを発表した。本レポートは、日本、オーストラリア、中国、韓国など、アジア太平洋地域の中でも最も影響力のある国を中心に、金融機関の提供するアプリとフィンテックアプリの成長についての最新動向を調査・分析したもの。

 世界的にモバイルアプリを通じた金融サービスの利用が進み、ファイナンスアプリの総セッション数は2014年から2016年にかけての2年間で2倍以上の増加を記録した。

 この成長を牽引するのはアジア太平洋地域で、2016年の同地域におけるファイナンスアプリのセッション数は1,100億回にも上る。モバイルアプリは個人間送金から資産運用・投資に至るまで、消費者に対して高い利便性を提供することが可能で、伝統的な金融機関にとっても成長のチャンスとなっている。

 国別にセッション数やダウンロード数を見ると、日本は他国と比べファイナンスアプリ、特に金融機関が提供するアプリの普及が進んでいないことが明らかになった。ただ、2017年3月に国会に提出された銀行法改正案でAPIのオープン化が銀行の努力義務として課されるなど環境整備は進みつつあり、今後市場のさらなる成長が期待される。

サマリー
  • ファイナンスアプリの合計セッション数:アジア太平洋地域は2年間で112%増加
  • アプリMAUランキング:金融機関では楽天カード、フィンテックではマネーフォワード首位
  • ユーザーあたりセッション数:日本はフィンテック企業が優勢、金融機関系アプリの2.3倍
  • 金融機関アプリのセッション数年次推移:韓国が驚異的な成長、日本のセッション数は低調
  • 金融機関アプリのセッション数推移(月間平均):日本は豪・韓の半数以下
  • 中国のモバイルファイナンスは「WeChat」「AliPay」による寡占が進む

ファイナンスアプリの合計セッション数:アジア太平洋地域は2年間で112%増

 今回調査を行ったすべての地域において、ファイナンスアプリの合計セッション数は2014年から2016年にかけての過去2年間で100%以上増加し、1,100億回を超えた。

 世界的にモバイルプラットフォーム上の銀行取引は増えつつあり、アプリが銀行取引における顧客体験の中心になりつつある。また、旧来の金融機関は、ウェブやアプリに軸を置く革新的なフィンテック新興勢力との競争激化に直面している。

 「ファイナンス」カテゴリーのダウンロード数増加率は、全カテゴリー平均の増加率を上回っている。日本ではファイナンスカテゴリーのアプリダウンロード数が、全カテゴリー合計に比べて5.3倍の増加となった。

MAUランキング:金融機関アプリでは楽天カードが、フィンテックではマネーフォワードが首位

 本レポートでは、金融機関の提供するアプリとフィンテックアプリの月間アクティブユーザー数ランキングが発表された。

 金融機関アプリのランキングでは楽天カードが首位に立ったが、メガバンク系のアプリもすべてランクインし、三菱東京UFJ銀行アプリがリードする結果になった。フィンテック系を見ると、日本では口座管理と個人支出管理系のアプリがランキング上位を占め、マネーフォワードがトップにランクインした。

ユーザーあたりセッション数:日本はフィンテック企業が優勢、金融機関系アプリに比べ2.3倍

 日本ではユーザーあたりセッション数でフィンテックアプリが金融機関提供のアプリを上回り、両者の間には2.3倍の差が開いた。一方、オーストラリアと韓国では、金融機関のアプリがエンゲージメントのリードを維持している。

金融機関アプリのセッション数年次推移:韓国が驚異的な成長、日本のセッション数は低調

 日本、オーストラリア、韓国では、上位10位以内の金融機関アプリのセッション数が、2014年から2016年にかけて2倍以上に増加した。

 韓国のセッション数はオーストラリアの4倍近くあるが、韓国の金融機関は機能別にアプリを提供する傾向にあるため、ユーザーあたりのエンゲージメントが高くなり、結果として合計セッション数が増えた可能性が考えられる。

 日本は対照的に現金文化がいまだ根強く、また銀行の支店網と商取引の仕組みが確立しているため、金融機関アプリのエンゲージメントは先の2ヶ国に比べて低調。しかし、日本で新たに導入されるオープンバンキングAPIは、既存事業者間の競争を刺激し、また金融サービス企業が既存の金融・銀行サービスを統合し拡大する機会を増やすものと見込まれる。

金融機関アプリのセッション数推移(月間平均):日本は豪・韓の半数以下

 どの国でも金融機関アプリのユーザーあたりの月間セッション数が安定し、アプリを通じた金融サービスの習慣が定着していることがわかる。

 オーストラリアでは、モバイルアプリがオンラインバンキングの利用を上回り、銀行取引のスタンダードになった。すべての金融サービスをひとつのアプリに束ねるオーストラリアのアプローチは、ユーザーあたりのエンゲージメントの向上に寄与している可能性がある。

中国のモバイルファイナンスは「WeChat」「AliPay」による寡占が進む

 Tencentが運営する「WeChat Pay」と、Alibabaが運営する「AliPay」は中国におけるモバイル決済の主要プラットフォームで、その普及率は中国におけるトップ5バンキングアプリ平均の約7倍にも及ぶ。彼らの成功は、いかに金融業界以外のテクノロジープレーヤーが金融業界にとって大きな脅威となりうるかを示している。

 Tencentは2013年、中国1位のメッセージングプラットフォームであるWeChatに決済サービスを組み込み、大きな成功を収めている。同社は2016年第4四半期の決算報告で、中国におけるWeChatのアクティブユーザーの約67%が同アプリの決済サービスであるWeChat Payを継続的に利用していることを発表している。

 現在WeChat Payと肩を並べているのが、中国で最も確立されたオンライン決済プラットフォームであるAliPayだ。AliPayは中国有数のeコマースエコシステムであるAlibabaの重要サービス。Alibabaは、オンラインショッピングのプラットフォームTaobaoを運営しており、そのモバイルアプリは2016年にMAUで1位になっている。

 Alibabaは2014年、決済サービスの枠を越える展開に踏み切った。同社は金融サービス部門をAnt Financialとリブランドし、資産管理や保険から、小規模企業と個人消費者向けのマイクロローンまで、多岐にわたる金融サービスを提供している。

モバイルファイナンスの今後

 多くの新規サービスの誕生で金融業界は変化しつつある。銀行はこれまでに培ってきた顧客基盤による優位性を維持するために、新技術の導入、投資、さらにはフィンテック企業との提携などを通じて変化に対応していくことが重要になる。モバイルファイナンスの台頭と規制緩和やオープンAPIなどの環境整備は、競争とイノベーションにとって大きなチャンスになるとApp Annieは見ている。

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