SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第100号(2024年4月号)
特集「24社に聞く、経営構想におけるマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究(AD)

リコール・商品回収は他人事ではない!デジタル時代の今、企業に求められる対応は?

 製品リコールや情報漏洩の発生時、その謹告や回収依頼の告知にオンライン広告を用いるケースが増えてきている。そのニーズをくみ取り、トランスコスモスとヤフーは、「DECAds for Emergency」というソリューションを考案。Yahoo! JAPANのメディアパワーによる告知と、トランスコスモスが持つ広告代理店、コールセンター、物流などの機能を用いて、ワンストップのサービスを提供している。消費者保護と企業の信頼回復をスピーディーに支援する両社の取り組みを取材した。

デジタル時代の今、リコール発生時に求められる企業対応は?

 消費者庁のリコール情報サイトを見ると、商品の回収や修理などのリコール情報が日々更新されていることに驚く。従来、大規模な製品リコール情報や各種回収のお知らせなどを告知する謹告広告には、新聞やテレビが用いられてきた。しかし昨今では、メディア接触の変化やさらなる回収率の向上を試みて、オンライン広告を活用するケースが出てきたという。

 トランスコスモスで名古屋エリアのクライアントを担当する橋本氏は、実際にあったある企業のリコール事例を次のように話す。

トランスコスモス株式会社 橋本氏
トランスコスモス株式会社 橋本英樹氏

 「ある家電メーカー様から、電化製品の回収に関するデジタル広告のご相談がありました。リコール発生時は、新聞で謹告広告を掲載されていたのですが、回収がなかなか進まないという経緯があったそうです。発火や故障の恐れもあるため、消費者保護のためにも、とにかく回収を急ぎたい。より広く情報を届けることができるメディアをお探しでした」(橋本氏)

 リコール対応では、場合によっては、関連省庁へ回収率の報告が義務付けられている。また、安全性への関心の高まりや、SNSなどで消費者の声が波及しやすい環境において、企業にはこれまで以上にスピーディーかつ適切な対応が求められていることは明白であろう

Yahoo! JAPANで謹告広告を掲載し、回収目標件数をクリア

 そこで橋本氏は、ヤフーでトランスコスモスの営業を担当している北川氏に相談。本案件は、Yahoo! JAPANの広告枠と、Yahoo!コンテンツディスカバリー(以下、YCD)を活用して発信することになった。消費者からの問い合わせや回収率をKPIとし、通常の広告と同様に運用を行ったのだ。

 「対象となるワード、製品名、企業名などを盛り込み、広告を掲載しました。クリエイティブごとに効果のレポーティングを行い、その結果を活かすなどしてPDCAも回しています」(橋本氏)

 結果、これまでの謹告広告にかかっていたコストよりも効率よくリーチを獲得でき、回収目標の件数もクリアできたという。出稿企業からの評価も高く、継続的な出稿が検討されているそうだ。

ヤフー 北川氏

ヤフー株式会社 北川祥三氏

 ヤフーの北川氏は、このような事例が昨今増えてきていると話す。 

「過去1年間を振り返っても、お詫びや製品回収をお願いする広告などのご相談は増えています。そのため、ヤフーでも従来の広告審査とは異なる確認フロー、体制を整えている状況です」(北川氏)

有事のときはスピードが命、ワンストップで迅速な対応を

 ではここで、製品リコールが起きた時に、企業に求められる対応を順に振り返ってみる。

 まずは、問い合せに対応するコールセンターの立ち上げが必要だ。次に、製品回収のための倉庫や物流の手配、専用のWebサイトの用意、各媒体における情報発信。ここまでを素早く一気に展開しなくてはならない。そして、情報を発信した後は、殺到する問い合わせへの対応、リコール対象製品の回収が待っている。さらに、製品の回収が進まない限りは、この受付体制を保ち回収情報の告知を行い続けなければならない。

 そこで、トランスコスモスとヤフーは、企業におけるこれらの対応をサポートするために「DECAds for Emergency」というソリューションを考案。製品リコール告知から消費者対応、回収における物流までをワンストップで支援する仕組みを提供している。

ソリューションの全体像
ソリューションの全体像

 告知は、Yahoo! JAPAN内の広告枠のほか、新聞やテレビなどのメディアにも対応。国内ネットユーザーの8割に近いヤフーのリーチ力と、エリアターゲティングなどを組み合わせることで、さらに高い効果やコストダウンを見込める。特にYCDは、Yahoo!ニュースにも掲載されるため、不特定多数にリーチできる。情報周知の必要なリコールには、非常に相性の良い枠だ。

 また、広告のクリエイティブについても、トランスコスモス側で制作・運用を行っている。

 「謹告広告は、スピードが命です。あらかじめクリエイティブのテンプレートがありますので、お客様は動画・テキスト・画像をご用意いただくだけで掲載をスタートすることができます。告知までの期間も可能な限り短縮できるように努めています」(橋本氏)

殺到する問い合わせには、チャットボットと有人で対応

 一般的に謹告広告を配信した後は問合せが殺到する。ここでコールセンターの立ち上げに時間がかかると、消費者への被害やストレス、さらなるブランド毀損などにつながってしまう。よって素早い対応が求められるが、トランスコスモスでは、最速1日でコールセンターを立ち上げることができる。これは、国内外に多数のコールセンターを運営しているノウハウがあるからだ。

 さらに、有人対応だけでなく、チャットボットやメールなど、多様なコミュニケーションチャネルに対応している点も特徴的である。

 「コールセンターの課題として、告知直後は電話が殺到します。しかし対応人員が少ないと、お客様をお待たせしてしまう。その点、チャットボットであれば、お待たせすることはありません。また、お問い合わせのほとんどは、自分が持っている製品がリコールの対象か否かの確認です。こうした問い合わせには、チャットボットにシナリオを設定することで、効率よく対応することができます」(橋本氏)

 「DECAds for Emergency」では、広告をクリックすると、チャットボットが立ち上がるランディングページへと遷移するYes/Noで答えていくと、リコール対象製品の場合は送付先や対応方法などが表示される仕組みになっている。また、ボットでの対応後に電話窓口の表示も可能なため、消費者と企業双方にストレスなく対応が進められる。もちろん有人でのチャット対応も可能。この場合も、一対一のコミュニケーションとなる電話に比べ、チャットオペレーターは同時に複数対応ができるため、効率性は上がる。

 そして最後に、回収業務がある。リコール対象製品は回収した後も保管しておく必要があり、消費者へは代替品や謝礼などを届けるコミュニケーションが発生する。

 トランスコスモスは、在庫管理・出荷・ピッキングとEC向けのソリューションを提供しているため、この機能を活用して回収業務にあたることができる。

デジタルを基軸に、世の中の課題解決の幅を広げていきたい

 企業としてリコールやお詫びなどは避けたい事案だが、発生時には迅速かつ適切な対応が求められる。その対応の結果が、消費者の保護さらには今後のビジネスを大きく左右する。

 デジタル時代の今、活用可能な情報伝達手段を活用したワンストップでのリコール対応は、ブランドの早期信頼回復に必至である。一方現状では、企業がこうしたソリューションを用いるのには、組織的な部分でハードルがあるという。

 「先の家電メーカー様の事例は、マーケティングではなく回収専門の部署からのご相談でした。現状リコール対応をする企業サイドでは、顧客対応や告知がそれぞれ違う部署で行われています。ですので、顧客対応はコールセンターの会社へ、告知は代理店へと依頼先も分かれてしまっているんです。有事のときにこそ、組織が横連携で動くことの効率性・重要性を思い出していただければと思います」(橋本氏)

 そして北川氏は、謹告広告にオンラインメディアが活用されることについて、ヤフーのサービスの公共性が認められているのではないかと話す。

 「謹告広告を掲載する際のメディア選定は、企業として安心できるかが一つの判断基準になります。その点我々は、公共性に配慮して運営しているという自信があります。安心安全を求めるユーザーに向けて、信頼性のあるサイトを運営していくことは、ヤフーのミッションです。昨今の災害情報の即時発信やその体制は、ユーザーからの評価も高く、企業にはこの姿勢により信頼いただいているのだろうと思います」(北川氏)

 さらに「広告がもつ付加価値・解決できることの幅の広さを伝えていきたい」と抱負を述べる橋本氏に続いて北川氏は、「デジタルを基軸として、世の中の課題解決の幅を広めていくトランスコスモスの取り組みには、とても意義がある」とデジタルの可能性に言及。そして、ヤフーとして次のような展望を語った。

 「従来のマーケティングはもちろん、企業がお困りの時にも活用いただけるプラットフォームでありたいです。ユーザーと企業のほか、各ステークホルダーそれぞれにとって最適な取り組みを今後も推進していきたいと思います」(北川氏)

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2018/09/28 11:00 https://markezine.jp/article/detail/29271