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誰かに言いたくなるのはなぜ?不純喫茶ドープが多くのUGCを生む理由

 「エモい」「映える」「ずっと行きたかった」。InstagramやTwitterで多くのUGCを生んでいる喫茶店がある。名前は「不純喫茶ドープ」、コンセプトは「せつない気持ちのゴミ捨て場 夜になると開きたくなる扉」。手がけたのは、トーキョーギョーザクラブなどを運営するwackwack creativeの井川氏だ。多くの若者を引き付ける場所は、どのようにして生まれたのだろうか。

※本記事は、2021年4月25日刊行の定期誌『MarkeZine』64号に掲載したものです。

訪れた人によって感じ方が違う場所

wackwack creative 代表取締役 井川裕介(いかわ・ゆうすけ)氏

幼少期を過ごしたオーストラリアでBBQと出会う。日常に深く根付いたBBQに強く影響を受け、2014年REALBBQ設立。2019年wackwack creative設立。トーキョーギョーザクラブ、不純喫茶ドープ、不健康ランドを手がける。

――今日は不純喫茶ドープ(以下、ドープ)の上野御徒町店にお邪魔しています。この場所について教えてください。

 昼は喫茶店、夜は喫茶酒場として、純喫茶だった居抜き物件を利用してオープンした店です。看板や店内に掲示するポスター、食品サンプルなどは自分で作りましたが、その他はほぼ手を入れず、元の空間をそのまま使っています。メニューはクリームソーダやナポリタンの他、ニトロコーヒー(窒素ガスを使い、サーバーで抽出するクリーミーなアイスコーヒー)のような新鮮さを感じるものも用意しています。

――InstagramやTwitterで、たくさんのUGCが生まれているのを拝見しました。元々、若年層をメインターゲットに場作りをしようと決めていたのでしょうか。

 ターゲットを設定してコンセプトを考えることは基本的になく、自分が良いと思うものを作っています。運営会社のwackwack creativeが目指しているのは、1回は役目を終えてしまったコンテンツや場所(wackはスラングでダサい、クソなどの意味)に、ちょっとだけ自分たちの色を入れることによって、ワクワクするものに作り替えること。「元々あったものを活かしながら、違う価値を創造していく」という作り方は、ヒップホップの文化に影響を受けています。サンプリングといって、過去の楽曲からリリックやビートの一部をもってきて、それを使わせてもらうやり方があるんです。また、フックアップといって、まだ世間に知られていない人やものを拾い上げていく文化もあります。

 結果的に、ドープは訪れた人の属性によって感じ方が違う場になりました。私は今37歳ですが、私たちくらいの世代ですと、純喫茶の空間は、小さいときに経験している懐かしいカルチャーだったりするんですよね。ですがそれより下の世代にとっては、新しい経験、新しい価値になっている。でも、このような違いは計算できないことだと思いますし、狙って作っていくと、結局おもしろくないものになっていく気がしています。

――ドープの“不純喫茶”という名前や、「せつない気持ちのゴミ捨て場夜になると開きたくなる扉」というコンセプトに言及している投稿も多かったです。こうした言葉は、どんなことを考えながら付けたのでしょうか?

 人に言いたくなるコンテンツにすることを、すごく大事にしています。少し謎めいていて、あーだこーだ話したくなるような……。だから好きに解釈してもらう余地を残したいですし、「これってこういう意味なんですよ」とこちら側から提示することもしません。

 とは言え自分が発想したときのきっかけや由来はあり、少しだけお話しすると、「純喫茶の空間でお酒が飲めたらいいな」というところから始めたので、コーヒーのみを提供する業態の純喫茶に対して、“不”純喫茶なんです。ドープ(dope)という言葉には“不純物”のような意味もありまして、1号店として使わせていただいた中野の純喫茶の元の名前が「じゅんじゅん」だったので、じゃあこっちは“不純、不純”、にしようか、と(笑)。

 「せつない気持ちのゴミ捨て場」も実はあるリリックからきていて、ピンとくる人もいるかもしれません。

――そうした発想はどのように形にしていくのですか。社員の方とブレストしたり?

 完全にしゃべらないですね。最初は尖っていたりゴツゴツしていたアイデアも、テーブルに上げて、関わる人数が増えていけばいくほど、よくわからない丸いもの、それも小さな丸になってしまうことが多いと思っています。なので、「これをやりたい」というある程度固まった状態になるまで、ほとんど言わないようにしています。多分ちゃんとした大人が10人集まって会議していたら、不純喫茶ドープなんて絶対とおらないでしょうし、喫茶店に「ゴミ捨て場」なんてつけるな、という話になってしまう気がします。

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/04/27 08:30 https://markezine.jp/article/detail/36130

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