SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第100号(2024年4月号)
特集「24社に聞く、経営構想におけるマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究(AD)

コンバージョンが2.3倍!USEN×サイバーエースに学ぶ、BtoB広告運用における勝ち筋

 BtoB商材のリード獲得は、企業の知名度のみに頼ったプロモーションになってしまうケースが多い。したがって中長期的には新規顧客の獲得が尻すぼみとなる企業が少なくない。店舗向けITソリューションを展開するUSENはこうした状況を打破し、コンバージョンを2.3倍増加させたという。本記事ではその具体的な方法と戦略について、USEN(USEN-NEXT GROUP)の冨樫氏と佐藤氏と秋山氏、インターネット広告事業を行うサイバーエースの鈴木氏と藤田氏に話を聞いた。

デジタルシフトは止められない

――最近の飲食店をとりまく現状とデジタルシフトについて、所感を教えてください。

冨樫:飲食店様への打撃が大きい状況が続いておりますが、一方で飲食店のデジタル化が加速する新時代の到来を感じています。飲食店の経営者様の中でも「思った通りの営業ができない、それでもお店を続けたい」と希望をもっておられる方が多くいました。

株式会社USEN 事業開発統括部 マーケティング部 部長 冨樫幹子氏

佐藤:飲食店を含め小売店舗は大きな変革の岐路に立たされていると感じます。特に、支払いのキャッシュレス化、セルフオーダーをはじめとしたオーダーシステムの導入、アプリなどを使ったオンライン予約システムの導入など、今までアナログが当たり前だった部分のデジタル化が急激に進んでいます。これはコロナ禍が過ぎた後も続くのではないかと予想しています。

 店舗を利用するお客様もデジタルでの注文や予約に慣れ始めており、世界規模で見ても店舗サービスのデジタル化はスタンダードになりつつあります。コロナ禍は、店舗のデジタルシフトのスピードを格段に上げるきっかけとなったのではないでしょうか。

――USEN様は、店舗DXを促進する「Uレジ」「UPLUNK(アプリンク)」「Uペイ/UペイQR」などを展開されています。それぞれの特長について説明をお願いします。

佐藤:Uレジは、タブレットPOSレジと多数のオーダーシステムを連携させて売上管理や分析をサポートし、注文業務から会計業務までお店の経営に関わる業務の基幹となるシステムです。Uペイ/UペイQRはUレジなどのPOSレジと連携も可能な、クレジットカード・電子マネー・QRコードなどのキャッシュレス決済に対応するシステムです。

 そしてUPLINKは、店舗のオリジナルアプリを作成できます。ポイントカードや回数券、プッシュ通知によるリピーター獲得といったことが、低価格の月額料金で利用できます。

株式会社USEN 事業開発統括部 マーケティング部 WEBマーケティング課 佐藤麻紀氏

フェーズに合わせて戦略を練り上げる

――サイバーエースさんにお伺いします。「極予測AI」の活用を提案した経緯を教えてください。

鈴木:当初USEN様は、一つのリードに対して複数商材からアプローチをする形を取っており、リードに対してのアップセルやクロスセルができていませんでした。そこで我々は、データ領域の整備と予測LTVベースでの広告配信をご提案させていただきました。

 しかし実際に広告アカウントを見る中で、データの整備や統合よりも先にすべきことが見えてきました。それは、弊社の推奨するBtoB領域で効果の出る媒体ポートフォリオにすることと、各アカウントを理想的な状態にすることです。この2点を優先し、CPAの圧縮とコンバージョン数の最大化を先に取り組むことにしました。

 BtoB業界のリード獲得では基本的に検索広告経由での獲得がメインとなり、ニーズが顕在化しているユーザーの刈り取りがメインとなってしまいます。そのため、潜在顧客にアプローチしリード獲得数を最大化させるアプローチが重要です。その上でディスプレイ系の媒体の攻略、中でもクリエイティブをどのように作成していくかが重要と考え、AIを活用した広告クリエイティブを制作するソリューション「極予測AI」を提案しました。

マーケット分析や訴求軸の検証を行い、勝ちパターンをあぶり出す

――具体的にはどのようなクリエイティブで、どのようなターゲットに対しプロモーションを展開したのでしょうか。

佐藤:UレジのSNS広告のクリエイティブを飲食店経営者向けにアプローチしました。キャッチコピーの大きさ、色などを検証し、勝ちパターンを探りました。

藤田:ユーザーモチベーションごとにクリエイティブの訴求軸、コピー、表現を切り分けて「極予測AI」を使用してスコアリングしながらバナーを作成しました。コピーの箇所はUSEN様のデザイナー、佐藤さんと密に連携しながらユーザーインサイトを深掘りし、クリエイティブを作成していきました。

  「極予測AI」を使ったプロモーションは広告配信開始から2週間ほどで実施しました。導入早々に「極予測AI」がうまく機能しUレジ・UPLINKは、初速から獲得伸長できたのですが、Uペイは勝ちパターンを発見するのに難航しました。そのため何度も競合分析やマーケット分析を行い訴求軸の検証を実施いたしましたが努力の甲斐もあって、2021年の7月頃に訴求の勝ちパターンを発掘することができました。

――今回の取り組みはこれまでの広告運用とどこが違いますか。

秋山:今までは、訴求の勝ちパターンの発掘も手あたり次第で予想の範囲を超えず、人の勘と経験に頼っていた部分が多かったと感じています。現在はクリエイティブやタイトル、説明文なども数値で判別できるので、論理的な議論ができると感じております。

株式会社USEN 事業開発統括部 マーケティング部 WEBマーケティング課 課長 秋山奈穂子氏

藤田:タグを細かく設置し、各媒体に返すシグナルの量と質を改善することで媒体の学習を促進させました。こうすることでターゲティング精度を向上させ、その上で「極予測AI」の活用による建設的なクリエイティブの改善を可能にしました。

コンバージョンが2.3倍、CPA(1リードあたりの獲得コスト)やCPO(1導入あたりの獲得コスト)の圧縮にも成功

――今回の施策によって、どのような結果が得られましたか。

秋山:コンバージョン数の安定、さらに底上げができました。3月から9月で約2.3倍に増やすことに成功しています。さらにCPAとCPOの圧縮にも成功し、Webリードの質が格段に上がりました。

藤田:BtoB系企業において、重要なのは質の高いリードを増やすことです。今回の取り組みでは、適切なターゲットに適切なクリエイティブで広告を配信することでリード有効率を維持しつつ、リード数を最大化できました。Uレジは、過去比較で約150%、UPLINKも約200%のリード数増加となりました。

株式会社サイバーエース 営業1局 第2アカウントグループ アカウントプランナー 藤田実樹氏

冨樫:BtoBの広告は、どこまで可能性があるのか? 今のCPAが限界なのか? と常に経営陣から質問されていました。

 サイバーエースさんとの取り組みは、その概念を壊して躍進することができたのではないかと思っています。今後もさらに挑戦していく、互いの好奇心がかき立てられたように感じます。

Cookieからの脱却を図りつつ、潜在層にファネルを拡げる

――なぜ、このような結果が生まれたと思いますか。

鈴木:BtoB系企業のWeb広告での刈り取りは、基本的にリスティング広告での獲得がメインになります。しかし、それは検索ニーズに応えるというだけで新規潜在層へのアプローチができていません。時間の経過とともに尻すぼみになると考えられます。

 今回コンバージョン数を最大化できた大きな理由は、潜在層にファネルを拡げ、かつ「極予測AI」を使用することで媒体評価の高いクリエイティブを作成できたからだと考えております。

株式会社サイバーエース 営業1局 第2アカウントグループ マネージャー 鈴木雄大氏

鈴木:ITP(Intelligent Tracking Prevention)やiOSのアップデートにより、Cookieからの脱却が必要となってきます。ですから、よりユーザーから選ばれやすいクリエイティブを配信してボリュームを出せる設計が必要です。

 「極予測AI」では作成したクリエイティブを配信する前に事前に媒体から評価され、ユーザーにとって有益かを判断できます。特にBtoB商材はBtoCに比べてコンバージョンの母数が少なく、効率化がシビアに求められます。こうした中でも「極予測AI」によってあたりクリエイティブを創出することができています。

佐藤:クリエイティブ評価をする際、個人の好みの話になりそうな場面がどうしても出てきます。こういった場面でサイバーエースさんとは、いつも「極予測AI」に出てくる数値をもとにすることで建設的な会話ができました。

――今回の施策でどのような学びが得られましたか。

冨樫:藤田様には佐藤とともに、毎日管理画面を見て細かく調整していただきました。今回の結果はAIだけではできなかったことだと感じております。

 今後はAIでの自動化と人の感情や予想など、人にしかできないことを組み合わせて新しい取り組みに挑戦していきたいですね。

デジタルを活用し、人にしかできないことに集中できる仕組みを構築

――今後の展望や展開を教えてください。

冨樫:USENではWeb施策から、ナーチャリング、フィールドセールスの流れを使って、お客様のお店に関わる課題をまるっと解決する「店舗DX」にシフトさせています。

 その課題に気付ける接点として一つ一つの商材があり、Webではあらゆるニーズでの接点を人の頭脳とAIを組み合わせて網羅していきたいと考えています。

鈴木:サイバーエージェントグループ全体で力を入れて開発している「極予測AI」「極予測LP」「極予測TD」「極予測AI人間」などAI技術を積極的に活用しながら引き続き、様々なジャンルのお客様の事業を支援していきたいです。また市場変化に対応しマーケティング活動を通してお客様の最高のパートナーになれるよう、課題解決しながら広告効果最大化に向けて取り組んでいきたいと思います。

――USENが推し進める「店舗DX」の中で、Uレジ・Uペイ・UPLINKはどのような役割、実現が可能なのでしょうか。

冨樫:私たちはただ商材を導入していただきたいのではなく、DX化することで人にしかできないことに集中していただきたいと考えています。

 今まで人海戦術で賄ってきたものを、一部の業務をデジタル化することで業務時間の削減や省人化を実現できるようになってきました。人だからできることに集中していただくことで、店舗運営を楽にするだけでなく、新たな店舗戦略に貢献できると思っています。

株式会社サイバーエースへのお問合せはこちら
「極予測AI」に関する情報はこちら
株式会社USENのサービスに関するお問合せはこちら

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2021/11/18 11:30 https://markezine.jp/article/detail/37449