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オルビスのリブランディングはなぜ成功したか?改革の軌跡と次なる成長戦略

 カタログ通販からスタートし、今年で35周年を迎えるスキンケアを中心に展開するビューティーブランド、オルビス。同社は2018年より大々的なリブランディングに取り組み、ブランドの象徴商品『ORBIS U(オルビスユー)』シリーズのヒットと合わせて、今ではリブランディングの成功例として知られている。2020年には体験特化型施設『SKINCARE LOUNGE BY ORBIS』をオープン、昨年はオルビス初のパーソナライズスキンケアサービス『cocktail graphy(カクテルグラフィー)』をスタート。快進撃を重ねる同社で、一連の改革を率いた西野英美氏に話を聞くと、「創業時からの原点に立ち戻って、人を起点とした提供価値を大切にする姿勢」が今も根付いていることが浮かび上がってきた。

※本記事は、2022年9月25日刊行の定期誌『MarkeZine』81号に掲載したものです。

通販を極めた結果“仕組みで売る”状態に

オルビス 執行役員 ブランドデザイン・QCD担当 西野英美(にしの・えみ)氏 2002年オルビス入社。スキンケア、メイク、メンズ、海外ブランドと多岐に亘る商品企画の経験を持ち、2014年発売のブランドの基幹スキンケア『オルビスユー』の初代ブランドマネジャーを務める。その後、原価・開発管理のマネジャー、新規獲得プロモーションのマネジャーとキャリアを重ね、2018年より商品企画部長に就任。2018年発売の『オルビスユー』、2019年発売の『オルビスディフェンセラ』、2020年発売の『オルビスオフクリーム』、オルビスユーシリーズの上位ライン最高峰スキンケア『オルビスユードットシリーズ』とヒット商品を生み出す。2020年より同社執行役員就任。2021年より、新規事業領域を管掌下に置き、オルビス初のパーソナライズスキンケアをローンチするなど、未来に向けたブランド成長戦略を描く。2022年より、サステナビリティ領域も管掌下に置き、ダイバーシティ、サステナビリティ推進も牽引。
オルビス 執行役員 ブランドデザイン・QCD担当 西野英美(にしの・えみ)氏 
2002年オルビス入社。スキンケア、メイク、メンズ、海外ブランドと多岐に亘る商品企画の経験を持ち、2014年発売のブランドの基幹スキンケア『オルビスユー』の初代ブランドマネジャーを務める。その後、原価・開発管理のマネジャー、新規獲得プロモーションのマネジャーとキャリアを重ね、2018年より商品企画部長に就任。2018年発売の『オルビスユー』、2019年発売の『オルビス ディフェンセラ』、2020年発売の『オルビス オフクリーム』、オルビスユーシリーズの上位ライン最高峰スキンケア『オルビスユー ドット シリーズ』とヒット商品を生み出す。2020年より同社執行役員就任。2021年より、新規事業領域を管掌下に置き、オルビス初のパーソナライズスキンケアをローンチするなど、未来に向けたブランド成長戦略を描く。2022年より、サステナビリティ領域も管掌下に置き、ダイバーシティ、サステナビリティ推進も牽引。

——はじめに、西野さんが商品企画部長に就任されるまでのことを教えてください。元々新卒で御社に入社されたそうですね。

 はい、今年でちょうど21年になりますね。大学時代は応用化学を専攻していたのですが、実験の待ち時間にドラッグストアに走って新作をチェックするくらい化粧品は大好きでした。どうしても化粧品の商品企画がしたくて、新卒からそれができる会社を調べ、当時は今ほど認知度がなかったオルビスに入りました。今でいうスタートアップのような感じで、何でも挑戦させてくれそうな雰囲気がありましたね。

 希望通り、1年目から商品企画に携わり、2014年には同年発売の基幹商品『オルビスユー』の初代ブランドマネジャーを務めました。以降、原価管理や新規獲得の責任者も経験しながら2018年に商品企画部長となり、昨年からは新規事業領域、そして今年からはサステナビリティ領域も管掌しています。

——商品企画開発に並々ならぬ思いを持たれていたのですね。では、オルビスブランド全体のリブランディングについてうかがいます。元々、どのような課題があったのでしょうか?

 創業時からあった、自分たちの提供価値やお客様とのつながりが、オペレーショナルでキャンペーンドリブンなマーケティングを追求するがゆえに、薄れつつあったこと。また、30〜40代のお客様が次第に“卒業”され、ブランドとしての勢いも頭打ちになっていたこと。大きくこの2つの課題がありました。

 1つ目については、元々通販事業でダイレクトにお客様に向き合ってきたからこそ、顧客行動のデータは膨大に有していたんですね。そのデータを基に、毎月カタログに商品を数多く並べて、その中からたくさん買っていただけるようにキャンペーンを実施したり、感謝券をお配りしたりしていった結果、仕事の仕方が次第にオペレーショナルになっていたのです。毎月カタログを制作・発行しているので、どうしても思考が短期的になり、また既存のお客様を大事にするあまり視点が内向きにもなっていました。市場でのポジションや、5年後10年後の未来を語る機会はほとんどなく、ただ、必死に目の前の業務に追われていた状況がありました。

 2つ目については、ファッションビル業態の商業施設を中心とした出店や、10代後半から20代向けの女性誌への広告出稿も増やして顧客の新規獲得を続けていった結果、10〜20代の女性向けのブランドというイメージが大きくなってしまったことも背景にあります。元々、肌本来の機能を生かすために不要な油分を排除した「オイルカット」が私たちの商品の特徴だったこともあり、クリーンで安全安心な印象はあるけれど、30代以上の方には機能が物足りないように映ってしまっていたのです。

——2018年にリブランディングをスタートした当時のことをうかがえますか。

 前述のような状況に対して、私を含めて社内も「何かを変えていかなければいけない」と意識する以前に、ただひたすら日々の仕事に追われ必死で取り組んでいました。そこへ当時代表になった小林が、「頻発するキャンペーンや価格訴求でお客様とつながるのではなく、創業以来、大事にしてきた提供価値があるはずだ」と指摘したんです。

 そこで、元々お客様それぞれの肌をどうきれいにしていくかを考えてきた原点に立ち返り、スキンケアを中心としたビューティーのブランドとして「ブランドビジネスをしていく」という考えの下、全社的なリブランディングに踏み切りました。私は商品企画部長として、ブランドを体現する『オルビスユー』シリーズを中心に据え、商品を展開する計画とともに社内の意識統一を担いました。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/09/26 07:30 https://markezine.jp/article/detail/40035

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