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MarkeZine Day 2023 Autumn(AD)

AIを活用しCVが10倍になった事例も!MAやCDPの効果を最大化するために必要なこととは?

 デジタルマーケティングが本格化する中、MAを実装し顧客理解を深めるためにCDPを導入する企業が増えている。その一方で、なかなか成果が出ずにもどかしさを感じるマーケターも少なくない。こうした状況をどのように解消すればいいのだろうか。MarkeZine Day 2023 Autumnでは、AI×デジタルマーケティング領域で10年以上の実績を持つAppier Group(エイピア・グループ)の木村近義氏が登壇。成功事例を交えながら同課題を解決する手立てを紹介した。

マーケティングツールを導入しても成果が出ない理由

 デジタルマーケティングの強化に向けMAツールやCDPを導入したものの、効果が現れず、期待していたほど実績につながらない企業も少なくない。Appier Group(エイピアグループ)の木村近義氏は、デジタルマーケティングツールの成果が出にくい原因について次のように話す。

「たとえばMAツールに関しては、多機能で使いにくいといった悩みや、専門知識を持つ人材の不足、自動化戦略やキャンペーンの経験・知識不足に悩むケースが後を絶ちません。またMAツールで配信するための、継続的かつ質の高いコンテンツの作成が困難だったり、パーソナライズされたコンテンツができなかったりという課題や、ROI(費用対効果)の正確な計測ができない、顧客の行動に基づくセグメントやスコアリングのやり方がわからないことなどに悩んでいる企業が増えています」(木村氏)

Appier Group株式会社 エンタープライズソリューション<br />シニアディレクター 木村 近義氏
Appier Group株式会社 エンタープライズソリューション
シニアディレクター 木村 近義氏

 これに対し、テクノロジー由来の課題が多いのがCDPだ。CDPは、1つの顧客IDにあらゆる情報を紐づけて360度で顧客理解を促進する仕組みだが、そもそも顧客データの一貫性を保持することは技術的に難しい。個人情報への配慮から過剰なトラッキングを阻止する目的でクッキーレスやITPに取り組むベンダが増えていることや、ユーザーが常時ログインしているとは限らないのでWeb行動を完全に補足しづらいためだ。

 さらに、大量の顧客行動データから真に意味のあるインサイトを引き出したり、マーケティングに応用させたりするためには、高度な技術力と知識が必要になる。

「こうした専門知識の不足が、デジタルマーケティングの実行を阻害しています。しかしこれらの課題を解決するためAIを活用し、成果を上げている企業もあります」(木村氏)

AIで企業のマーケティングを支援するAppier

 Appier GroupはAI研究者によって2012年に台湾で創業されたセールス・マーケティング領域のAIネイティブカンパニーだ。現在グローバルで17拠点を展開し、2022年12月には東京証券取引所グロース市場からプライム市場へ昇格するなど、国内でも注目度が高い。

 同社は広告ソリューションの「CrossX(クロスエックス)」、広告運用自動化の「AIXPERT(アイエクスパート)」、AI×Web接客の「AiDeal(アイディール)」、MAツールの「AIQUA(アイコア)」、そしてAI顧客データプラットフォーム「AIRIS(アイリス)」など、多数のマーケティングソリューションを提供している。製品の特徴は、新規顧客の獲得からAI×Web接客、エンゲージメント、クロスチャネルのマーケティングオートメーション、ユーザーの分析・予測やCDP分野まで、フルファネルのソリューションのすべてに高精度なAIを搭載していることにある。

 たとえば広告領域では新規顧客獲得のために、機械学習やディープラーニングテクノロジーを活用して、入札の最適化を行い、AIを活用した製品レコメンデーションやクリエイティブの最適化などの施策でROIの向上を実現。一度獲得した顧客のエンゲージメント向上には、ユーザー行動予測に基づくクーポンのオファーやユーザータギングなどでAIを活用し、より成果につながる施策の実行・分析を可能にしている。

 こうした「デジタルマーケティング+AI」のツールを活用することで、これまでマーケティングに悩んできた企業の課題解決につながるという。

顧客ロイヤルティーを阻む2つの壁

 デジタルマーケティング+AIの事例として、木村氏は2つの事例を紹介した。1つ目が国内ホテルチェーンの「ホテルモントレ」だ。ホテルモントレでは「顧客ロイヤルティー向上にはパーソナライズしたエンゲージメントが必要」と考えていたが、それを阻む2つの課題があったという。

 課題の1つは顧客データの断片化だ。これまでとあるCRMシステムを利用していたが、パーソナライズを実現させるには、適宜手作業で別のプラットフォームへと会員データを移動させる必要があった。結果、顧客データがバラバラになってしまい、顧客ごとに最適なコミュニケーションチャネルを把握できなかったり、ホテルにとってのVIP顧客を特定できなかったりなど顧客に対する理解が深まらなかった。

 もう1つの課題は、セグメントに関するものだ。同社の場合は、全顧客対象に一律のメールしか送信できていなかった。一人ひとりにパーソナライズされたきめ細かいコミュニケーションではなく、マス送信だったため、顧客のエンゲージメント向上につながらなかったそうだ。

AIで顧客ロイヤルティーを向上させたホテルモントレ

 そんなホテルモントレが、個別最適化したコミュニケーションの実現に向け導入したのが、前述のAppierが提供するAI搭載CDPの「AIRIS」とクロスチャネルMAツールの「AIQUA」、そして、AIチャットマーケティングのBotBonnie(ボットボニー)だ。

 まず同ホテルはCDPで自社サイトのデータとCRM内の顧客データを統合。搭載されているAIを活用してユーザー行動を基に嗜好傾向や行動を予測、パーソナライズの基礎を整備した。また、会員になる前の匿名ユーザーの時点から一貫した識別IDを用いることで、データ統合を容易にした。

 これにより、ユーザーがホテルモントレのWebサイトを訪問すると、CDPに搭載されているAIエンジンが「サインアップ率」と「価格感度スコア(宿泊費への許容度)」を予測。たとえば、観光客であれば多少価格が高くてもサービスが良ければ予約するが、出張客であれば宿泊費にシビアになるだろうといった予測だ。こうしたユーザーの傾向をAIで分析してエンゲージメントを柔軟にすることで、新規会員の獲得と予約・売上の向上を実現しているという。

 またクロスチャネルMAツールを活用して様々なチャネルでのコミュニケーションを行っているという。MAでは蓄積された行動データを基にAIによるスコアリングを行い、最適なオファーや顧客への再アプローチ、プロモーションを行うことでエンゲージメント強化を実現している。

レコメンド機能を有効活用し、コンバージョンが10倍に

 2つ目の事例は、ベトナム発のファッションブランド「K&K Fashion」だ。

 同社も、セグメントとメッセージを手動で設定する作業に悩まされていた。またWebサイト内のキャンペーン展開にあたっては、IT部門に依頼をしなければならず、作業工数は膨大になっていたという。

 もう1つの課題は、パーソナライズの実現だ。本来であれば顧客行動データに基づくパーソナライズされたレコメンドが必要だったが、それが実現できていなかった。

 そこでK&K Fashionでは、AppierのMAプラットフォームを導入してチャネル横断型のマーケティング戦略を実行し管理する仕組みを構築。自社のファーストパーティデータとユーザーの行動データを組み合わせることで、パーソナライズを実現した。

 また、パーソナライズに合わせてAIレコメンデーションモデルも活用し、AIが提案した製品をメルマガのメッセージで配信し、Webサイトのトップページや商品ページに提示させて、コンバージョンが大きく向上した。MAツールで送信したメルマガからのCVRは従来の10倍と一気に上昇したという。

 前述した作業はツールを通じてマーケティング担当者側で実行できるため、IT部門のサポートが不要になった。「これにより、月当たり5営業日ほどの工数が削減されました」と木村氏は語った。

 さらにAppierでは、オートパイロット機能により複数のモデルに対し自動でA/Bテストを実行するため、企業は最適なモデルを選択し適用できるという。

「全チャネルの平均と比較すると、コンバージョンは150%、セッション時間も236%増加したそうです」(木村氏)

 高い効果を上げられた要因はほかにもある。MAツールに付属の開発画面は、ノーコードで様々なインタラクションを埋め込むことができる。テンプレートから実行したいインタラクションを選んでドラッグ&ドロップすれば、ポップアップや埋め込みなど多様なレコメンドを簡単に設定できるそうだ。

 そのほかにも、ブラウザプッシュを使ってカゴ落ち商品発生後2時間で顧客へ再アプローチし、コンバージョンのさらなる向上を実現。レコメンデーションと組み合わせることで、より高い効果が出たそうだ。

デジタルマーケティングにAIを掛け合わせる

 以上のように、Appierのマーケティングソリューションは、複雑で知識や技術力がないと難しいデジタルマーケティングの施策設定をAIで自動化することで迅速な成果をもたらすものだ。

 木村氏は同社の最新機能として、拡張キーワードで広告コピー制作を実現するAIソリューションを紹介した。これは同社独自のIPA(高精度プロファイリングと新規顧客獲得)とChatGPTを組み合わせたもの。たとえば「母の日ギフト」の広告コピーを制作したい場合、「母の日ギフト」と相性が良く、実際のパフォーマンスでも優れた実績を持つ拡張キーワードを検出し、ランキングで上位になったキーワードを基に広告コピーを自動生成する。これにより、広告キャンペーンの成果向上が期待できるという。

 MAツールのオウンドアクション機能では、AIによるマーケティングコンテンツ作成のサポートやチャットメッセージの作成が可能になった。またチャットボットソリューションにもAIを搭載し、ユーザーとのコミュニケーションを通じてユーザーの好みを把握する取り組みも提供している。たとえば、同社の顧客のアパレル企業では、ユーザーがこのチャットボットを使って画像を送付すると、ユーザーの嗜好に合わせた自社商品の着せ替えスタイルを提案するなどの取り組みを行っているそうだ。

 最後に木村氏は製品デモを交えつつ、「当社ではAIを搭載したマーケティングソリューションをフルファネルで提供しているので、どんなフェーズの課題であっても具体的な解決策を提案できます。いままさに課題を抱えている企業の方、または、今後実現したいアイデアなどございましたら、お気軽にお声掛けください」と話し、同セッションを締めくくった。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:Appier Japan株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/11/15 10:30 https://markezine.jp/article/detail/43842