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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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小さな会社、大きな仕掛け

なぜ「顧問編集者」は月額100万円以上なのに依頼が途切れないのか?

 これまで積極的に情報を発信してこなかった経営者たちが、ある日突然、創業時の熱い思いをnoteに書き始めたり、苦難を乗り越えたときのエピソードを長文のポストで発信したりし始める──そんなことが最近増えたような気がしないだろうか? もしかしたら、その裏には顧問編集者がいるかもしれない。

偶然見つけた「誰も損をしない職業」

 ここに、スタートアップから上場企業まで錚々たる顔ぶれの経営者を言葉の面から支える人物がいる。顧問編集業を営むエディトリアルエージェンシー・WORDSの竹村俊助さんだ。

WORDS 代表取締役 竹村俊助さん
WORDS 代表取締役 竹村俊助さん

 竹村さんは『メモの魔力』や『リーダーの仮面』などのベストセラーに携わってきた書籍編集者でもあるが、なぜ経営者のサポートをすることになったのだろうか。

「僕は元々、大手出版社でビジネス書の編集者をしていました。40歳を前に、自分で出版社を立ち上げたいと思い退職。その後は資金を集めるため、書籍・雑誌のライティングや編集をしていました。そんな中、ある経営者から『サービスをローンチするから、その裏側にある思いをまとめてほしい』と言われたんです。僕は本を作るときのように情報を集め、取材をし、読みやすくまとめ、noteでリリースしました。するとそのnoteが思いのほか多くの方々に読まれたんです」(竹村)

 当該noteは何十万というページビューを獲得し、多くの波及効果を生み出すことになる。まず『Forbes』に転載された。Forbesの記事がタクシー広告として車内に流れ、より多くの人々が目にすることとなった。仮にこれを広告効果として捉えた場合、数百万円程度で済む話ではない。

「気づけば、誰も損していなかったんです。経営者は情報を届けられてうれしいし、読者もおもしろいコンテンツが読めてうれしい。良いコンテンツを作ると、それがエンターテインメントとして機能する上、結果的に広告・PRとしても機能すると気づいたんです。『これはすごいことが起きている』と直感しました。この一件以来、様々な経営者から『私のnoteの編集も手伝ってほしい』と言われるようになり、仕事として成立する確信を得ました。顧問編集者という仕事は、狙って始めたというよりも、偶然見つかった職業なんです」(竹村)

消費者に受容される企業メッセージとは?

 数年先、もしくはさらにその先の未来を見据えた経営者の話は、得てして抽象度が高い。よって、そのまま経営者の言葉として伝えても、一般的には伝わりにくい傾向がある。その経営者の隣に「編集者」を置き、ある種のフィルターを通すことで、手掛けるサービスや裏側にある思いを知ってもらうことができる。顧問編集者は、経営者の言葉や奥底にある思いを言語化して届けるだけではなく、より広く、早く、深く世の中に届けるために「翻訳・編集」する仕事なのだ。

 SNSの普及とテクノロジーの発展により、各ユーザーの興味関心に合わせた情報が押し寄せてくる時代になった。そんな情報過多の時代において、企業の伝えたいことを消費者に届けることの難易度は日々上がり続けている。しかも消費者は、企業からの情報に対してはかなり懐疑的になっている。

「だからこそ、経営者という個人の言葉が重要だと思うんです。経営者はビジネスの中心にいる存在ですよね。その経営者が自ら発信し、企業の『伝えたい』と消費者の『知りたい』をつなぐことで、より多くの消費者に熱を持って情報を届けることができるようになると考えています」(竹村)

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この記事の著者

阿部 圭司(アベ ケイジ)

アナグラム株式会社 代表取締役/フィードフォースグループ株式会社 取締役。大手アパレルメーカーを経て運用型広告の世界へ。リスティング広告やFacebook広告を筆頭とする運用型広告の領域が得意なマーケティング支援会社アナグラムを創業。その後、フィードフォースグループにグループジョイン後、現役職。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/05/29 12:15 https://markezine.jp/article/detail/45272

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