本記事は、2024年4月刊行の『MarkeZine』(雑誌)100号に掲載しているものです。
【100号特集】24社に聞く、経営構想におけるマーケティング
─ 「競争」から「共創」へ 日本マーケティング協会の新定義が示す、これからのマーケティングのあり方
─ 5つの柱でお客様の期待を超える マーケティングとイノベーションを実現する(本記事)
─ 1年で大きく進化し「生活者に近づいた」味の素のマーケティング 新組織設置の狙いとその成果を聞く
─ 「マーケティング部も 営業部も存在しません」全社を巻き込むCX推進部がイーデザイン損保の経営を動かす
─ 目指すは「シェアNo.1」ではなく「唯一無二」、花王がマーケティング戦略を変えた背景
─ 「良いコンテンツを作れば自然と広がる仕組み」を目指して──「ABEMA」の経営とマーケティング
─ 苦境から回復、さらには飛躍を目指して。「お客様の実感価値」の解像度を上げるJTBのマーケティング
─ 生活者インサイトを捉えて新たな文化・市場を創造する 資生堂においてマーケティングが果たす役割
─ セブン-イレブン・ジャパンがマーケティング本部を新設 加盟店も含めた全社の“ハブ”を目指して
─ 「ファッションの『こと』ならZOZO」というイメージ醸成を目指す、ZOZOの戦略と取り組み
─ 常識破りの戦略で圧倒的な成長を。「KANDO(感動)ドリブン」で駆け上がっていくトリドールの構想
イノベーションとマーケティングの連鎖で100年続く会社に
――御社のマーケティング本部が中長期の成長に向けて掲げている「テーマ」を教えてください。
梶浦:社長の松山が「100年後も愛され続けるビール会社になる」ことを掲げており、中長期の構想もその言葉がベースとなっています。100年後も存続するためには「日本の人口減少」「飲酒に対する規制の強化」といった問いに向き合うことが求められますし、現在あるブランドや商売のやり方だけでは足りないと考えています。
マーケティング本部は生活者と直接向き合う部門として、100年存続する会社となれるよう「お客様を中心に期待を超えてワクワクさせること」をテーマに掲げています。具体的には、お客様に「そうきたか、やるやないかアサヒビール」と言ってもらえるような取り組みを目指しています。
期待を超えるために最も必要なのはイノベーションです。2021年に発売した生ジョッキ缶は「缶ビールなのに飲食店のジョッキで飲む樽生ビールのような味わいが楽しめる」とお客様の期待を超えるイノベーションとなりました。アサヒビールのマーケティング本部はR&D(研究開発)のチームが一緒になっているので、スピード感を持ってイノベーションと呼べる商品・サービスを創り出す体制となっています。今世の中にないもので、社会にとって意味のあるものを絶え間なく出し続けたいです。
もちろん、既存商品のお客様を増やす、より好きになってもらうためのマーケティング活動も重要です。そのため、マーケティング本部がイノベーションとマーケティングの連鎖を引き起こす部門になることを目指しています。