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今知っておきたいマーケティング基礎知識

【必見】ROIの基準と目安|最大化するためのポイント5つを紹介

 マーケティング活動を行う上で、ROIを活用してビジネスや事業の投資収益率を評価している企業は多いでしょう。自社のビジネスや事業の成果を図るためROIを活用したいが「ROIの算出方法がわからない」「名前は聞いたことがあるが、どのような時に使用するのかわからない」という人もいると思います。本記事では、ROIの基準や計算方法、メリット・デメリットを紹介します。ぜひ最後まで読んで、自社のマーケティング活動に役立ててください。

ROIとは

 ROIとは「Return On Investment」の略語で「投資利益率」と訳されます。ビジネスや事業へ投資した金額に対して、どの程度の利益を出せたかを示す指標です。ROIは、マーケティング活動において導入するツールを客観的な数値をもとに比較・検討する際や、実施したマーケティング施策の効果測定として用いられます。

 ROIの数値が高ければ投資に対しての利益が大きく、ROIが低ければ投資に対しての利益が小さくあまり利益につながっていないといえます。

 ROIは、顧客の購買チャネルの多様化にともなって注目を集めるようになりました。購買チャネルが多様化したことで、ユーザーごとに適したチャネルでのアプローチが必要となり、マーケティング施策も多様化しました。複雑になったマーケティング施策の効果計測の一つとして、ROIが使用されています。

 ユーザーの購買チャネルごとにROIを算出し、どこのチャネルに注力すべきかの判断やマーケティング費用のアロケーションなどで最適化を図れます。

 マーケティング活動を行う上で、収益にフォーカスしているROIの活用は利益目標を測る重要な指標です。事業やビジネスにおけるマーケティング活動の投資効果最大化には、ROIを高めて維持することを意識してください。

ROIが重要視される背景

 ROIは、事業やビジネスのマーケティング活動に投資した費用に対してどの程度の利益や効果を得られたかを明確にできるため、重要視されています。

 どの企業も最終的な目標は利益の増加です。ROIを最大化できれば、より少ないリソースで大きな成果を得られるでしょう。ROIを活用して得られる示唆は以下の通りです。

  • リソース配分の最適化
  • 競争環境の変化
  • データの分析

 この示唆を活用して取り組んでいるマーケティング施策の改善が可能です。マーケティング効果が出ていない状況で、事業やビジネスへ投資を続けてしまうと、企業活動が立ち行かなくなる可能性があります。しっかりとROIを分析して利益を得られるようにしましょう。

リソース配分の最適化

 企業は事業やビジネスのマーケティング活動を行う際、限られたリソースや予算を各販売チャネルのマーケティング活動に配分します。収益性の高い販売チャネルのマーケティング活動にリソースを配分するときにも、ROIは役立ちます。

 定期的にROIを計測して分析することで、リソースや予算をどこに集中させるべきかを把握できます。むやみにリソースや予算を配分するのではなく、ROIに基づいて最適な販売チャネルやマーケティング施策に配分するように意識しましょう。

競争環境の変化

 顧客の販売チャネル多様化にともない、オンラインショッピングの利用が増加し市場の競争環境は変化しています。

 企業がマーケティング活動でデジタルマーケティングやオンライン広告を利用するケースが増える一方、広告配信においても競合他社との競争が発生しています。広告から効率よく商品・サービスの購入や申し込みを獲得し、収益を確保できているかROIをもとに評価しましょう。

データ分析の発展

 マーケティング活動のデジタル化が進むにともない、顧客の購買行動のデータ収集や分析が可能になりました。これによりマーケティング活動の成果を正確に捉えられるようになり、別商材のマーケティング活動にも活用できるようになりました。

 ユーザー属性ごとのROIを分析すれば、類似商品の購買層が明確になり効率的なマーケティング戦略を練れるでしょう。

ROIの計算方法

 ROIを算出するための式は以下の通りです。

  • ROI(%)=利益 ÷ 投資した費用 × 100

 ROIを活用するとマーケティング施策ごとの効果を比較できます。しかし、中長期的な施策への投資と短期的な施策への投資を比較することは困難です。ROIは現段階のマーケティング活動における投資対効果を可視化するもので、将来性は含まれないためです。

ROIの目安・基準

 ROIの目安は高いほうがよいといわれていますが、基準は業界により異なります。一般的には業界の平均値や前年の実績比で、自社の事業やビジネスが利益を得られているか評価します。

 明確な基準値ではありませんが、100%を一つの目安としましょう。ROIが100%未満の場合、事業やビジネスに投資した金額に対して利益を獲得できていないことになります。

 取り組んでいるマーケティング施策のROIが100%未満の場合は、施策の見直しや事業の撤退を検討するのがお勧めです。ただし、利益回収までにリードタイムがある中長期な施策の場合は、利益がすぐに出ないので100%未満が続くようなら注意すべきです。

ROIとROASの違い

 ROIとあわせてよく耳にする指標にROASがあります。ROASとは「Return On Advertising Spend」の略語で「広告の費用対効果」を表す指標であり、広告費用に対して広告経由でどの程度売り上げを得られたかを可視化します。

 ROASを算出するための式は以下の通りです。

  • ROAS(%)=広告経由での売り上げ ÷ 広告費用 × 100

 ROIはマーケティング活動におけるすべての投資金額が対象ですが、ROASは広告費のみに限定した指標です。ROASを算出することで、広告費用の配分最適化や入札の強化などに役立ちます。特に広告担当者は、ROASを見て広告効果の善し悪しの判断に活用しましょう。

ROIを算出するメリット・デメリット

 ROIを活用することでマーケティング活動の投資利益率を可視化できます。ただし、ROIにも向き不向きがあります。メリット・デメリットを理解し、活用方法を間違えないように注意しましょう。

メリット

 ROIを算出するメリットは以下の3つになります。

  1. 投資の効果を把握できる
  2. 事業やマーケティング施策の効果を比較できる
  3. 業務改善にも役立つ

 それぞれについて、詳しく紹介します。

1.投資の効果を把握できる

 企業が、事業やビジネスの収益を最大化させるためには収益性の高いマーケティング施策を把握する必要があります。ROIはマーケティング活動への投資や実施している施策の効果を定量的に可視化し、評価が可能です。

 ROIを算出すると、事業やビジネスの各販売チャネルへの投資が正しいか、どの程度の利益を得ているかが明確になります。この数字によっては投資の継続や集中、事業撤退などの判断ができます。ROIが低い場合は、施策や商品・サービスの価格の見直しを図りましょう。

 企業は限られた予算の中で効率よく利益を最大化させ、支出を最小限に抑える必要があります。ROIを活用して投資の効果を把握することで、利益獲得に非効率なマーケティング施策への投資を抑制し、支出を抑えられます。

2.事業やマーケティング施策の効果を比較できる

 ROIは、複数の事業やビジネス・マーケティング活動を比較する際にも活用できます。異なる事業・施策であっても規模にとらわれず、投資効果の比較が可能です。

 事業やビジネスの規模が小さい場合でも、ROIが高ければ効率的に利益を得られているので更なる投資や施策追加の検討ができるでしょう。

 また新しい商品・サービスの販売を開始した際、既存と新しい商品・サービスのそれぞれのROIを算出しROIが妥当であるかの判断を行えます。各商品・サービスのROIを算出することで注力すべき商品・サービスを明確にできるため、ROIの考え方を理解しておくことは重要です。

3.業務改善にも役立つ

 ROIの算出は、事業やビジネス・マーケティング活動への投資利益率の可視化だけでなく日々の業務改善に役立ちます。

 投資やマーケティング施策ごとに収益性を可視化できるため、工数や人件費・広告費が掛かっている割に利益を獲得できていない、費用対効果の低い事業やビジネスを明確にできます。より効率よく成果や利益を得るための業務改善のきっかけになるでしょう。

デメリット

 ROIを算出する上で注意すべきデメリットは以下の2つになります。

  1. 中長期的な利益の評価に向いていない
  2. 数値化できない価値の評価ができない

 それぞれについて、詳しく紹介します。

1.中長期的な利益の評価に向いていない

 ROIは投資額に対しての利益率を計測し可視化できる指標ですが、計測できるのはあくまで現段階の投資額に対してのみです。利益を得るまでに時間が掛かる中長期的な事業やマーケティング施策の計測はできません。

 事業やビジネスにおける現時点での投資評価になるため、将来的に成長するのか衰退するのかという点は加味されていません。利益を得るまでに時間を要する事業やビジネスの場合、初期のROIの数値は低い状態が続きます。

2.数値化できない価値の評価ができない

 ROIを用いて可視化できるのは、利益を得られているものに対しての投資利益率のみです。裏を返せば、利益が出ていないものや利益に直結しないものは可視化できず、評価が困難といえます。

 ROIは事業やビジネス現段階の投資額に対して投資利益率を算出できます。しかし、商品・サービスの知名度向上や品質改善、企業イメージの向上は数値化が難しく計測できません。ROIは、あくまで利益につながる投資額への投資利益率を算出できる指標だと理解しましょう。

ROIを最大化するためのポイント5つ

 企業としては効率よく利益を獲得したいため、ROIの最大化は自ずと目指すことになる目標になるでしょう。ROIを最大化させるためのポイントは下記の5つです。

  1. 売り上げの拡大
  2. ターゲットの最適化
  3. コストの削減
  4. 費用効率の高い手法の実施
  5. MA(マーケティングオートメーション)ツールの活用

 それぞれについて、詳しく紹介します。

1.売り上げの拡大

 ROIの算出に最も影響を与えるものが「売り上げ」です。単純ですが、売り上げが伸びるとROIは改善され最大化できます。

 売り上げを伸ばすには顧客数を増やしたり顧客単価の引き上げが必要ですが、新規顧客を獲得するには費用が掛かります。費用を抑えて売り上げを伸ばすには、既存顧客に向けたアップセルやクロスセル・リピーターの獲得を行うことも重要です。

 効率的にリピーターを獲得する場合、顧客データの分析や商品・サービスの改善やニーズに応じた新商品・サービスの開発を行いましょう。

2.ターゲットの最適化

 取り組んでいるマーケティング戦略のターゲットの最適化を図ることも、ROIを最大化させるポイントの一つです。

 事業やビジネスにおけるターゲット像を明確する他、認知から比較検討・購入や申し込みに至るまでのフローでどのような施策や訴求を行うか整理しましょう。施策や訴求ごとにROIを算出して効果計測を行い、マーケティング戦略の見直しを図ることで効率的な顧客獲得や売り上げの積み増しにつながります。

3.コストの削減

 余分なコストを削減することもROIの最大化には重要です。売り上げを上げることも大事ですが、事業やビジネスにおいて無駄にコストがかかっていることがないか確認しましょう。

 コストを見直し無駄を削除できると、ROIの改善の他に業務の効率化も図れます。定期的にコストをかけ過ぎているところがないか見直してみてください。

4.費用効率の高い手法の実施

 高い費用効率で利益を獲得しているマーケティング手法を実施することもROIの最大化につながります。

 実施している各手法や施策のROIを算出し効果を比較しましょう。比較すると以下の判断を行えます。

  1. ROIが高い手法(施策):投資額の追加や他手法(施策)からの投資額のアロケーション
  2. ROIが低い手法(施策):手法(施策)内容の見直し、もしくは取り組みの停止

 ROIを活用することでマーケティング手法の整理も容易になります。高い費用効率で利益を獲得しているマーケティング手法が何かを明確にして、効率的な売り上げ拡大ができるように意識してください。

5.MA(マーケティングオートメーション)ツールの活用

 MA(マーケティングオートメーション)とは、顧客との関係構築や販売促進をマーケティングの自動化ツールを活用して効率的に行う手法です。

 顧客との関係構築や販売促進を自動化できる他、フローを作成することで継続的に顧客へのアプローチを行うための業務効率の改善にも役立ちます。また顧客データの収集・蓄積ができ、分析も行えるので、新たな施策を講じる際にターゲット像をより明確にできます。

 MAは、ROIの最大化を図るために必要な費用対効果と獲得効率の改善のどちらにも対応できるツールです。しかしMAを効果的に活用するには一定の知識と技術が必要です。導入を進める際には、サポート体制や環境面を確認しましょう。

ROIと合わせて知っておくべき4つの指標

 ROIを活用するにあたり、合わせて知っておくべき指標が4つあります。この4つは覚えておくようにしましょう。

  1. ROAS(Return On Advertising Spend)
  2. CPA(Cost Per Acquisition/Action)
  3. CVR(Conversion Rate)
  4. LTV(Life Time Value)

 各指標について、紹介します。

1.ROAS(Return On Advertising Spend)

 ROASとは、前述の通り「Return On Advertising Spend」の略語で「広告の費用対効果」を意味します。広告費用にフォーカスしており広告経由で、どの程度売り上げを得られたかを示す指標です。

 ROASを算出することで広告費用1円あたりの売上額や回収率を把握できます。ROASが高ければ、広告の費用対効果が高いといえます。広告運用を行う際には、定期的にROASを算出してROASが高い広告の配信予算を増額させたり、入札を強化する判断材料として役立つでしょう。

2.CPA(Cost Per Acquisition/Action)

 CPAとは「Cost Per Acquisition/Action」の略語で、Web広告の配信によって獲得できたコンバージョンに対してかかった費用を示す指標です。Webマーケティングの施策においてよく使われます。CPAを確認するためには以下の式を用います。

  • CPA=広告費 ÷ コンバージョン数

 CPAが安価な場合は、利益を得られているといえます。商品・サービスの販売価格よりもCPAが高い場合は、利益を得られていないので広告運用を改善しなければなりません。

3.CVR(Conversion Rate)

 CVRとは「Conversion Rate」の略語で、Webサイトやランディングページへの来訪ユーザーのうち「商品購入」や「サービス申し込み」などコンバージョンに至った件数の割合を示す指標です。CPA同様にWebマーケティングの施策において使用されます。CVRを確認するための式は以下の通りです。

  • CVR=コンバージョン数(CV) ÷ セッション数(広告のクリック数) × 100%

 広告のクリックは多いがCVが少ない場合、CVRの数値は低くなります。この場合、Webサイトやランディングページが上手く機能していないといえるので改修を検討しましょう。

 CVRは、商品・サービスにより異なるため、目標値を設定する際には市場調査データや既存の類似商品・サービスのCVRを参考にするとよいでしょう。

4.LTV(Life Time Value)

 LTVとは「Life Time Value」の略語で「顧客生涯価値」を意味します。顧客が自社と取引を開始してから終了するまでの期間に、自社にどの程度の利益を与えたかの総額を表す指標です。

 LTVは、一度限りの取引ではなくリピート顧客の複数回の売り上げに寄与した利益も含みます。LTVを確認するためには以下の式を用います。

  • LTV=平均顧客単価 × 平均購買頻度 × 平均継続期間

 LTVが高い場合は中長期的に自社商品・サービスを購入し続けているロイヤルティの高い顧客がいて、かつ顧客と良好な関係を構築・維持しているといえます。

まとめ

 ROIの目安・基準や最大化させるためのポイントについて紹介しました。ROIは、事業やビジネスにおけるマーケティング活動の収益性を計測する重要な指標です。収益性を顧みずに投資を続けていては、利益を得られず企業活動が立ち行かなくなる可能性があります。

 業界により目安や基準は異なりますが、取り組んでいる施策において100%を下回っていないか定期的にROIを算出して確認しましょう。ROIが100%や目標値を超えていれば更なる投資の判断ができます。

 また、ROIを最大化させるためには、関連する各指標の数値改善も重要になります。各指標の意味を理解して数値を分析し、活用していくとよいでしょう。ROIを最大化させ、自社の事業やビジネスを効率的に拡大しましょう。

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この記事の著者

マーケ研究所(マーケケンキュウジョ)

 マーケティングに関する情報を調べ、まとめて届けています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/01/23 00:00 https://markezine.jp/article/detail/47541

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