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「SMMで消費者と心の絆をつくる」ハウスウェルネスフーズが展開するソーシャルメディアを活用した”深く響く”プロモーション戦略

 「C1000」ブランドを中心にした機能性飲料を販売されている「ハウスウェルネスフーズ株式会社」(以下ハウスウェルネスフーズ)では、早くから、ソーシャルメディアマーケティング(以下SMM)に積極的に取り組み、消費者へ深く響くプロモーション戦略をとっている。今回は、ハウスウェルネスフーズにて、WEBプロモーションおよび自社サイト全般の運営に携わっている丸山佳代氏に現場でのSMM活動の実際についてお聞きしました。

今回お話を伺ったのは…
丸山佳代 氏
ハウスウェルネスフーズ株式会社 営業企画部販売企画グループ 主任。1991年営業として入社。お客様相談室、商品企画を経て1999年より自社ホームページ担当となる。その後現在まで、WEBプロモーションおよび自社サイト運営に従事。

「C1000」ブランドの再構築を進めるハウスウェルネスフーズのマーケティング活動

―――
まずは、ハウスウェルネスフーズのマーケティング活動の基本方針について教えてください。
丸山
ハウスウェルネスフーズは、1957年より武田薬品の食品部門の一翼を担っていた武田食品の全事業を継承し、2006年に誕生しました。

その際に、メインブランドであった「C1000」が長らく「C1000タケダ」として認知されていたため、「偽物なのではないか」との声がお客様相談室に届くほど、社名とブランドが乖離した存在になってしまったんです。

そこで社名変更後、社名の露出認知とともに「C1000」ブランドの親和性を高める事を、マーケティング活動のメインミッションとしています。
―――
「ブランド」を再構築するためのマーケティング活動ですね。実際には、どういったメディアを使っていらっしゃいますか?
丸山
武田食品時代は、テレビを中心に、新聞以外のマスメディアをすべて使用していました。ネットはホームページだけでしたね。ハウスウェルネスフーズに変わってからは、紙媒体はほとんど使わなくなり、ラジオも縮小して、その分をネットでの施策に充てる形になりました。
―――
そうすると予算の総額自体はあまり変わっていらっしゃらない?
丸山
そうですね、むしろ減ってきていると思います。
―――
減少傾向の中で、会社から求められるものは変わってきていますか?
丸山
やはりマスメディアが響きにくいところへのネットの効果に、期待されるところは大きいですね。メディアパワーの強い大手企業と対抗していかなかればならない弊社のような企業は、広告の絶対量で勝負するより、深く響くプロモーションという戦略に立って、お客様との直接のやりとりの中で関係性を深める施策の必要性を強く感じて、SMM(ソーシャルメディアマーケティング)への取り組みを始めました。
―――
一方で、SMMだけですべてのマーケティング活動を完結できるわけではないと思うのですが、マスメディアを使った広告とのバランスや使い分けについてはいかがですか?
丸山
テレビCMをメインとしたマスメディアへの広告出稿のボリュームは、あまり変わっていません。ただ、テレビCMが訴求しづらい層のお客様へのリーチを補完する意味で、ネットの割合は増えていると思います。
―――
現場の担当者である丸山さんがマーケティング活動で目指しているイメージはありますか?
丸山
最終ゴールというわけではないですが、「C1000タケダ」と言われなくなる事です(笑)。

私は武田食品時代から「C1000」の広告にも携わっていたのですが、その当時はかなり意図的に「C1000タケダ」と認知されるような戦略をとっていたんです。それはかなり効果があったと思うんですが、今となっては少し厳しさを感じていますね...。
―――
「C1000タケダ」ではなく、「C1000」と呼ばれる事が第一のゴールだと?
丸山
「C1000タケダ」というイメージが残ったままでは、私たちの「変化」をお客様に受け入れられていないということだと思うので、現在のハウスウェルネスフーズと「C1000」を、ワンセットで認識していただく努力をしていきたいと思っています。
―――
ブランド認知の再構築をテーマにSMMの活動を始められたのが、2008年の10月ですね?
丸山
アライドアーキテクツ株式会社が運営するモニプラ(SMMプラットフォームサービス)に出展したのは2008年10月ですが、準備期間のようなものがあって、実際に本格的に活動を始めたのは2009年の4月ですね。
アライドアーキテクツが運営する「モニプラ」
アライドアーキテクツが運営する「モニプラ」
―――
これまでの活動で「C1000」ブランドの認知は向上しましたか?
丸山
高まってきていると思います。2006年当時、100%「C1000タケダ」だったのが今は30%ぐらいの感覚でしょうか...。
―――
約4年間で「C1000」の認知が70%に向上したというのは、凄いスピードですね!
丸山
武田食品は親会社が薬品会社だったこともあって、「C1000タケダ」は薬効への期待感がブランドの大きな価値軸だったんです。ブランド名から「タケダ」を外すことによって、「ビタミンC」のイメージまでも失ってしまわないように、「Cと暮らそう」というメッセージコピーを掲げているのですが、こちらはまだ伝えきれていないですね。

徐々に伝えていきたいと考えているので、そういう意味でもSMMは大事な施策だと考えています。
―――
SMMにも売上への貢献がもとめられると思いますが、社内での評価はいかがですか?

数値では測れない“商品棚の前で思い出してもらえる絆づくり”を目指して

―――
広告はお金を使って広く浅く、ネットはお金をかけずにじわじわ深くですね。SMMは時間がかかり、効果が見えづらいと言われますが、社内での評価はいかがですか?
丸山
お客様を追いかけてテレビCMを流し続けても、認知度が急激に上がるかというとそうでもない。テレビCMも影響力という点では計りづらいと思いますよ。

その点、Webプロモーションは反応がとても早いし、それがどんどん好意的に変化していく様子が見えて、ある意味分かりやすいです。かかる費用も大分違いますしね(笑)。
―――
最終的には「売上」にどう影響していくかを求められるのでは?
丸山
そこは非常に課題で、確かにSMM活動は「売上」には直結しないと思います。

ただ、「C1000」は販売チャネルのメインがコンビニエンスストアなんですが、コンビニエンスストアに飲み物を買いに行く時、「○○を買おう」と具体的な商品を思い浮かべている方は少ないと思うんです。

棚の前で「何を買おうか」と思った時に、値段やオマケ以外の選択基準があるとしたら、それが「これまでの心の結びつき」なんじゃないかと思います。消費者との距離を縮め、そこに「絆」をつくる、それこそがSMMをやる意義だと思っています。
―――
モニプラ(SMMプラットフォームサービス)を使ったSMMはどのような取り組みから始められたのですか?
丸山
公式HPの制作企画運営にモバイルサイトにプロモーションも、と結構バタバタしていたので、開始当初(2008年10月)はあまり活用できていませんでした。

それぞれをうまく連動させる計画をしっかり練る必要を感じて、現在実施中の「げんきいろプロジェクト」を始める頃(2009年春)にようやく少しずつ始めたという感じです。
―――
モニプラを始めるとき、「こんな活動をしよう」とか「こんな風に活用したい」など、何かお考えになったことはありましたか?
丸山
弊社では一通りのソーシャルメディアを使った施策を実施しているのですが、その中で当時「モニターブログ」というのが面白くないと感じていたんです。

「商品を褒める」というポイントで画一的に書かれたブログが露出されているのは、バナー広告と変わらないようなイメージでとても残念でした。せっかく実際の商品を体験した人も「モニターブログはこう書くべき」みたいな暗黙の了解で、横並びの感想を書いているだけのような...。だから、「どうせやるならお互いにもっと楽しい事をやりたい!」と思いました。
ハウスウェルネスフーズのモニプラファンサイト
ハウスウェルネスフーズのモニプラファンサイト
―――
広告的には、単純に商品についてたくさんのブログが書かれて、それがたくさんの人に見られるということだけを考えてしまいがちですが、もっと本質的なところを感じていらしたんですね。
丸山
私も自分でブログを書いていてよく感じるんですが、いざ書こうと思ったけどネタがないと困っている方が結構いると思うんですよ。だから、自分がSMMをやるときは、ブロガーさんがブログに書いて、お友達に読まれても恥ずかしくないネタを提供したいと考えたんです。

今も、季節ネタのような、普通にブログに書いても良いなと思えるネタに、「バーゲン」とか「年末」とかちょっと検索にかかりそうな要素を加えたりして、とにかく書かれたブログを読んだ人に面白いと思ってもらえることを基準にテーマを考えています。
―――
でも、それだと商品の露出が減ってしまいませんか?
丸山
もちろんタイトルに商品名を入れたり、素材として商品画像を提供したりはしますが、あまり商品露出を意識しすぎた形でやってしまうと、最初に感じたつまらなさが出てきてしまうと思うので...。
―――
2、3年位前の、いわゆるブログを広告媒体としてみていた考え方からは脱却してきたということなんでしょうか?
丸山
いろんなところで言っているんですが、私はブロガーの方々と「お友達になりたい」と思っているんです。
―――
企業にとって「お友達をつくる」という思考は、数年前では想像もつかないようなことですよね?

単発のキャンペーンではなく継続的な顧客との関係性作りへ

―――
「お友達」という表現はとても印象的ですが、企業にとって「お友達をつくる」という思考は、数年前では想像もつかないようなことですよね?
丸山
例えば友達つき合いでも、今まで「○○さん」って呼ばれていた人に、「○○ちゃん」って呼ばれた瞬間って、距離がグッと縮まった感じがして嬉しいじゃないですか。それと同じことを目指していて、ブログを書いてもらう事はおつきあいのきっかけに過ぎないんです。

ブログで感想を書き終わった瞬間に、商品の価値観が元に戻ってしまっては意味がなくて、そこから繰り返しお話をさせていただくとか、担当者である私の名前を覚えていただくとか、そういうコミュニケーションの中で徐々に距離を縮めていきたいと思っています。

何度か参加してくれるうちに「担当のまるさん」って呼びかけてくれた、そんな変化に喜びを感じて、次への原動力にしています。ささやかなことですが、そういうところを私自身が楽しめないと続けるのは難しいのではないでしょうか?
―――
SMMの担当者は「人が好きな事」「コミュニケーションを楽しめる人」であることが重要ですね。SMMは、仕事だけれど「楽しく」なくてはいけない。でも、従来の企業の考え方とは逆ですよね? 「あいつは仕事しないで遊んでる」なんて言われたり、ご苦労されていることもあるんですか?
丸山
そうですね...、「常に画面動いてるよね」みたいな事は言われたりしますね(笑)。
―――
ブログを読んでニヤっとしてしまったりすると、確実に遊んでいるようにしか見えないですよね(笑)。
丸山
でも、そこで「これ面白いでしょ?」と社内も巻き込んで行くんです。仕事だけでやっていたら絶対に行き詰まりますし、やるからには楽しんでやりたいですよね。ブロガーさんと距離を縮めたいなんていっても、楽しそうじゃない人と仲良くなりたいと思う人はいないと思いますし。
―――
今お聞きしたのはまさに、「エンゲージメント」を目指す活動だと思うんですが、最終的な目標はお持ちですか?
丸山
お友達になったブロガーの方々と、一緒に何かを作りたいですね。みんなでWebコンテンツなんかを一緒に作り上げて、楽しさを共有できたら嬉しいです。
―――
逆にネガティブに書かれてしまったブログ記事が、社内で問題になってしまうことはないですか?
丸山
悪い事ほど報告するようにしているので、その瞬間は怒られる事もあります。でも、良い事を積極的に出力して掲示しているので、社内での印象が悪くなることはないですね。
―――
定量的な目標は設定されているのですか?
丸山
そうですね…、モニプラでは「ファン」の数というのが一つの指標にならざるを得ないので、まずはC1000にちなんで4000人にすることが目標でした(※2010年10月現在約6000人)。
―――
C(シー)が4だから4000人だったんですね(笑)。 でも、ファンが増えれば増えるほど、おつきあいの仕方が難しそうですね? とっても熱心な方とそうでもない方とは、コミュニケーションの仕方が違ってくるかと思いますが?
丸山
それについてはまだ模索中なんですが、ソーシャルメディアで活動されている個人の方って、会社員とか主婦とか置かれている環境や立場は違っても、自分が一人の人間として企業や社会に影響を与えたいというモチベーションをお持ちだと思うんです。それに対する反応や評価が自分に返ってきた時に、「言ってよかった」「書いてよかった」と思っていただけるのではないかと思うので、「自分が発信したことに価値がある」ということを感じていただきたいと思っています。

だから、ファンの数が増えていっても「あきらめなければ自分もフォーカスされる」という場をうまく作っていきたいですね。
―――
それはもう、単純な利害関係ではない、心理学の世界ですね。でも、丸山さんお一人だと深い「絆作り」には限界があるのでは?
丸山
例えば弊社商品の特性上、薬事法に違反してしまっている方には全部メールをお出ししているのですが、皆さんものすごく真面目に反応してくださって、「受け入れてくれる土壌」を感じるんです。

例えば、この土壌をうまく活かして、一対一のコミュニケーションをオープンにしたら、周知できる事も多いと思いますし、「なんだか楽しそう」という熱量を増勢させることもできるのではないかと考えています。
―――
ソーシャルメディアでは新しいテクノロジーが次々に出てきていますが、そこに期待している事、取り組んでいきたいものはありますか?
丸山
新しいテクノロジーによるツールが増えることによって、伝播する可能性は広がっていくと思います。モニプラでも、TwitterやYouTubeを利用した企画が可能になったりと日々進化しているので、広がりを見ながら少しずつ研究し、ファンの方々との「絆作り」を頑張っていこうと思っています。

インタビューを終えて

 今回、インタビューにご協力頂いたハウスウェルネスフーズでは、SMMプラットフォームであるモニプラを活用したSMMにより、着実にプロモーションの成果をあげている。

 モニプラ上のファン会員に対して実施した「母の日のアンケート」を元に作成したプレスリリースが、ニュースリリースのポータルサイトに取り上げられ、PR効果を生み出し、一方で、自社サイトへの流入元ドメイントップ10のうち、約半分はブログ記事のドメインが占める結果となっており、直接的な集客効果も測定されている。

 また、モニプラ内でのファン会員との密なコミュニケーション活動により、ファンのロイヤリティを高めることに成功し、自社が伝えていきたいメッセージを自発的に発信してくれているファンもいるという。

 上記はほんの一例に過ぎず、ハウスウェルネスフーズでは、SMMを通じて、“深く響く”プロモーションを実施しており、多くの成果を残してきているのである。そして、そのような周りへの影響が社内にも認められ、ハウスウェルネスフーズではソーシャルメディアを活用するマーケティングへの重要性が全社的に高まってきているという。

 昨今、多くの企業から注目を集めているTwitterやブログ、SNS等のソーシャルメディアを活用したマーケティング。その注目度に比例して、「始めたいけれど、どのように着手すれば良いのか分からない」という企業の声も多数耳にする。

 ハウスウェルネスフーズでは、SMMプラットフォームであるモニプラを導入し、消費者とコミュニケーションをとりながら、さまざまなプロモーションの成果に結び付けることに成功している。

 今後、SMMの導入を検討している企業はこのようなハウスウェルネスフーズの活動を参考にしてみるのがよいのではないのだろうか。

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アライドアーキテクツ株式会社(アライドアーキテクツカブシキガイシャ)

 「ソーシャルメディアの力をすべての人と企業に」を掲げ、ソーシャルメディアを活用した企業活動の支援をしております。・日本初のモール型ソーシャルコマースサイト「品品プレミアムモール」・のべ1000社の導入実績を誇るSMMプラットフォーム「モニプラ」・個別のデザインからシステム開発まで幅広く対応するWebソリューション「aafactory」 からなる3つの事業を運営しております。詳細はこちらからご確認ください。【主な受賞実績】・日本WEBデザイナーズ協会(JWDA)主催「WEBデザインアワード2009」最優秀賞・日本WEBデザイナーズ協会(JWDA)主催「WEBデザインアワード2010」奨励賞・2007年9月「レッドヘリングが選ぶ2007年アジアのベンチャーTOP200社」入賞・2007年3月「DREAM GATE AWARD 2007」ベストベンチャー30社入賞

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2011/06/10 13:35 https://markezine.jp/article/detail/12210