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個人事業者が仕掛ける最先端ソーシャルコマース
“本当のファンづくり”で顧客獲得単価・リピート率を劇的に改善

 コーヒー豆や関連機器を販売するECサイト「AROMAS COFFEE MARKET(以下、ACM)」は、ソーシャルメディアマーケティングとフラッシュマーケティングを活用し、リピート率約9割を維持している。オーナー兼店長の金森氏は、19歳でサラリーマンとしてカフェ業界に就職し、25歳で自らのカフェを独立開業したという異色の経歴の持ち主。独立後、実体験をもとに試行錯誤を繰り返しながら、Webやマーケティングの成功ノウハウを身に付けてきた。金森氏に、今注目のソーシャルコマースに関する見解と成功の秘訣を伺った。

今回お話を伺ったのは…
金森正義 氏
AROMAS COFFEE MARKETオーナー兼店長。25歳で福岡にカフェをオープン。その後、カフェの運営と並行してECサイトをスタート。本格的にECに従事すべく、拠点を神奈川県横浜市に移し、現在に至る。Web/ダイレクトレスポンスマーケティングに精通し、実体験をもとにした独自のノウハウを持つ。数年前からTwitter、Facebookを活用したマーケティングも手掛ける。

若くしてカフェを独立開業、さらにBtoB向けECサイトを独学で軌道に乗せる

―――
まず、現在に至るまでの経歴についてお聞かせください。
金森
19歳の時、地元大阪でサラリーマンとしてカフェ業界に就職しました。就職する前から、いつかは独立するぞという気持ちはありましたね。

その後、25歳の時に妻(当時は彼女)が長崎に転勤が決まったこともあり、転機を感じて、妻の職場からほど近い福岡でカフェを独立開業しました。開業資金に関しては、自分の貯金と、足りない資金は家族や知人に借金をして用意しました。現在では完済しています。

福岡でのカフェ運営がある程度落ち着いてきた頃、今度は妻の東京勤務がきっかけとなり、東京への移住計画を立てました。もともと東京進出は目標としてあったので、カフェとは別の収入基盤を作るべく、Webでの通販事業を開始したという感じです。ちょうど2007年頃だったと思います。
―――
その時期からWebでのビジネスを開始したわけですね。
金森
そうですね。Web事業では自社サイトでのコーヒー豆の販売から始めました。ただ、あれもこれもというのは困難だと思ったので、自社のポジショニングとターゲティングを明確にするために、開始当初は販売ターゲットを法人に絞りました。

個人であれ法人であれ、注文を獲得する労力は同じだろうと考え、それならば、1件の単価が高い法人にすべきという結論に至りました。

商品に関しては、低価格で品質の良いものにこだわり、品質が同程度であればACMの商品が安く手に入れることができるように価格を設定しました。
―――
BtoB向けのECではどのように販促活動を行ったのですか?
金森
DRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)を中心に行い、Web上の販促活動ではSEMに注力しました。マーケティングやWebに関しては、寝る間も惜しんで勉強し、トライ&エラーを繰り返しながら、成功体験を積んでいきました。その中でも、最も効果的だったのは見込み顧客リストへのメールマーケティングですね。

顧客を獲得してもリピートしなければ赤字でしたが、商品の特性上、リピートすることは確信していたので、徐々に売上も拡大していきました。
―――
その頃にマーケティングやWebの販促の知識を身に付けたということですね。その後、BtoCへ事業を拡大されたのですか?
金森
そのとおりです。BtoCへの事業拡大はうちにとっては攻めの決断だったんです。BtoBだけでもそれなりに事業は安定していたのですがマーケットとしては小さく、より大きなマーケットをとるためにBtoCでのビジネスを開始することにしました。

ただし、BtoBでの成功体験をそのまま適用するのではなく、BtoCならではのマーケティングを実施していく必要があると考えていました。

ソーシャルメディアでの“おもてなし”を求め「モニプラ」活用に辿りついた

―――
BtoCでは、どのように販促活動を行ったのですか?
金森
ソーシャルメディアを活用したマーケティングをメインに実施しました。

事業開始当初から、カフェ時代に培った「おもてなし」の精神をECでも活かせないかと考えていました。具体的には、Web上で消費者と会話しながらつながりを形成していくことで、最終的に販売へつなげていくというような施策です。一方で、BtoBの頃に、SEM施策に頭打ち感を感じていたことと、毎日の数字とのにらめっこに少し飽きていたことも事実でした。

また、この頃ソーシャルメディア経由のサイトへのアクセスが増えてきており、このような背景もソーシャルメディアをマーケティングの基盤と考えるうえで、自信となりました。
―――
BtoCの事業を始めるタイミングが、ソーシャルメディアが注目され始めた時期とちょうど重なったのですね。
金森
そうなんです。2009年にBtoCを開始し、まずはTwitter上にショップのアカウントを作成し、運用を始めました。

約3ヵ月でフォロワー数は5,000人を超えるくらいまでになったのですが、Twitterを運用していくうちに、フォロワーは販売するためのリストではないと気付いたのです。
―――
他にもソーシャルメディアを活用していたのですか?
金森
Facebookのファンページも試験的に開設し、運用しましたが、当時は今以上に日本での認知度は低く、商用的な利用は難しいと考えました。
―――
なるほど。その他の手法に関しては検討しなかったのですか?
金森
当然、有名ショッピングモールへの出店も検討しましたが、BtoCを始める際に自分が求めていた“消費者とのつながり”という考えとは相反すると考え、やめました。
―――
あらゆる施策を検討していたんですね。最終的にどの手法を選ばれたのですか?
金森
消費者との会話やつながりを重視した末に、辿り着いたのがアライドアーキテクツ株式会社(以下、アライドアーキテクツ)の運営するソーシャルメディアマーケティングツール「モニプラ」でした。

モニプラでは、Facebookで実現できることがすべて実現できるうえに、消費者とのつながりを形成するための仕組みが用意されていました。

ソーシャルメディアを介して消費者と会話し、ファン形成のための活動をすることは、SEMとは異なる面白さがあり、新たな挑戦になるのではないかとワクワクしました。まさに、自分が求めていたプラットフォームがここにあったという感じがしましたね。

また、モニプラを活用し、ブロガーにブログ記事を書いてもらうことで被リンクの獲得にもつながるので、SEO対策の一環としても投資は回収できると考えました。
AROMAS COFFEE MARKETがファンサイトを開設しているソーシャルメディアプラットフォーム「モニプラ」
AROMAS COFFEE MARKETがファンサイトを開設しているソーシャルメディアプラットフォーム「モニプラ」
―――
モニプラを活用してソーシャルメディアマーケティングに本格的に取り組み始めたということですね。
金森
そうです。それと、私がモニプラへの出展を決めるタイミングで、アライドアーキテクツからモール型のソーシャルコマースサイト「品品(シナジナ)プレミアムモール」のサービスリリースの案内もあったので、モニプラによるソーシャルメディアマーケティングの受け皿としてシナジーが期待できるのではないかと考え、品品プレミアムモールにも出店を決めました。
―――
アライドアーキテクツの運営する2つのソーシャルサービスを利用してみて、実際にどのような効果がありましたか?
金森
まずモニプラに関しては、開始2ヶ月半で約1,000名のファンブロガーをACMのファン会員として集めることに成功しました。

モニプラ上では、消費者とのコミュニケーションを活性化するために「イベント」と称した“コーヒーの試飲モニター”を募集しているのですが、予想以上に反響がありますね。

また、モニターの方から商品に関する嬉しいお言葉をブログでいただいたり、コミュニティサイト内へのカキコミを通じて消費者と会話ができたりと、着実に消費者とのつながりを形成できている実感があります。

そういえば、この前はファンブロガーの方が、うちのお店のコーヒーを購入して、飲んだ感想を善意でブログに投稿してくれました。

2ヶ月半で1,000名のファンを獲得、転換率も高く強い絆づくりに成功

―――
施策を始めてから、どのくらいの方が購入してくれているのですか?
金森
まだ始めたばかりですが、モニプラで集まったファンのうち100名位は購入していただいています。
―――
ファンブロガーの10%が購入客とは、素晴らしい成果ですね。秘訣はあるのですか?
金森
おそらく、モニプラだけではなく、品品プレミアムモールにも出店していることが大きく関係していると思います。モニプラ内のファンブロガーとのコミュニケーションが活性化してきたころ、同時期に品品プレミアムモールでフラッシュマーケティング型のタイムセールを実施したのですが、約2時間で用意していた100セットのコーヒー豆が完売してしまいました。

これまでに、一瞬でこんなに多くの注文をいただいたことは初めてだったので驚きました。一方で、顧客の流入元や内訳を見てみると、モニプラのファンブロガーやモニプラ内のファンコミュニティサイトからのお客さんが大多数を占めていました。
―――
すごいですね。タイムセールの際、モニプラのファンブロガーの方々に対して、工夫したことはありますか?
金森
ファンの方には、タイムセールの開催前にモニプラのコミュニティサイトを通じて、タイムセールの告知を行っていました。ただ、ここまでの反響は期待していませんでしたが(笑)。

実際には、購入者の過半数以上がモニプラのファンブロガーでした。さらに調べてみると、このファンブロガーの方々が、うちのタイムセールをTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを利用して、積極的に拡散してくれていたみたいです。その結果として、今回のタイムセール時には通常の10倍以上のサイトへのアクセスを得ることができました。
「品品プレミアムモール」で実施したタイムセールは100セットがわずか2時間で完売
「品品プレミアムモール」で実施したタイムセールは100セットがわずか2時間で完売
―――
まさに“ファン”ですね。
金森
改めて、消費者とのつながりは商売をする上で大切なことだと確認しました。
―――
その他にも、実感している効果はありますか?
金森
リピート率が高いですね。品品プレミアムモールで購入してくれたお客さんに、品品プレミアムモールの機能を活用して特別割引クーポンをメールで配布しているのですが、現状、ほとんどすべての方がリピート購入してくれています。

モニプラや品品プレミアムモール経由の購入者は商品の良さを理解していたり、うちのお店とのつながりを感じてくれているロイヤリティの高いお客さん、つまりファンになってくれている方が多いのではないかと考えています。
―――
素晴らしいですね。今のところBtoCの戦略はうまくいっているようですね。
金森
そうですね。開始して2ヶ月半位ですが、顧客一人あたりの獲得単価は1,000円程度で、これまでとは比較にならないほど、新規顧客獲得単価を抑えることができています。
―――
今後のソーシャルメディアマーケティングに関する取り組みを教えてください。
金森
現在、モニプラのファンブロガーの約10%が購入客へ転換しています。この割合を維持しながら、ファンの数を増やしていくことです。そのためには、会話の総量をさらに増やしていく必要があります。

ファンと会話することは、そんなに苦じゃないんです。上京する前にカフェでお客さんに接客をしていた経験が活きているのだと思います。自分にはおもてなしの精神が染みついているんです。

また、品品プレミアムモールに関しても、購入者のクチコミを増やすために、会話の総量を増やしていく必要があると考えています。
―――
費用対効果に関してはどのようにお考えですか?
金森
先程、新規顧客獲得単価の話もしましたが、大変満足しています。もともと直接の売上が見込めなくても、モニプラのファンブロガーによって月間50~200位の被リンクの獲得やクチコミの波及があるのであれば、費用的にはまったく問題ないと考えていました。
―――
最後に、BtoCの戦略として「ソーシャルメディアマーケティング」を選んでみていかがですか?
金森
繰り返しになりますが、これまでの結果を踏まえると、モニプラと品品プレミアムモールによって獲得した顧客はリピート率が非常に高く、うちの本当のファンになってもらえていると考えられます。これは、普通のショッピングモールや販促施策では不可能だと思います。

また、ソーシャルメディアマーケティングにおいては、カフェで培った自分の「おもてなし」の精神が、他店との差別化ポイントになっているのではないかとも考えています。これからは、コミュニケーションが可能な接客するECサイトとして、競合優位性を確立させたいと思います。

インタビューを終えて

 今回、インタビューに答えていただいたAROMAS COFFEE MARKETの金森氏は、Web上における消費者との会話、つながりを大変重視している姿勢が印象的だった。

 これまでのWebは無機質なやりとりが基本だったが、Twitterやブログ、Facebookが一般的になってきた昨今、Webだからこそこれまで会話ができなかった消費者と会話ができるようになったとも言える。

 これからのWebは売り手と買い手の会話やつながりが、これまで以上に必要となりそうである。ソーシャルメディアマーケティングやフラッシュマーケティングの導入を検討されている企業は、今回のAROMAS COFFEE MARKETの取り組みや考え方を参考にすると検討しやすいのではないだろうか。

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この記事の著者

アライドアーキテクツ株式会社(アライドアーキテクツカブシキガイシャ)

 「ソーシャルメディアの力をすべての人と企業に」を掲げ、ソーシャルメディアを活用した企業活動の支援をしております。・日本初のモール型ソーシャルコマースサイト「品品プレミアムモール」・のべ1000社の導入実績を誇るSMMプラットフォーム「モニプラ」・個別のデザインからシステム開発まで幅広く対応するWebソリューション「aafactory」 からなる3つの事業を運営しております。詳細はこちらからご確認ください。【主な受賞実績】・日本WEBデザイナーズ協会(JWDA)主催「WEBデザインアワード2009」最優秀賞・日本WEBデザイナーズ協会(JWDA)主催「WEBデザインアワード2010」奨励賞・2007年9月「レッドヘリングが選ぶ2007年アジアのベンチャーTOP200社」入賞・2007年3月「DREAM GATE AWARD 2007」ベストベンチャー30社入賞

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2012/09/11 17:42 https://markezine.jp/article/detail/12433