企業が自社で所有する「owned media」、お金を払って広告を掲載するメディア「paid media」とは異なり、「earned media」は、企業が何もしなくても、クチコミなどが「もたらされる、得られる(earned)」メディアを指し、ソーシャルネットワークなどがそれに当たる。
ニールセンが、56か国で2万8000人のインターネットを利用する消費者を対象に実施した「Global Trust in Advertising Survey」では、回答者の92%が「アーンドメディア(earned media)」、すなわちクチコミや友達や家族からのおすすめを信頼すると回答しており、あらゆる形態の広告を上回っていることがわかった。この数値は、2007年の調査から18%上昇している。
2番目に信頼されているのは、「消費者のレビュー」(70%)で、この4年間で15%上昇している。一方、「有料テレビ」「雑誌」「新聞」の広告を信頼すると答えた人は約半数にのぼるが、それぞれ2割ほど信頼度が低下している。
こうした状況にもかかわらず、広告費の多くは従来のペイドメディア(テレビなど)に支払われている。ニールセンが2011年に行った調査によると、世界の広告費は7%前年を上回っている。この広告費の伸びは、米国、中国などでテレビ広告費が10%近く伸びたことによるもので、テレビ広告は引き続き主要な手法となっている。しかし、こうした広告費の投下が、クチコミなどを重視する消費者の傾向と合っていないのではないかとニールセンは指摘する。
そのほかの広告の信頼度を見ると、「オウンドメディア」58%、「電子メール(配信を許可したもの)」50%、「ラジオ広告」42%、「映画館の予告編」41%、「テレビ番組での商品提供」40%、「検索連動型広告」40%、「オンラインビデオ広告」36%、「ソーシャルネットワーキングサイトのスポンサード広告」36%、「オンラインバナー広告」33%となっている。
また、消費者がほしい情報や製品を探しているとき、広告がそれらの興味・関心に関連性をもっているかについて、「テレビ広告」を評価する人は50%。これはとくに中東、アフリカ、パキスタンで高く、これらの国では65%の人が「テレビ広告」を高く評価している。それとは対照的に、欧州では30%にとどまっている。ほかの広告では、「バナー広告」33%、「ソーシャルネットワーク」「オンラインビデオ」の広告はそれぞれ36%、「検索連動型広告」は42%となっている。
ニールセンは、広告のROIを押し上げる ために、 マーケターは、広告の内容とメッセージがそれを見る消費者に適しているかを確かめる必要があるとしている。
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