西友に入社する前は、日本コダック(現コダック)、日本コカ・コーラ、ソラーレホテルズアンドリゾーツなどで、マーケティング関連の職務を歴任。日本コカ・コーラではiモードでコカ・コーラが買える自販機システム「Cmode」の立ち上げを担当。現在は、合同会社 西友でマーケティング本部担当 執行役員シニア・バイス・プレジデントを務める。座右の銘はたくさんあるが、今のお気に入りは「過ぎたハンサム休むに似たり」「渾身のアイデアは全てを解決する」。
メーカーから、小売のマーケティング責任者へ転身の理由
青葉 ―― 富永さんは、2008年に西友に入社されるまでに、数々の外資系企業でマーケティング業務を経験されています。これまでのご経歴を教えていただけますでしょうか。
新卒で旧・日本コダックに入社いたしました。そこでは、医療分野のX線機器のマーケティング・コミュニケーションに携わっていたのですが、その際、当時の上司が「AIDMA」の理論を教えてくださり、こんなに面白いことはないという思いに駆られ、ブランディングやマーケティングの道を究めようという思いが固まりました。また、それならばブランドのお手本と表されるコカ・コーラのブランドマネージャーを目指そうという思いに至りまして日本コカ・コーラに転職しました。
日本コカ・コーラでは、当時の新しい課題であった、ケータイと自販機を用いたマーケティングイノベーションを担当いたしました。コンビニなどの購入場所が増え、一昔前よりも苦戦を強いられていた自販機とケータイを掛け合わせ、ケータイで自販機の商品を購入できるシステムの立ち上げなどを手がけました。
青葉 ――マーケターとして、様々なご経験を積まれてきていらっしゃいますが、その後、2008年に西友にご入社されるきっかけを伺えますか。
実は、かねてより憧れていたブランドマネージャーという仕事に、疑問を抱きはじめたのです。例えばコカ・コーラのブランドマネージャーは、コークのブランドをすべてマネジメントできているのだろうか、と。それは何かというと、同じ商品でも自販機で買うのかコンビニで買うのか、チャネルによって購買体験の価値が大きく違ってくる。
つまり、消費者が体験する価値はチャネルからの影響が大きいのではないかと考えたのです。そういった疑問から、流通・小売業のマーケティングに興味を持ちはじめました。そういった観点に立って、その後、外資系タバコ会社のチャネル開発や国内ホテルチェーンのチーフマーケターを経て、2008年に西友に入りました。