モノゴトの順番とつながりが重要です
唐突ですが、この事を理解して実行していただくことがGTMモデル構築において非常に重要になってきますので、少々お付き合いください。
「モノゴトの順番とつながりが重要です」これは筆者の愛読書でもある、一ツ橋大学のビジネススクールで教授を務める楠木建氏の名著『ストーリーとしての競争戦略─優れた戦略の条件』(注1)の中で出てくる言葉です。筆者の理解では、楠木氏は「限られた経営資源の中で他社と違いを作り競争を勝ち抜くためには、どんな要素を考慮するかも重要だが、どんな順番で要素を盛り込み、つなげるか。つまり、ストーリー化することがより重要だ」と述べられています。
GTMモデルは「競争を勝ち抜くための戦略プランニング」という側面も強いので、取り組むには、モノゴトの順番とつながりが重要になってきます。では、なぜ順番とつながりが重要なのか、それを怠った場合どういう事が起こりやすいのかについてもお話ししていきたいたと思います。
■GTM(ゴートゥーマーケット/Go to Market)とは
自社の製品やサービスをどのような流れで顧客へ届けるか、そしてその前提となる「どのマーケットになぜ進出するのか」までを指す概念であり、主要な欧米企業では各社で活用が進んでいるマーケティング戦略の一つ。
全体像の重要性と難しさ

上図が「GTM DMIモデル」の全容になります。3つのレイヤーから構成され、10の要素を検討していくことで、新規製品や新規事業のプランニングを精緻化するためのモデルとなっています。ざっくり言うと、「Market & Account」レイヤーでは進出する「市場と顧客企業」、「Buyer & Value」では「自社が解決できる課題と価値」を「Channel & Engagement」では「プランの実行方法と進捗管理」の解像度を上げるためのモデルと考えてください。ここで重要なのは、このモデルの順番通りに検討を進めることです。
「Market & Account」レイヤーでは進出する市場、つまりどんな土俵で勝負するのか、勝負するのに値する=企業成長に寄与する土俵を選びます。その上で、「Buyer & Value」では自社の勝ち筋を、「Channel & Engagement」ではプランの実行性とゴール設定および進捗管理の方法を明確化していきます。
つまり、「どんな土俵で戦い」、「勝ち筋を見つけ」、「何を目指すのか」を順番に決める事が重要なのです。一見当たり前のように聞こえますが、実は全体像を把握し、ストーリーをつなぐことが中々難しいのです。