ネットだけで新規顧客を獲得し、売上をつくるのは難しい
「本セッションテーマは『売上が上がるメディア戦略』。オンライン販売を成功に導く要因について、広告主と媒体社、双方の視点からディスカッションしてきます」とモデレータの売れるネット広告社 亀谷誠一郎氏は切り出した。
電通が毎年発表している「日本の広告費」によると、2013年の日本の総広告費は5兆9,762億円(前年比101.4%)。そのうち、インターネット広告費は9,381億円を占めており、今や新聞・雑誌を抜き、テレビに次ぐ第2のメディアにインターネットは成長している。
だが実際のところ、「ネットだけで新規顧客を獲得して、売上をつくっていくのは難しい」と亀谷氏は指摘する。バナー広告に代表される変わりばえのしない広告枠、ネットを使った通販企業の増加、テクノロジータックスなどの間接費の増加、それらによって広告主も媒体社も儲かりにく構造になっている。これらは多くの企業が直面している課題だが、「広告主の立場からみたネット広告の使い方について、門松さんはどう思われますか」という亀谷氏の問いを受けて、ピーチ・ジョンの門松茂伸氏は答える。
「もともと弊社は、ネットではなく、カタログ通販から始まった女性向けの下着を販売している会社です。テレビCMを出すことで、売上を伸ばしてきた歴史があります。ただ、テレビの視聴率が厳しくなり、雑誌の売り上げの部数が非常に落ちてきたこともあり、逆にネット広告をしっかりやらなくてはと、取り組み始めました。なので、単純にネット広告を出稿して、売上をとっているというモデルではそもそもありません。弊社は120~130億円程度の売上ですが、全てネット広告だけでつくれるかというと、それは厳しいでしょう」(門松氏)
テレビCMや交通広告など、多岐にわたるピーチ・ジョンの広告戦略
ここで、門松氏からピーチ・ジョンの広告戦略について提示された。
「基本的に既存のお客さまにカタログを送り、そこで売上をしっかりととっていきます。ただそれだけでは新規顧客の獲得はできないので、テレビCMで新規顧客層への認知を高めます。加えて、下着を買おうかなと思っているお客さまに1番目に“ピーチ・ジョン”というブランド名を想起してもらえるように、駅に大きな広告を年間で出すといったかたちで、安定的にお客さまにブランドを見ていただいています。
最近ではアドトレーラーを試しました。渋谷と新宿で1度回してみたのですが、実のところ効果は厳しかったですね。今日ではいろんな広告媒体が登場しており、ネット以外の領域でも主戦場として戦っています」(門松氏)