スパイスボックスとシード・プランニングのデジタル領域の市場・サービス調査機関であるデジタルインファクトは、生活者に直接的に関連するIoTの進展が広告・マーケティング市場にどのような影響を及ぼすかについて、調査研究を行った。
IoT(Internet of Things)は、「モノのインターネット」と呼ばれ、世の中にある様々なモノがインターネットに接続されてつながっていく世界のことを意味する。生活者をとりまく様々な“モノ=デバイス”がインターネットに接続することで、Always on(=生活者が常にオンラインに接続している)な環境が生まれ、大量のデータの収集・利活用の可能性が広がると考えられている。
2020年のIoT広告市場は、約5倍の1,290億円規模に
IoTの進展により、デジタルサイネージやウェアラブル端末、カーナビなどを新たにタッチポイントとするオンライン広告市場の拡大が期待される。このうち、2013年時点のIoT広告市場規模そのもので、引き続き最大の要因となるデジタルサイネージは、今後急速にネットワーク化が進み、IoT広告市場の多くを占めるカテゴリとなることが予想される。
ウェアラブル端末は、生活者向けではフィットネス、ヘルスケア、エンターテインメントなどの用途で普及が進むことが予想できる。その一部で広告ビジネスにより提供されるサービスの普及が期待される。カーナビは、現在広告ビジネスを展開する大手ITサービス事業者による地図情報サービスの提供がされるなど、端末のネット接続化の進展により、サービスの拡大が期待されている領域と言える。2020年までには位置情報・地図情報と連動した広告需要が一定規模に拡大することが予想される。
IoT広告市場はこれらの需要を背景に今後拡大し、2020年には2013年の約5倍の1,290 億円規模となることが予想される。
ネット接続可能なIoT生活者デバイス数は、1人あたり平均6.8台に
IoT化の進展により、スマートデバイスなど生活者が普段身に付けているものや、テレビなどの家電、外出先で接する交通機関や店舗設備など、日常生活をとりまく多くのモノのネット接続が進むと予想される。
そのため、ネット接続が可能な生活者デバイス数は、2013年時点で国民一人当たり推定2.83台だが、2015年には3.04台、2020年には6.78台に増加すると予想される。
“生活者関連データ”は2020 年には約42倍の1億6,514万TBに
IoTの進展により、今後生活者が日常的に接するデバイスからのデータ収集量は急速に増加することが予想される。同調査では、PC、スマートフォン、ウェアラブル端末など、生活者が日常的に接するデバイスや、店舗・アミューズメント、交通機関などの空間から、得られる生活者に関する属性や行動履歴などのデータを、生活者関連データと定義※。その一次流通量を推計、予測した。
その結果、生活者関連データの一次流通量は、2015年には1,000万TBを超え、2010年比で約5.3倍、2013年比で約3.1倍の水準に達し、2020年には1億6,514万TBとなることが予想される。これは、2013年比で約42倍の水準となる。生活者関連データは、プライバシー保護に配慮し、利活用時の生活者に対する透明性を担保した手続きが確立され、社会的な理解が得られることを前提に、広告・マーケティングサービスの高度化に寄与することが予想される。
※生活者関連データの種類
GPSデータ、RFIDデータ、電子メール、Blog・SNS記事、アクセスログ、交通量・渋滞情報、動画・映像視聴ログ、センサーログ、OSデータ、CTI音声ログデータ、携帯電話、ECにおける販売ログなど
【調査概要】
調査時期:2014年9月~2014年11月
調査方法:公開情報の収集および、有識者、業界関連事業者へのヒアリング調査
調査主体:株式会社スパイスボックス
調査機関:デジタルインファクト
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