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統括編集長インタビュー

「全機能の5%しか使えていない。それが最大の課題」ロレアルオーストラリア・デジタル担当インタビュー

 米セールスフォース・ドットコムが米国時間6月16日から3日間にわたって開催した「The Connections 2015」内でロレアルオーストラリアのデジタル担当へのインタビューが実現した。ロレアルがデジタル戦略を推進する狙いとは。

 ── 16日のブレイクアウトセッションで紹介されたアプリを活用した施策が印象的だった。

 ありがとうございます。あのセッションで紹介した『Makeup Genius』は、アプリ上でメイクを試すことが可能なアプリです。顔検出アルゴリズムを取り入れており、自分の顔写真を撮ることで自動的におすすめのメイクを自分の写真に施してくれます。ロレアル所属のメイクアップアーティストたちがフォーマットを制作していて、セレブたちが施しているメイクパターンを試すこともできます。アプリ経由で化粧品の購入が可能なのはもちろん、メイクのやり方を教えるハウツー・ビデオも用意されています。

 このアプリは1年前から提供されています。日本での展開はまだですが、世界30か国で利用されている状況です。オーストラリアでは2か月前からスタートしたのですが、既に50万以上のダウンロードがあります。

Head of Digital for L'Oreal ANZ Christophe Eymery氏
Head of Digital for L'Oreal ANZ Christophe Eymery氏

 私たちのようなブランドの課題は、お客さまと直接のコンタクトポイントを作ることです。アプリ利用にはプロフィール登録が必要となり、どのような行動・購買をしたのか、どんなメイクアップを試したのかなどの情報が、セールスフォース側に送られる仕組みとなっています。CRMデータに加えてこのような個人の趣味・嗜好や購買行動のデータを取得することで、どんな人が何を欲しがっているのかがわかるようになるので、よりきめ細かなパーソナライズ施策の実現につながります。

 ── アプリ経由での売上は。

 実数は非公表なので申し上げられませんが、周辺の数字を申し上げます。先ほども申し上げましたが、現在のダウンロード数は約50万となりまして、1回にユーザーが利用する金額は20~50ドルです。月間アクティブユーザーが約8万人、コンバージョンレートは1%程度となります。

── リアル店舗との連動も行っているのか。

はい、例えば商品バーコードをスキャンすると、その商品をスマホ上で試せるなどの機能も提供しています。化粧品売り場で化粧品を試す時間がない場合や、ちょっと試してみたいといったニーズにお応えしております。

 現在、ロレアルは50以上のブランドを市販しており、ヘアカラーのほかにパーマ、スタイリング、ボディケア、スキンケア、洗顔、香水など美容のあらゆる分野における商品を提供しております。また、私たちの商品は、ヘアサロン、香水売り場から、スーパーマーケット、ドラッグストア、薬局、ECとあらゆる場所で提供されています。

 これまでは私たちも各ブランドごとにマーケティングを行っておりましたが、環境変化に伴い今までのやり方を続けていては機会損失につながることに気づきました。私たち自身がデジタル/リアルの堺目を持つ意識をなくし、大局的な見地でカスタマージャーニーを捉え、トータルでマーケティングを実行していくことが大切と気づいたのです。

 ── そのような発想にはいつぐらいから持ち始めたのか。

 何年も前から課題には気づいていました。しかし実際のアクションにつながりはじめたのはつい最近にことです。

 ── アクションにつなげるためには何が必要だと思うか。

 個人・組織、両面での意識改革が必要です。個人の視点では「まずデジタル」という意識を強めることでしょうか。私自身は「デジタル」という肩書きが珍しい時代から、デジタル業務に関わってきました。デジタル業務の開発も行ってきましたし、教育、啓蒙も行ってました。

 組織の面でのロレアルの例を挙げると、一年前にグローバル・デジタル・チーフ・オフィサーという役職が作られました。CEO直属でデジタルの肩書がついたはじめての取締役となります。取締役にデジタル担当がいるということは、全社的にデジタルを推進するという強い意志表示にもなります。長い年月さまさまなアクションを起こし続けた結果、今の状態につながっていると感じます。

 ── 今後どのようなアクションをとっていきたいと考えるか。

 まずは、今利用しているプラットフォームを使いこなせるようになることが最優先だと思います。セールスフォースのプラットフォームは、先進的かつ信頼ができ素晴らしいと感じています。ただ一方で、全機能をフル活用できているかというと、決してそうではありません。私の感覚ですが、現状は全機能の5%程度しか活用できていないと感じます。投資に見合うだけの成果につなげていかなければなりませんので、啓蒙、教育と平行しつつ使いこなすためのスキル、ノウハウの蓄積を推進していきたいですね。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/06/26 10:00 https://markezine.jp/article/detail/22673

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