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『デジタル広告市場の最新潮流』は中長期の新人育成にも役立つ――fluctの小澤昇歩さんに聞く活用法

 MarkeZine編集部とシード・プランニングがまとめた『デジタル広告市場の最新潮流と現状動向分析調査』の刊行から5か月。「気になるけれど使い方が分からない」とお悩みの方もいるかもしれません。そこで今回、ご購入いただいた株式会社fluctの小澤昇歩さん(取締役)に、社内での活用法についてうかがいました。

 MarkeZine編集部とシード・プランニングが2015年6月に刊行した『デジタル広告市場の最新潮流と現状動向分析調査』は、「アドテクノロジー」「スマートフォン広告」「動画広告」「ネイティブ広告」の市場調査データと業界関係者へのアンケート・ヒアリングをまとめた業界全体を俯瞰できる資料です。

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 これまで多くの方・企業に好評をいただいていますが、中にはどうやって活用すればいいのか分からないという方もいらっしゃるかもしれません。価格に見合った価値はあるのか、読み通せば何かしらの効果があるのか……そういった疑問はもっともです。

 そこで今回、株式会社fluctの取締役、小澤昇歩さんを訪問。社内の勉強会で利用しているという噂を耳にし、購入に至った背景、実際の活用法、どのような効果を見込んでいるのかを、MarkeZine編集長の押久保がうかがいました。

株式会社fluctとは?

株式会社adingoから10月1日(木)に社名変更。サイト運営者向けGoogle認定パートナーであり、さまざまなウェブ広告の中から収益性の高い広告を配信し、効果向上を図るSSPサービス「fluct」を提供している。

※SSP(Supply Side Platform)とは、インターネット広告においてメディアの収益を最大化させる仕組みのこと。

購入は調べきれない最新情報と勉強会のため

押久保:今回MarkeZineではシード・プランニングさんと協同で『デジタル広告知市場の最新潮流と現状動向分析調査』(以下、「調査データ」)を制作しました。購入いただいた方からはさまざまな反響をいただいているのですが、fluctさんでは勉強会に使用されているとうかがいました。今回、そのことについてお話をうかがえればと思っています。よろしくお願いします。

 最初に、「調査データ」を購入された経緯を教えてくださいますでしょうか。

小澤:最初に見かけたのはFacebookのシェアでしたが、購入に至ったのは二つの目的があったからです。我々はSSPの仕事をしていますが、デジタルマーケティング全体について知ろうとするとけっこうハードです。書籍はあっても、最新の情報になると自分で収集しないといけません。ですから、自分たちでは調べきれない毎年のトレンドやさまざまな企業の方の考えを俯瞰して知っておきたかったというのが購入のきっかけの一つです。

 個々の情報はウェブで調べたりセミナーを受けたりしてドリルダウンできますが、「調査データ」には市場の大きな流れやいままでの市場調査の結果も掲載されているので、その点で便利かなと思います。

小澤昇歩さん
小澤昇歩さん:株式会社fluct

 もう一つは、VOYAGE GROUPが2014年に上場して作られたIRチームのためです。IRチームはデジタルマーケティングの専門家ではありませんが、投資家からは思いがけない質問や市場全体に関わるような質問が来ますから、IRチームといえどデジタルマーケティングの市場や関係企業について詳しく知っておかないといけません。それを学べるいい材料がないかと探していたところ、「調査データ」があったわけです。これにはオフィシャルの数字も載っているので、投資家相手にも納得してもらいやすいんですよね。

押久保:ありがとうございます。領域ごとに細かい情報はウェブにあると思いますが、それぞれどういうプレイヤーがいて、海外ではどうなっているのか、国内状況はどうなのかといった横串の視点で見られる資料があればいいなと私自身も思っていました。

 おっしゃるとおり、ウェブは点で存在する細かい情報をドリルダウンして知るには最適なメディアですが、俯瞰して見るにはあまり適さないところがあります。その考えが合致しているということで、たいへん嬉しく思います。

 お話に挙がったIRチームの皆さんは、「調査データ」で勉強する前はデジタルマーケティングや広告について明るくなかったのでしょうか?

小澤:いえ、むしろIRにかぎらず法務やファイナンスなどVOYAGE GROUPの管理部門は、どちらかというとかなり詳細まで事業理解を深めていこうと努力をしていると思いますし、ある程度事業部と同等の知識を持っているのは間違いありません。ただし、管理部門にいるメンバーの専門は、あくまでIRや法務やファイナンスなどの分野であり、またVOYAGE GROUPにはアドテク事業以外にも多くの事業が存在します。

 そのような背景の中で、業界の人でも追うのが大変なデジタルマーケティングや広告のことを、詳細にキャッチアップし続けるというのは本当にたいへんなんです。もちろん事業部として最大限のサポートやQ&Aをしますが、必ずしも充分とはいえません。そういうときに「最新の情報はこれなのでよければ読んでみてください」と数字付きの資料で渡せるものがあるのは非常に役立ちます。

トレーニングツールとしての「調査データ」

押久保:「調査データ」を用いて勉強会をされているとのことですが、これはどういったものなのでしょうか。

小澤:今年は新卒が3人配属されたんですが、半年ほど経って現場が分かり始めた中で、市場の全体像を知っておいたほうがいいと考えました。読んでもらうのは当然として、どうせなら新卒に輪読してもらうイベントみたいにしたほうがいいのではという話があったんです。それで、その3人と私、ビジネス開発のチームから合わせて6人で、毎週1時間半の勉強会を行なっています。

「調査データ」は、新卒からすると内容が難しいんです。それを私たち先輩がサポートしつつ、「cookieって分かる?」「ファーストパーティとサードパーティの違いって分かる?」と質問するなど、トレーニングのツールとして使っています。まだ半分ほど終わったところですね。

押久保:ディスカッションの材料に使っていただいているんですね。

小澤:押久保さんを前にして言うのもなんですが、書いてある情報が真実とは限りませんし、切り口の違いもたくさんありますよね。本部長クラスとの読み合わせでは情報が正しいのかという議論になりますし、新入社員には基礎的な解釈として編集された情報をそのまま読み取ってもらえればいいと思っています。

 これを読んだから知らなかったことをすべて知ることができるわけではないですし、読んでみたら「そうだよね」ということが多いと思いますが、そうした情報が編集されていることに意味があると考えています。体系立ててまとめられているのがいいところですよね。毎年作らないんでしょうか?

押久保:やろうとは思っています(笑)。おかげさまで反応は上々で、ヒアリングや市場動向レポート、MarkeZineの読者へのアンケートなど、自分たちならではの切り口でまとめていきたいですね。

小澤:年度ごとにあると、差分が分かってより深く考えられるのではないかと思いますね。

押久保:業界の変化が早いので、毎日起こっていることを追っているだけで時間が過ぎていってしまいますが、一歩引いて市場ごとに比較してみるのは大切かもしれません。今後5年、10年でデジタル市場は成熟産業になってくると思いますが、過去に比べてどういう変化が起きて、これからどう変化するのかと考察する材料として「調査データ」を作れればいいですね。

小澤さん&押久保
左:小澤昇歩さん、右:押久保

中長期的な人材育成にこそ役立つ

押久保:「調査データ」を勉強会、ディスカッションで活用いただいていますが、それによって個人のスキルアップにはどの程度影響を与えているという印象でしょうか。

小澤:我々が行なっているのはSSPというメディア向けの事業なんですが、広告業は広告主がいなければ成り立ちませんから、広告主とメディアの両視点をメンバーに持ってもらいたいと考えています。特に、新入社員は営業をする中で、いかにメディアの収益を上げるかという視点で発想していますが、一方で広告主がいるということを意識させたいんです。

勉強会の様子
勉強会の様子

 同じ情報を見ても、広告主とメディアの切り口では全然異なります。勉強会でそのあたりのことを質問して考えるようにしてもらうと、日頃の提案の厚みが徐々に増してくるのではと思います。中長期的な人材育成という点で見れば、非常に効果があるのではないでしょうか。

 短期的な効果を求めると、「調査データ」の価値を見出せないはずです。半年間でどれくらい効果が出るのかと訊かれると、ちょっと答えにくいですね。

押久保:もう1点は、お話にもあったように手間が省けるということもあるのでしょうか。業界のことを知っておいてほしいという方に対して、個別に時間を割いてレクチャーするとなるとたいへんではと思います。

小澤:そうですね。そういう意味では、短期的には新入社員や事業部外の方に読んでもらう分には有効です。そして中長期的には、これを材料にディスカッションするのがいいんでしょうね。

押久保:実は勉強会で活用されているのはとても新鮮に感じました。広告系の企業や投資会社の方にも購入いただいているのですが、業界を俯瞰できることに価値があると考えていたからです。

動きの早い業界だからこそ、情報を編集することに価値がある

押久保:では、内容に関して何か気になる点などありましたでしょうか。先に申し上げますと、「調査データ」ではアドテクノロジー、スマートフォン広告、動画広告、ネイティブ広告と4項目に分けてはいますが、実際にはスマホはこれらを横軸で繋いでいるものですから、本当にこの分け方でいいのかという話もありました。とはいえ、分けて考えるフェーズでもあるのかなとも感じでいたんです。

 業界の方にヒアリングしたときも、領域を分けて語るよりは、すべてをクロスしてお話いただくことが多かったですね。結果的にはそれを我々のほうで整理してまとめることにしました。

小澤:情報の切り口に関しては、別の方法もあるかもしれませんね。新卒がぱっと読むのは難しいので、基礎編ということで「そもそもアドサーバーとは」といった用語説明をしていただくといいかもしれません。

押久保:実際、用語集を設けるかどうかも考えたんですが、そこまで噛み砕くと専門性の濃さが弱くなるかなと思い、あえて用語説明はしていませんでした。

小澤:あとはヒアリングで関連企業が網羅されているのがよかったですね。新卒だと知らない企業もありました。こういったものを自分で作れとなると絶対に嫌ですね(笑)。価格の価値は編集にあると思いますから、私は充分に価格に見合ったものだと思っています。しかも外注して調査会社に作ってもらうとなると、これ以上の費用が必要ですから。

押久保:この業界はすぐにでもまた新しいキーワードやトレンドが出てくるでしょうから、毎年外注するわけにもいきませんよね。そこにこそ「調査データ」の価値、おっしゃっていただいたような編集の価値を提示できるのかなと。小澤さんのお話も参考にさせていただきつつ、来年も作っていければと思います。本日はありがとうございました。

デジタル広告市場の最新潮流と現状動向分析調査

紙版 PDF 紙+PDF

デジタル広告市場の最新潮流と現状動向分析調査
著者:MarkeZine編集部、デジタルインファクト
発売日:2015年6月17日
定価:162,000円(税込)

目次

  • はじめに
  • 調査概要
  • 市場分析編
  • 1.アドテクノロジー関連市場
  • 2.スマートフォン広告市場
  • 3.動画広告市場
  • 4.ネイティブ広告市場
  • 業界関係者ヒアリング編
  • Webアンケート調査結果編

 

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)

 翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/01/13 13:23 https://markezine.jp/article/detail/23402

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