動画アドテクの雄 アンルーリー、日本市場へ本格的参入
Unruly(以下、アンルーリー)という、英国ロンドンに本社を置く、動画アドテクノロジー企業をご存じだろうか。先月、元Facebook Japanの執行役員であった香川晴代氏を代表取締役に迎え、東京オフィスを開設したのは記憶に新しい。
アンルーリーは2006年に創業。来年で10年目を迎える企業だ。社員数は200名。キャンペーン実績は14,000件。AD AGEが選ぶグローバル広告主100社のうち、9割と取引をしており、インターナショナルブランドのグローバルキャンペーンの支援を担ってきた。日本でもすでに2009年から活用されており、パナソニック、ユニリーバ、サムスンなどの企業を始め、100件以上のキャンペーン実績を有しているという。データドリブン、アナリティクス、サイエンスを重要視するテクノロジー企業である同社は、日本市場への本格的参入を機に、同社は11月11日(水)に英国大使館において、ローンチセミナーを開催した。
同社 創業者 兼 共同CEOのスコット・ボタン氏は、「創業当時から我々のビジョンは変わらない。私たちは広告を改革していきたい。特に、デジタル広告の革命を起こしたい。広告主、エージェンシー、そしてパブリッシャーのみなさんにとっての革命を」と語り、広告主が向き合う3つの課題を提示した。
広告主が解決すべき3つの課題
1、Traditional forms of advertising becoming less effective
旧来の広告手法は、効率が下がってきた
2、The speed & uncertainty of social challenges marketers
ソーシャルメディアはスピードが速く、広告キャンペーンの効果の予測がつかない。不確実性にマーケターは向き合わなければならない
3、Programmatic brings new threats to brand reputation
プログラマティック広告(デジタルメディアの売買)が企業のブランドを棄損する可能性
旧来の広告手法の効果が下がってきた
「1980年代以来、テレビの効果が落ちてきていることは、よく言われてる」とスコット氏は指摘する。テレビチャンネルやコンテンツの増加に伴い、視聴者の分散化が進み、スケールを取りにくくなったのだ。米国ではテレビの視聴率は実に3割減だという。このようなテレビ離れの傾向は、世界中で見られている。
また、マルチデバイスの世界に移行したことにより、生活者のテレビを視聴する態度が変化したことも大きな要因だ。具体的には、FacebookやTwitterのアップデートを確認したり、SnapchatやWhatsAppの返信をしながら、テレビをながら見することが当たり前になっている。1980年代後半から現在にわたり、テレビへのアテンションの低下傾向は急激に進んでいる。
一方で、伝統的なデジタル広告、いわゆるバナー広告においても、効果の低下がみられている。デジタル広告の効果指標として重視されてきたCTRだが、2002年当時は平均2.4%程度だったが、13年後の2015年には、なんと0.2%まで低下した。つまり、ほとんど誰も広告をクリックしなくなってしまったのだ。「この比率は、飛行機が落ちる比率よりも少ない」とスコット氏は指摘する。