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デジタル×アナログの第一歩は「展示会」にあり BtoB企業は接触時間×接触頻度の最大化に努めよ!

 BtoB領域にも、マーケティングオートメーションを使ったデジタル上のリード育成が広がっている。そんな中、今改めて注目を集めているのが「デジタル×アナログ」、つまり展示会などのアナログな施策とデジタル施策の掛け合わせで効果を高める方法だ。「接触頻度と接触時間を考えると、より時間を費やしてもらうにはセミナーなどのアナログの施策が強い」と語るシャノンの村尾慶尚氏に、効果的なデジタル×アナログの展開と具体的な手法を聞いた。

なぜ今「アナログ」が注目されるのか

――マーケティングオートメーション(以下、MA)の発展もあって、BtoB領域のマーケティングにおいても、デジタル上のリード育成が進んでいます。その一方で、改めて展示会やダイレクトメールといったアナログな手法の良さに注目が集まり、「デジタル×アナログ」の施策が模索され始めています。まず、こうした流れをどうご覧になっているかうかがえますか?

株式会社シャノン マーケティング部 部長 村尾慶尚氏
株式会社シャノン マーケティング部 部長 村尾慶尚氏

村尾:デジタルが浸透したからこそ、アナログならではの施策の価値をこれまで以上に引き上げられる環境が整ったといえます。当社は元々展示会の受付管理システム開発から始まり、現在では多くの企業に「シャノンマーケティングプラットフォーム」を提供しています。

 お客様へのマーケティング支援、それから当社自体のマーケティングにおいても、デジタルだけで接点を持つよりも「アナログ施策を組み合わせた方が受注率が高い」ことが見えてきています

――そうなんですね。その理由はなんでしょうか?

村尾:今、Webでの情報提供はいくらでもできるようになりましたし、MAでピンポイントなアプローチも可能になっています。ですが、顧客の態度変容を促すためには、やはり時間をかけて商品やサービスの魅力を説明し、納得してもらわなければなりません。一方セミナーなら、1時間という設定はめずらしくない。「接触時間を長く取る」ことに関しては、やはりアナログが強いのです。

接触頻度×接触時間を最大化せよ

――確かに、時間をかけて認知や理解度を向上するには、展示会やセミナーが有効でしょうね。

村尾:マーケティングでは「接触頻度×接触時間」を最大化することが、受注なり購買なりのゴールに向かうための大きなポイントになると思います。保険や不動産などの高額商材やBtoBだと、頻度も時間も相当必要です。

 顧客がデジタルとアナログをシームレスに行き来する中、接触時間を長く取る のは前述のようにアナログが得意で、接触頻度を高めるのはデジタルが得意とする部分です。よって、この組み合わせを考えることが非常に大事になってきているのです。

――なるほど。頻度を多く保つのは、個々のユーザーに合わせたアプローチができるデジタルが貢献するわけですね。すでにデジタル×アナログを効果的に取り入れられている企業もありますよね。

村尾:ええ、先進的な企業はすでにデジタル×アナログで大きな成果を上げています。

 我々のお客様や他社を含めて市場を見ても、BtoB企業でMAを導入している会社の多くは、基幹システムや購買データと連携し、データドリブンマーケティングの環境がかなり整っています。だからこそ、アナログと組み合わせたときの効果や勝率も可視化できるので、受注率に貢献するマーケティングを実行しやすくなっているのだと思います。

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多くの企業がぶつかる課題「部門間の連携」を改善するには

――デジタルの発展によって、アナログを組み合わせた施策もデータドリブンでPDCAを回していけると。ただ、デジタル×アナログというコンセプトをマーケティングに導入すると、既存の部署間の連携が発生するケースも多いかと思います。その際、一気通貫でPDCAを回していくのに困難が生じそうですが……。

村尾:はい、我々のお客様も、部門間の連携に悩むケースが多いですね。マーケティングはそもそも企業ごとに取り組んでいる環境が違いますが、一つ大きな観点として「マーケティングを事業部内で推進しているのか、それとも事業部をまたがって推進しているのか」ということが挙げられます

 前者は事業部ごとのマーケティングなので、事業部に予算がありゴールも共有できるので、デジタルとアナログを組み合わせたときもPDCAを回しやすいです。難しいのは、後者ですね。A事業部、B事業部、C事業部……と複数の事業部に、マーケティング部が横断的に関わって支援しているようなケースです。

――そうなると、複雑になってきますね。

村尾:この場合、共通基盤を一度に全事業部に使ってもらうのは難しいので、一つの事業部でスモールスタートして先行事例をつくり、成果を可視化してから横展開することを勧めています。我々のお客様にも、大手企業で足掛け6年にわたり地道に進めているケースがありますね。

アナログは「ファーストステップ」に取り入れるべき

――では、デジタル×アナログ施策を展開する際、どのようなポイントがありますか?

村尾:前述のようにBtoBでは、ほとんどがデジタルだけでは成約せず、最終的には対面の商談というアナログな接点が必要になります。ですが、我々はファーストステップに置かれているアナログ施策の取り扱いを重要視するべきだと考えています。

 アナログ施策は展示会やセミナーが主になってきますが、これが最初にあると、企業の中で課題が顕在化して検討段階に入ったときに想起してもらえる率がぐっと上がります。

――ただ、展示会で情報収集している段階だと、まだリードになるかもわからない、温度が低い状態である場合が多いのでは……?

村尾:そうなんです。でも考えてみると、たとえばMAが今必要だとわかっている顧客は自ら検索するので、SEOなどデジタル施策で獲得して距離を縮めていけますよね。展示会で接触したいのは、むしろそうではない、まだ課題やニーズが顕在化していない潜在顧客なんです。

 BtoBの商材は、一度接触したからといって、その後いくら営業やデジタルでアプローチしても、本当に必要になった段階でなければ企業は動きません。だからこそ、アナログなファーストステップで価値ある体験を提供し、そこで差別化しておくことで、必要になった段階での想起率を高められるのです。

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展示会で成果を上げるためのポイント3つ

――BtoBだと、ホットになるタイミングは企業次第の場合が多いから、それに備えた種まきとして展示会を活用するということですね。確かに、冒頭にもあった通りアナログな場だと時間を費やしてもらいやすいですし、同じ内容を対面で語られるのとメールで読むのとでは理解の深さも違いそうです。

村尾:そうですよね。多くのお客様では、BtoB顧客のデジタル上の行動を追い、どういったキーワードに反応しているかなどを可視化して、各展示会がどれくらい認知に効果があったのか、半年ほどの単位で評価しています。それによって出展する展示会を取捨選択しながら、接触した潜在顧客にはデジタルでゆるやかにアプローチを続け、ホットになった段階で攻勢をかけるというわけです。

――なるほど。では、ファーストステップに展示会を置く際に、成果を上げるためのポイントはありますか?

村尾:大きくは、ゴールとKPIの設定、ターゲティング、ターゲティングごとのシナリオ設計の3つがあります。

 まずゴールとKPIの設定については、ビジネスゴールに近いKPIを設定し、それを毎日ウォッチすることが大事です。BtoBマーケティングでは、よくリード件数や資料請求などがKPIにされていますが、そうすると展示会の評価は難しい。

 昨今、マーケティング部門がコストセンターからプロフィットセンターになろうとしている流れがあります。しかし、購買プロセスが長い場合、KPIを売り上げにすると改善サイクルが遅くなります 。そこで、商談件数をKPIにし、そこまでの道のりを把握していくのが望ましいと思います。

ターゲティングに基づく5つのシナリオ設計

――ターゲティングと、それに基づくシナリオ設計についても教えて下さい。

村尾:ターゲティングは、属性ターゲティングと履歴ターゲティングの2軸で考えることがポイントです。履歴ターゲティングとは、Web閲覧や資料請求といった顧客の行動からわかる、興味度合いに応じたターゲティングです。顧客の接点履歴という視点を入れることで、前述の「接触頻度×接触時間」を考慮したシナリオ設計ができます。

 認知から興味関心、さらに比較検討といったフェーズを変えるには、一定の時間をかけて体験してもらうアナログな接点が有効です。よって、順にフェーズを追いながらデジタルとアナログを組み合わせて設計することが大事になります。

――組み合わせのパターンは、実際にいくつくらいあるのでしょうか?

村尾:展示会を起点にすると、そこで接触するのは多種多様な人達なので、一つのシナリオメールを飛ばしておけばよいとうような単純な問題ではありません。我々がお客様に提供している、シャノンマーケティングプラットフォームの伴走支援サービスで得た知見を基に分析を進めていますが、最低でも5つに分類する必要があります

 これらのうち、たとえば「ウォームリード」のシナリオ設計は、以下の図のようになります。メールが埋もれている場合の対策にDMやシナリオメールを活用したり、セミナーを開催しながら来られない人へは資料でフォローしたりすることが有効です。

――ここまで緻密に設計して自動化できると、デジタルとアナログをフル活用できますね。

村尾:そうですね、我々としてもそれが理想です。デジタルによってアナログの価値が再認識され、そのポテンシャルも大いに発揮できるようになっているので、両方を使いこなせるプラットフォームでビジネス成果を引き上げられると思います。

【資料】『BtoBにこそ生きるデジタル×アナログの組み合わせ これだけは必須な5つのシナリオ設計を徹底解説!』→ダウンロードはこちらから

 BtoBのマーケティング支援をする中でシャノンが導き出した、展示会を起点とする5つのシナリオ設計を徹底解説。下記5つのターゲットに対し、デジタルとアナログを組み合わせてどのようにアプローチすればよいのかを、詳細かつ実践的に解説しています。

(1)ホットリード:必ず成約までつなげたい5%程度の熱い人達。とにかくスピード対応が勝負。
(2)ウォームリード:ホットとは言えないが、今後動く可能性のある層。
(3)潜在ホットリード:実はホットな層。ニーズが顕在化すると一気に成約に進むことがある。
(4)リターゲティング顧客:展示会後目立った反応はなかったが、突然Webを訪問してくる層。
(5)休眠顧客:名刺交換はしたが、そのままになってしまう層。ボリューム的には最大。

 (※)ダウンロードはこちらから

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/08/31 11:00 https://markezine.jp/article/detail/29037