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「1日に10分、兼務でプロの広告運用」/プレイドが広告運用ツール「Shirofune」を導入した理由

 運用型広告の“オペレーションレス”を実現するサービスとして、今年3月にリリースされたクラウド広告運用ツール「Shirofune(シロフネ)」。前身のリスティング広告の自動入札ツール「ADFUNE(アドフネ)」のアルゴリズムをベースに、まったく新しいUI/UXへ刷新し機能を追加したことで、事前の学習や経験を必要とせずに効果的な広告運用の実現をサポートするツールとして生まれ変わった。今回は同ツールを活用するプレイドとの対談を通して、具体的な活用方法や、「人のナレッジを大事にする」という「Shirofune」独自のアルゴリズムを紹介する。

「KARTE」の認知拡大を目指し、オンライン広告に注力し始めた

――最初に、皆さまの役職と現在の担当を教えてください。

(写真左から)株式会社Shirofune 菊池満長氏
株式会社プレイド Marketing 稲葉航氏
株式会社プレイド Marketing 川久保岳彦氏

菊池:法律上は代表取締役ということになっています。ただ、Shirofuneでは階層や役割という概念はなく、「全員が開発のできるエンジニアであり企画者」というのが実態です。主に行っているのは、自動最適化のアルゴリズムの設計と開発です。

稲葉:私は弊社が提供するCXプラットフォーム「KARTE(カルテ)」のオンライン領域でのマーケティングを担当しています。基本的には広告運用やサイトのアップデート、新たにページを作る際の企画・ディレクションをしています。

川久保:同じくマーケティングチームに属しています。イベントをはじめとしたオフライン領域を中心に、稲葉や他のメンバーとともに管轄しています。「KARTE」の魅力を世の中に伝え、知らない人に興味を持っていただき、お問い合わせまでしていただくことが役割です。

――プレイドさんは大規模な資金調達を実施するなど、急速にグロースしている企業のひとつですが、これまではどのようなマーケティング戦略をとってきたのでしょうか?

川久保:「KARTE」の認知を広めるために、2017年からマーケティング系イベントへの出展や協賛といったオフラインマーケティングを中心に行ってきました。一方で、オンラインでの広告に関してはほとんど手付かずの状態でした。

 イベントの効果は感じていましたが、「アプローチできる範囲が足を運んでくれる方に限定されてしまう」という課題がありました。「KARTE」のプロダクトとしての体制も整ってきたため、より多くの人にこのプロダクトを知っていただき、オンラインでのプレゼンスも高めていきたいと考えていました。ちょうど、オンライン広告の出稿を検討し始めていた時期に「Shirofune」との出会いがありました。

プロダクトの魅力を最も理解している自分たちで広告を運用

――リスティング広告をはじめとした広告運用を代理店に委託するという選択肢もあったかと思います。その中で、なぜ「Shirofune」を使って自社で運用する道を選んだのでしょうか?

稲葉:「KARTE」が今年4月にブランドリニューアルと機能拡張を行ったこともあり、コンセプト自体や、何を伝えると「KARTE」を魅力に感じてもらえるとかという部分は、まだ我々としても模索している段階でした。広告運用やキャッチーなコピー作成には、プロダクト自体への理解が必要であり、常にアップデートをしているので、その変化に追いつくのも外部の方には大変です。

 それを考慮した時、広告代理店に委託して運営するより、自社でできるだけ運用したほうがノウハウを蓄積でき、かつ伝えるべきことを自分たちで明確にできるだろうと考えました。そうした背景のもと、自社で広告を運用することに決め、そのパートナーに「Shirofune」を採用することにしました。

川久保:違う視点から言わせていただくと、運用型広告の分野は、広告代理店の中でも「誰がやるか」という属人的なナレッジになっているという印象がありました。属人的なナレッジであれば、自社内にそのナレッジを持っておきたい。ただ、当時の社内リソースでは、専任の担当を置くこともできず、広告運用のスペシャリストを探している状況でした。そのため、人材を探して、見つからなければ広告代理店にお願いしようかと話していたタイミングでした。

 ただどちらの選択肢も一長一短であり、また、どちらにしても良いか悪いかという判断は実際に手を動かしてみないとできないと考え、まずはプロダクトの魅力を最も理解している自分たちで運用してみることにしました。

広告運用のノウハウをアルゴリズムで再現

――「Shirofune」は、経験がない人でも直感的に受け身で使えるツールとのことですが、菊池さんから概要をご説明いただけますか?

菊池:簡単に言いますと、「Shirofune」は誰でも手軽にプロのクオリティで広告運用ができるツールです。自社で広告運用をする場合、専門的な知識が必要となり、それこそ広告運用のスペシャリストを採用するという選択をされる企業様も多いと思います。

 事実、広告運用には、ある程度ベストプラクティスや成果を出すための方法が存在します。そうしたノウハウを独自のアルゴリズムで再現し、システムとして使えるようにしたのが「Shirofune」です。私たちが長年広告運用の現場で培ってきたノウハウを詰め込んでいます。

――「広告運用をすべて受け身で」というコピーが印象的ですが、これはどういうことなのでしょうか?

菊池:川久保さんのお話にもありましたが、オンラインの広告運用は専門職であるため属人化しがちで、学習しなければいけないことも多いです。成果を出せるシステムを開発したとしても、それを使いこなすためのスキルや、実際に画面を見て「改善のために何をすべきか」を考える思考が求められます。

 そのため、どんなにわかりやすくデータを可視化したとしても、「そのデータを使って次に何をすべきか」を考えるためには、結局様々な学習に時間を割かなければならないのが難点だと感じていました。そうした課題をクリアするため、受け身で広告運用ができる仕組みを設計しました。すべてやるべきことがあらかじめ提示されていれば、利用者はそれに対する判断を行うだけです。学習のために特に時間を割く必要がなくなります。

――現在「Shirofune」の運用は、川久保さんと稲葉さんのお二人でされているとのことですが、実際に運用していく中で感じる良さはどういったところにありますか?

稲葉:広告出稿上のワークやフローがシンプルでわかりやすいということと、日々の運用に特に時間が取られない点は非常に魅力に感じています。

――ちなみに、現在1日でどの程度「Shirofune」での広告運用に時間を割かれていますか?

稲葉:デイリーレポートの確認と、毎日ではないですが「改善カード」が届くので、それを調整するくらいです。時間にして、10~15分程度だと思います。新たに広告の設定をする際には多少の時間がかかりますが、運用面ではほとんど時間をかけていません。

川久保:一般的に運用型広告を担当されているマーケターの方々は、自分でもGoogle広告などを設定して、管理画面に慣れている方ばかりだと思います。私はほとんどそうしたものに触れてきませんでしたので、一般的な広告運用ツールとの比較はできないのですが、「改善カード」の提案に対して「これは残す」「これは外す」と判断をしていく作業は楽しいですね(笑)。

アルゴリズムで改善しつつ、利用者の知恵や意図を活用

――「改善カード」について詳しく教えていただけますか?

「Shirofune」の管理画面イメージ(赤枠で囲んであるのが「改善カード」)

菊池:オンライン広告は出稿して終了ではなく、目的に対する成果の効率を日々改善し、成果数を拡大していくことが重要です。広告代理店や広告運用のスペシャリストたちは、改善に関して、「どういうデータを見て何をすればいいか」というノウハウを持っています。

 そうしたノウハウをアルゴリズムに変え、入札最適化などシステムが得意なところは全自動で実行します。人間の知恵をプラスしたほうが成果や目的に沿えるものについては「改善カード」という形でユーザーに提示しています。

 「改善カード」には様々なタイプがありますが、「YES」か「NO」で答えていただくようなものもあります。たとえば運用開始序盤に「このキーワードに対してコストがだいぶかかっていますが、今回のプロモーションの意図と合っていますか?」という問いに対し、「YES」を選択した場合は継続、「NO」の場合は意図と違うので削除します。こうした提案や質問が、重要度順で管理画面上に1日15分程度出現するようになっています。

――プレイドさんでは、こうした「改善カード」を駆使する中で特に比重を置いてチェックしている指標はございますか?

菊池:Shirofune導入後、コンバージョン数はかなり増えていると思いますが、その辺りはいかがですか?

稲葉:正直、単純なコンバージョン数には比重は置いていません。どちらかと言うと、重視しているのはリーチやインプレッション、ユーザーのサイト回遊率、プロダクトをどれほど理解しようとしてくださっているかという点ですね。

川久保:「KARTE」を使ってサイト内でのユーザー行動は詳細まで可視化できるので、「Shirofune」経由で来訪してくださったユーザーの行動をチェックし、質の部分での評価を今後したいと考えています。

オンライン広告における改善サイクルの構築に成功

――「Shirofune」導入後に、どんな変化がありましたか?

川久保:今はまだ、自分たちで感覚をつかんでいくためのテスト期間と位置付けています。ですので、色々と試しながら探っている段階です。変化と言えば、「どうしていけば改善できるか」という気づきが得られたことですね。また、新たなリソースをかけずに、オンライン広告を始めるきっかけを得たことは良かったと感じています。

稲葉:元々運用自体がゼロに近い状態でしたので、日ごとに広告を改善するというサイクルがありませんでした。改善サイクルの構築ができるようになったことが、一番の違いかなと思います。

「やりたい人」が手軽に広告出稿できる環境の実現へ

――最後に、今後の目標や展望をお聞かせください。

菊池:大きな軸としては2つあります。ひとつは、サービスや商品を訴求するにあたって中心に置きたいキーワードやメッセージの方向性など、導入していただいている企業様の意向に沿った上で広告のパフォーマンスを最大化するということです。そのために、アルゴリズムをさらに改善していきます。

 もうひとつは、現在はGoogleとYahoo!のみの対応となっているのですが、Facebookを始めとする他のチャネルをカバーしていくことです。

稲葉:我々がユーザーに伝えたいことは色々ありますが、果たしてそれがユーザーにとって本当に知りたいことなのかどうかはわかりません。ユーザーと我々のニーズを、「Shirofune」でサジェストされる改善カードを使いながら上手くマッチさせていきたいです。そして、我々の価値やコンセプトをより多くの人に知ってもらうことにフォーカスしていきたいと考えています。

川久保:Shirofuneさんとの取り組みに関しては、今後はエンジニアやプロダクトオーナー、セールスやCSのメンバーなど、社内の誰もが「Shirofune」を運用できる状態にしていきたいです。

 なぜなら、「KARTE」の魅力を伝えることは、社内の全メンバーが日々考えていることなので、オンライン広告もそのトライ&エラーのひとつの場と考え、自由にみんなが触れたらおもしろいなと考えています。広告運用という仕事がシンプルになって、「不要な作業はやらない。考える部分だけを人が担う」ぐらいになったらいいなと思っています。

菊池:おもしろいですね。我々もそのためにUIをシンプルにし、「やりたい」と思った人が手軽に使えるようにしています。まさに我々の目指すところですね。これを実現するためにも、さらなる改善に取り組んでいきます。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2018/10/16 10:00 https://markezine.jp/article/detail/29283