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MarkeZine Day 2020 Autumn(AD)

とりあえずで疲弊せず、持続的に効果を上げるウェビナー体制とは? 集客~リード管理を緻密に行う方法

 オフラインでの接触が難しくなった今、BtoB企業のリード獲得目的で日々多数のウェビナーが開催されている。MarkeZine Day 2020 Autumnに登壇したシャノンの村尾慶尚氏は、同社のシャノンマーケティングプラットフォームを通して各種ウェビナーの集客支援などをする中で、「本腰を入れてウェビナーに取り組む企業は、リード獲得やコンテンツ企画の知見も蓄積し、チームの継続的な成長も実現できている」と話す。“とりあえず”ではないウェビナー実施のポイントを解説する。

ウェビナーの持続=マーケティング力向上

 BtoB企業をはじめ、BtoCでは大手保険会社や不動産、マンションデベロッパーなど高額商材のマーケティング支援を得意とするシャノン。そんな同社のクライアントの90%以上が、昨今の状況下でウェビナーを取り入れ始めているという。

 もちろん同社のクライアント企業のみならず、ウェビナーを活用したリード獲得施策は、このコロナ禍で急速に伸びている。だが、シャノンのマーケティング部長の村尾慶尚氏は「ウェビナーを持続的に実施して成果を上げられている企業と、持続できず疲弊してしまう企業がある」と指摘。

 特に体制作りを含めて本腰を入れて取り組み、的確なリード獲得につなげられている企業は、マーケティング力も自ずと向上しているという。ウェビナーの運用を通じて配信以外にも様々なナレッジを蓄積し、他のところでも活かせるようになっているのだ。

 では、そのように「続けるので手一杯で疲弊する」のではなく、「ウェビナー単体での成果はもちろん、他の部分にも良い作用を生む」ウェビナー施策を展開するにはどうすれば良いのか。その答えの大前提としてシャノンの村尾氏は「チームでの目的の確認が重要」とした。

 「コロナ禍でオフラインの活動が制限され、ウェビナーしかリードを取り得る手段がないという状況はよくわかります。当社も実際に、この半年で数多くのウェビナーを実施してきました。ただ、社会環境やビジネス環境が目まぐるしく変化する今だからこそ、動き出す前に自社を取り巻く状況をチームでしっかり把握して共有し、はっきりと目的を定めることが大切です」(村尾氏)

購買者から見た、ウェビナーが持つ価値とは?

 村尾氏は続けて、目的を定める際にチームで共有すべきことを2つ挙げた。1つは世の中の状況。たとえば「ウェビナーがここまで拡大したのはコロナ禍によるオフライン機会の代替というだけではない」と村尾氏は語った。

 「新型コロナウイルスが流行する以前から、マーケティングを取り巻く環境は大きく変化していました。この10~15年の間に、BtoB商材やBtoCの高額商材の購入を検討する際、ネットで様々な情報収集をする人が増加しました。いきなり営業さんに来てほしいと希望する人は少ないはず。今の顧客は『必要なときに声をかけて買う手伝いをしてほしい』一方、『売り込まれたくない』と思っているのです」(村尾氏)

 この背景の中で、ウェビナーは人々のニーズに合致した。というのも、ネットでの情報収集だけでは、興味関心段階で浮かび上がる細かい疑問に応えることが難しいからだ。このように、なぜウェビナーが世の中に求められるようになったのかを正しく理解することが求められる。

 もう1つ共有しておきたいのが、自社の状況だ。ウェビナーを持続運営して、チームを成長させるために、現状何が足りていないのかを見直すことが求められる。

 「大変な状況な今だからこそ、強いチームになるための成長の道のりを描き、ひいては企業のマーケティング力を上げていこうとする企業が先進的に成果を上げています」(村尾氏)

今作るべき2つのウェビナーとは?

 世の中と自社の状況を把握できたら、続いてはウェビナーの設計に入る。ここからは、シャノンが実際に行った事例をもとに解説が行われた。まず村尾氏は「ウェビナーには大きく2つの種類がある」と語った。これらを分けてコンテンツを考えないと、集客した見込み顧客とのギャップが生まれてしまうという。

 その2つとは、興味関心層向けの「関心引き上げウェビナー」と、比較検討層向けの「製品紹介ウェビナー」だ。前者のまだ興味が浅い人たちに自社製品の特徴を熱心に売り込んでも、むしろ引いてしまう。一方、後者はかなり購買段階に近いため、自社製品が持つ魅力をしっかり届けるほうが効果も見込めるという。

 特に失敗しがちなのが、ボリュームが大きい興味関心層向けに製品紹介を頻発してしまうこと。これだと獲得したリードがまったく次につながらず、ウェビナー自体が持続しない結果を引き起こしかねない。

 たとえばシャノンの場合、興味関心層向けには同社が提供できるマーケティングに役立つ話題を中心に、「BtoBのデジタル施策」や「ウェビナー実践者の座談会」などを企画。一方で、すでに比較検討の段階に入っている方々には、しっかりと製品の良さを理解してもらえるウェビナーを開催している。

 「製品紹介と違って、関心引き上げのためのコンテンツ企画は少し難しいかもしれませんが、ここで数と質ともに厚い内容を生み出せる体制を整えておけると、そのコンテンツは外部セミナーや記事掲載のためにも展開できます」(村尾氏)

ウェビナーをベースにしたリード獲得と引き上げの考え方

 この2つを分けて考えると、ウェビナーをベースにしたリード引き上げの道筋も見えてくる。関心引き上げウェビナーを視聴した人のうち、一定割合の人に製品紹介ウェビナーに申し込んでもらい、そこからさらに一定割合を個別商談へつなげる……という流れだ。各フェーズにおいて、前段階から進む割合がすなわち転換率になる。この転換率を高めていくことが、ウェビナーによるリード獲得と引き上げのKPIになる。

 ここまで、ウェビナーに取り組む前に確認すべきこと、またウェビナーの種類とリード引き上げの考え方が解説された。「こういった内容をお話ししても、やはり気になるのは集客の観点だと思う」と村尾氏は語った。

 実際、集客の見通しが立たないと持続的なウェビナーに踏み出せない、体制作りも難しいという声が村尾氏のもとにも多く寄せられるという。その点は、どう対処すればいいのだろうか?

 まず考えるべきは、今すぐ使えるアセットとして何があるのか、ということ。オフラインのイベントがなくなったからといって、当然ながらその予算をウェビナーにスライドできる企業はほぼいないだろう。

 「むしろ、コロナのために人の配置を含めてコストカットを迫られる企業も少なくないと思います。そこでまず注目したいのは、過去に展示会や営業が訪問した際に獲得した名刺を活かすことです。デジタル化していないならこれを機にデジタル化して、関心引き上げウェビナーへ誘導するアクションが有効です」(村尾氏)

 その際には、マーケティングオートメーション(MA)ツールでの細かいメールアプローチが役に立つ。シャノンマーケティングプラットフォームの活用例だと、複数情報を掲載したメルマガと、ウェビナー情報のみをしっかり伝える1to1タイプのメールを併用して集客を伸ばしてきた。

配信システムだけでなく、管理システムも重要

 MAツールを使うと、過去のメールのリンクをクリックはしたが申し込みをしていない方々を抽出して、ピンポイントで送ることなども当然可能だ。また、シャノンが支援している企業の中には、Webサイトで最も閲覧されているページのファーストビューにウェビナー告知をして成功した事例もあるという。

 加えて、村尾氏自身はシャノンのマーケティングを通して「オフラインセミナーはオンライン広告での獲得単価が割高になりがちだが、ウェビナーだとバランスが見合うという知見を得ている」と話す。集客のためには、運用型広告を一定額取り入れてみるのも一手だ。

 改めてウェビナー開催を考えてみると、単に配信するだけなら各種動画配信システムがあれば可能だが、事前の戦略的な集客と申し込みまでのフォロー、当日に向けた案内、さらにその後のより関与度の高いウェビナーへの参加にどの程度の割合で漕ぎつけられたのか、といった事前と事後の管理がとても重要だとわかる。

 こうした管理が手薄だと、ウェビナーを開催したはいいが、どのような成果が上がったのかを可視化できず、マーケティング活動としての持続が難しくなってしまう。管理の面でも、適したシステムを導入することが大事になる。

集客、効率化、効果的なフォローを実現するプラットフォーム

 配信だけではなく管理システムにも目を向け、ウェビナーによるリード獲得と引き上げを設計および実行できていると、安定した集客が見込める持続的なウェビナー運営が可能になる。成果を可視化して改善していけば、集客方法やコンテンツの精緻化にもつながるだろう。

 「ウェビナーは、当日の配信だけならそこまで大変ではありませんが、集客を含めた前後のタスクが実はとても多いんです。これらをしっかり洗い出して、人員配置して効率的にやらなければ、予算や人材が潤沢でない限り、結局行き詰まることも多くなってしまいます」(村尾氏)

 ウェビナーも、MAツールをベースに運用すると、効果・効率面の両方で大きなメリットが得られる。そもそも「コロナ禍のために開催不可となったオフラインイベントの代替に、ウェビナーをやらなければ」という発想に縛られていると「ウェビナーもあくまでリード獲得と引き上げの手段」だと見えにくくなってしまい、表面的な工夫だけに留まってしまう。

 この点でも、コロナ禍が仮に収束したとしてもデジタル化の波は戻らない、という考えを念頭におくべきだろう。今、経験を積んでおくと、中長期にわたって重要なマーケティング施策の1つにすることができる。その実現に必要な集客、効率化、そして効果的なフォローという3点を備えているシャノンマーケティングプラットフォームは、ウェビナー運営の強い味方になりそうだ。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/10/30 10:22 https://markezine.jp/article/detail/34466