フルカイテンは、新型コロナウイルス感染拡大の時期と重なる2020年3月~2021年2月の1年間における、大手上場アパレル企業16社の決算を調査し、その結果をGMROIの観点からまとめて発表した。
GMROIとは、小売業などの在庫ビジネスにおいて、保有する在庫を用いてどれだけの粗利を確保したかを表す指標のこと。「(粗利額)÷(期中平均在庫高)」で求められる。
GMROIは16社中13社がコロナ前より悪化
コロナ第1波により、2020年4月に最初の緊急事態宣言が出され、販売機会を失った春夏ものを中心に在庫が多く残った。
このため、2020年の秋冬ものを中心に仕入れを抑制する動きが相次ぎ、仕入れ額は売上高が増加した西松屋チェーンとしまむらを除く14社が前年を1~30%ほど下回ることに。2021年2月末の在庫高は11社が前年よりも減っており、前年よりも増加している5社の増加率も0.2~4.8%となった。
その結果、GMROIは西松屋チェーンとしまむらのほか、マックハウスが前年を上回り、他の13社は前年を下回った。
コロナ第3波により収益力の回復度合いで明暗が分かれる
GMROIの四半期(3ヵ月)ごとの推移では、緊急事態宣言発令前後にあたる3~5月が全体的に最も落ち込みの激しい時期となった。
その後、企業ごとに回復度合いの差はあるものの、宣言解除後の3~8月、3~11月とシーズンが進むにつれ数値は向上している。
なお、「GMROIがコロナ前を超えている企業」には西松屋チェーン、しまむら、マックハウスが該当し、「コロナ前の90%台まで回復した企業」にはファーストリテイリング、ナルミヤ・インターナショナル、TOKYO BASEが当てはまる。アダストリア、コックス、バロックジャパン、オンワードホールディングスらコロナ第3波で12月以降にGMROIが下落。そのほかの企業は徐々に回復しているが、コロナ前の80%台以下だった。
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