経済産業省は、「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」を実施。日本の電子商取引市場の実態等について調査し、結果を取りまとめた。
BtoC‐EC市場規模が減少、調査開始以降はじめて
令和2年(2020年)の日本国内のBtoC‐EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、19.3兆円(前年19.4兆円、前年比0.43%減)とほぼ横ばいとなった。また、同年の日本国内のBtoB‐EC(企業間電子商取引)市場規模は334.9兆円(前年353.0兆円、前年比5.1%減)に減少した。
新型コロナウイルスの感染症拡大の対策として、外出自粛の呼びかけおよびECの利用が推奨された結果、物販系分野の大幅な市場規模拡大につながった一方、主に旅行サービスの縮小に伴い、サービス系分野の市場規模は大幅に減少した。
その結果、物販系分野の大幅な伸長分とサービス系分野の大幅な減少分が相殺され、BtoC‐EC市場規模全体としては、830億円の減少となった。BtoC‐EC市場規模が増加しなかったのは、平成10年度からの調査開始以降はじめて。
一方で、EC化率※は、BtoC‐ECで8.08%(前年比1.32ポイント増)、BtoB‐ECで33.5%(前年比1.8ポイント増)と増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き進展している。
BtoC‐EC市場規模を分野別にみると下表のとおり。
物販系分野:全カテゴリーで大幅拡大
物販系分野のBtoC‐EC市場規模の内訳をみると、「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」(2兆3,489億円)、「衣類・服装雑貨等」(2兆2,203億円)、「食品、飲料、酒類」(2兆2,086億円)、「生活雑貨、家具、インテリア」(2兆1,322億円)の割合が大きく、これらの上位4カテゴリー合計で物販系分野の73%を占める。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、全カテゴリーにおいて市場規模が大幅に拡大した。
サービス系分野:旅行・飲食・チケット販売が大きく縮小
サービス系分野のBtoC‐EC市場規模の内訳をみると、「旅行サービス」(1兆5,494億円)が大きな割合を占める。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で「旅行サービス」、「飲食サービス」、「チケット販売」の市場規模が大きく縮小した。
デジタル系分野:巣ごもり需要背景に拡大
デジタル系分野のBtoC‐EC市場規模の内訳をみると、「オンラインゲーム」(1兆4,957億円)が大きな割合を占める。「オンラインゲーム」、「有料動画配信」、「有料音楽配信」市場拡大の背景には、新型コロナウイルス感染症拡大を受け、在宅で過ごす消費者が増え、巣ごもり需要が増加したことがあると考えられる。
CtoC‐ECは前年比12.5%増
令和2年の国内CtoC‐ECの市場規模は1兆9,586億円(前年比12.5%増)と推計された。市場規模拡大の背景には、BtoC‐EC市場同様、新型コロナウイルスの感染症拡大の対策として外出自粛の呼びかけ及びECの利用が推奨された結果、物販系EC市場が拡大したことに伴い、CtoC‐ECの利用者が増加したことが挙げられる。
越境EC、引き続き増加
令和2年において、日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場規模は、いずれの国の間でも増加した。
なお、中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は1兆9,499億円(前年比17.8%増)、米国事業者からの越境EC購入額は2兆3,119億円(前年比15.1%増)で、昨年に引き続き増加している。
※ここでのEC化率は、全ての商取引金額(商取引市場規模)に対する、電子商取引市場規模の割合を指す。EC化率の算出対象は、BtoC‐ECにおいては物販系分野、BtoB‐ECにおいては業種分類上「その他」以外とされた業種としている。
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