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第100号(2024年4月号)
特集「24社に聞く、経営構想におけるマーケティング」

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MarkeZine Day 2022 Spring(AD)

既存・新規の売り上げUPにインサイトの収集まで可能!注目を集める「顧客コミュニティ」の事例を解説

 近年、コミュニティに注目が集まっている。だが、実際どういったメリットを有し、どんな事例が存在しているのだろうか? コミューンの駒谷氏は「顧客コミュニティには、事業成長の確度に直結するポテンシャルがある」と話す。MarkeZine Day 2022 Springで駒谷氏は、顧客コミュニティが企業にもたらす3つのメリットや事例、SNSとの違いや考え方などについて解説した。

顧客コミュニティ3つのメリットとは?

 顧客コミュニティとは、自然発生的にできるコミュニティではなく、企業組織が特定の目的をもって構築していくものだ。近年、カスタマーサクセスを実現させるうえで、注目を集めている。

 コミューンは、これまで数多くの顧客コミュニティを支援し、分析。その結果、「3つのメリットにより、マーケティングにおいて全方位に効く施策になってくる」とコミューン駒谷氏は説明した。

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 具体的に、commmuneを利用している顧客コミュニティ“BASE FOOD Labo”の例を紹介。ベースフードのミッション「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに」に沿って、社員とユーザーが“研究員”という位置づけで、相互にコミュニケーションを図っていると語る。

 「コミュニティサイトでユーザーが行えるのは、様々な投稿、コメント、いいねなどのアクションです。ユーザーから投稿された声を起点に企業とユーザーがつながったり、別のユーザーを助けたりといったコミュニケーションが生まれていきます」(駒谷氏)

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 顧客コミュニティ内では、既存顧客の成功体験などが投稿され、他のユーザーに前向きな活動を促す効果がある。加えて投稿からは顧客の声を読み取れ、インサイトの発掘にも効果的だ。

 ベースフードでは、BASE FOOD Laboで得られたインサイトを速やかに反映させることで、ユーザーが熱狂した。さらに、活発な投稿により特定レシピの検索上位にBASE FOOD Laboのレシピが表示されるようになったことに加え、投稿自体がUGCとして機能し、「プロモーションのコンテンツなどに用いられるため、新規ユーザーの獲得や、売上にも貢献する」と駒谷氏は語った。

コミューン株式会社 コミュニティストラテジー部 マネージャー 駒谷 徹氏
コミューン株式会社 コミュニティストラテジー部 マネージャー 駒谷 徹氏

顧客コミュニティの海外事例

 また顧客コミュニティは「事業成長の確度に直結するポテンシャルがある」と駒谷氏は続け、海外の事例を紹介した。

 最初に紹介したのは、米国発の語学学習サービスを提供するDuolingo(デュオリンゴ)の事例だ。同社の特徴は「コミュニティがグロースエンジンだ」と考えている点だ。一人のユーザーが認知を広めていく、メガホンのような形のコミュニティファネルで、マーケティングを考えている。

The Community Growth Engine」より

 サービスの要である学習教材は、インキュベーションプログラムに登録したユーザーが作成しており、タスク選択や教材作成、テスト、リリースに至るまですべての工程をユーザーが実施。Duolingoは、作業インフラの整備やユーザー同士の協力・競争を生む企画を用意したり、貢献度の高いユーザーへ大学の推薦権などの特典を用意したりするなど、コミュニケーションが活発に行われるよう注力している。

 また、スウェーデンの玩具メーカーであるLEGOでは顧客コミュニティを用いることで、310億円に上る赤字を解消。たった10年で業界世界一を誇るまでに成長を遂げた。

 LEGO IDEAS より
LEGO IDEAS より

  同社の顧客コミュニティである“LEGO IDEAS”には、100万人以上が参加。ユーザーオリジナルのアイデア投稿に1万のいいねがつくと商品化が検討される。商品化が実現されると、ユーザーには売り上げの1%が還元される仕組みとなっている。

 「クリエイターを中心としたコミュニティとマーケティング4P(Product・Price・Place・Promotion)がうまく融合しているケースと言えるでしょう」(駒谷氏)

 世界最速の一兆円企業と言われる中国のスマートフォンメーカーのXiaomi(シャオミ)も、顧客コミュニティを有効活用している企業だ。Xiaomiは初期から、“フォーラム”というコミュニティを用いてユーザーと共創を行っている。

Xiaomiより

 フォーラムは、広告展開を行っていないにも関わらず、ユーザーがたった1年で1,000人から50万人へ成長。現在のユーザーは6,000万人にまで膨らんでおり、顧客コミュニティの可能性を体現する企業と言えるだろう。

顧客コミュニティとSNS、どう異なるのか

 一般的に顧客とのつながりを強化するツールとして想起されるのは各種SNSだが、顧客コミュニティとSNSの違いはどこにあるのだろうか。最も大きな違いとして、顧客コミュニティでは企業が目的を設定できる点だと駒谷氏は説明した。

 「SNSの場合だと企業は目的を設定することが難しく、参加者やルールの設定ができません。そのためコミュニケーションのコントロールができなくなってしまいます。顧客コミュニティを形成すれば、目的を設定できるだけでなく、投稿されるコンテンツの権利やユーザーの情報も、企業が保有できます」(駒谷氏)

 コミュニケーションがコントロールできると、企業にとって有益となるUGCが増加。ファンや推奨者の輪が広がり、また炎上のリスクも回避しやすくなる。加えて、ユーザーへの理解が深まることから、サービス向上のヒントも得られる。

 逆に各種SNSの場合、不必要なコミュニケーションの増加や、炎上リスク、施策の成果が測りづらくなる可能性がある。

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 しかし、顧客コミュニティを活用することでユーザーの心理をくみ取り、SNS施策のパフォーマンスも向上を図ることも可能だ。

 「SNSと顧客コミュニティは対立関係ではなく、相互に影響し合い、活用していくことが重要」だと駒谷氏は語った。

一過性ではなくトレンド 顧客コミュニティの必要性

 国内・海外で既に大きな結果を出している顧客コミュニティだが、顧客コミュニティが必要となるのは「ほぼすべての産業」だと駒谷氏は続けた。

 「ある海外のアンケートでは88%の企業が、自社ミッション達成のため顧客コミュニティが需要であると回答しているんです」(駒谷氏)

CMX’s 2020 Community Industry Trends Report

 また、米国のベンチャーキャピタルであるアンドリーセン・ホロウィッツは2020年12月に「Community Takes All」と発信。「現在、成功しているマーケットリーダーでも、コミュニティ主導でなければ新興企業に弱く、デジタルへの移行と同時にほぼすべての企業がコミュニティ主導となっていく」と駒谷氏は紹介した。

 加えて『コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則』(朝日新聞出版)でも、セグメンテーション、ターゲティングと並んで、コミュニティの承認が挙げられており「顧客コミュニティを作っていくことは、もはや一過性のブームではなくトレンドと言える」と述べた。

 「ユーザーの力が増していく今後は、ユーザーの力を借りながら歩んでいく顧客主導経営が大切です。これは、顧客との接点を創出した後、顧客が成功を体験し、顧客が製品・サービスについて感謝することで、顧客の協力・主導のサイクルが出来上がっていきます。

 そのためは、顧客の成功を担保し、顧客同士の接点を確保するカスタマーサクセス活動から考えるといいでしょう」(駒谷氏)

顧客コミュニティには4種類の活用パターンが存在

 顧客コミュニティでカスタマーサクセス活動を行うには具体的にどのように推進すればいいのだろうか。駒谷氏は発信主体と価値の方向性から4種類に分類できると説明した。

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 プラスの情報から企業が主導となり交流が生まれる場合、投稿キャンペーンや、ナレッジベースであることが多い。逆にユーザー主導でプラスの場合、ユーザーによるTIPSの共有やユーザー会などが行われるコミュニティとなる。

 マイナスの情報を解決するべく、企業が情報発信をする場合は、Q&Aなどが主体となる。対してユーザーが主導となった場合は、よくある質問などのコーナーが多くなっていく。

 実際の運用に際し、駒谷氏は「これらの要素をうまく組み合わせ、ユーザーがコミュニティに定着する活動を優先しつつ、企業とユーザー共有の利益を追求していくことが大切です」と述べた。

 また、顧客コミュニティはBtoB企業においても大きな力を発揮する。

 ウイングアーク1stでは、商品購入した企業のユーザー向けに“WingArc Membership”という顧客コミュニティを用意。新商品の活用方法、使いこなすのが難しいツールの使用例などをユーザーが動画を用いて解説。顧客に合ったカスタマーサクセスを実現している。

 「他にも様々な事例があり、一見成立が難しいと思われるケースでもユーザーコミュニティが成功するケースが出てきています。特にコンプレックス系の商材は、クローズドな環境のために、コミュニケーションが活発となりやすく相性が良いと感じています」(駒谷氏)

顧客コミュニティをノーコードで作成

 コミューンでは、顧客コミュニティをノーコードで作成可能にしており、コミュニティ戦略の実案やリソース面での運用支援までを提供している。無料ツールでも顧客コミュニティを始めることは可能だが、成功確度を上げるのは至難の業だという。

 「実際、無料ツールからコミューンに切り替えた企業様として、先ほどのウイングアーク1st様がいらっしゃいます。ウイングアーク1st様では、コミューンを使用し始めてからイベントの参加者数が、使用前と比較して3.9倍になりました」と駒谷氏。

 また担当者からは、「ユーザー情報が取得できイベントの開催目的やターゲットが明確に打ち出せるようになった」「お客様の声を社内のフィードバックに活かせるようになった」「営業にも活用し、アップセルの機会も生まれるようになった」といった喜びの声が寄せられているという。

 駒谷氏は「コミュニティを立ち上げる際は、目的を設定した上でユーザーと会話していくことが必要不可欠です。カスタマーサクセスやコミュニティの立ち上げなどの経験が豊富なメンバーが支援していきますので、BtoB、BtoC問わず、顧客の力を経営に活かしたい企業様は、ぜひお声がけください」と呼びかけ、セッションを締めくくった。

多くの顧客コミュニティを支えるcommmuneの詳細はこちら

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/04/19 12:00 https://markezine.jp/article/detail/38695