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健康意識を7つに分類!「ウェルネストレンド白書」で見えた、生活者の意識と行動とは?

 健康・ウェルネスに関する調査・発信などを行っているウェルネス総合研究所は、2022年5月に最新のレポート「ウェルネストレンド白書 Vol.2」をリリース。生活者へ健康食品やライフスタイルなどについて尋ねた調査結果を、価値観などで分類した7つの層に分けて集計している点が特徴だ。そこからは、これまで得ることのできなかったセグメントごとの傾向が浮き彫りとなった。このレポートが、企業のマーケティングや商品企画をどのように変えるのだろうか。ウェルネス総合研究所の武田猛氏に話を伺った。

デモグラフィック分析では追いきれない?生活者を価値観別にセグメント

――最初に、武田さんの経歴をお聞かせください。

武田:食品業界で実務経験を18年、コンサルティングを18年やってきました。最初は健康食品会社で営業や企画営業をやっていて、その中でマーケティングの勉強の必要性を感じて法政大学の夜間大学院でマーケティングを勉強しました。その後、通販の健康食品会社へ転職し、新商品開発と新規事業開発を担当しました。仕事を通して、社内で企画を通していく大変さ、新規事業を立ち上げる大変さについて身をもって体験しました。

 そして、2004年にそうした経験と人脈を活かし、健康食品業界に特化したコンサルタント会社グローバルニュートリショングループを創業しました。また、2020年8月に設立したウェルネス(健康)に関する情報の調査・発信を行っているウェルネス総合研究所の理事も務めています。

株式会社グローバルニュートリショングループ 代表取締役 一般社団法人ウェルネス総合研究所 理事 武田猛氏
株式会社グローバルニュートリショングループ 代表取締役
一般社団法人ウェルネス総合研究所 理事 武田猛氏

――ウェルネス総合研究所では「ウェルネストレンド白書」というレポートをリリースさていますが、どういったものなのでしょうか?

武田:20代から70代の男女4,600名の生活者に調査した、健康・ウェルネスに関する調査です。2021年12月にVol.1を、2022年5月にVol.2をリリースしています。

 最大の特徴は、多変量解析の因子分析という手法を使って、生活者を価値観や潜在意識に基づいてセグメントしている点です。まず健康やウェルネスに関する因子を挙げていったところ、生活系や運動系、情報系、避けたいものなどの因子が16個出てきました。それを近いものでグルーピングした結果、7つのグループができました。

 それが、以下の「健康セグメント」です。単純に10年ごとの年代や性別といったデモグラフィック分析したデータでは、価値観が多様化している中で効果的なマーケティングや商品企画を行うのは難しいと考え、こうしたセグメントで分析しました。

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「価値観でセグメント」するメリット

――7つの健康セグメントはどのように活用していけば良いでしょうか。

武田:たとえば、従来はグルコサミンを売りたいとしたら、認知率が何%で効能まで理解している人が何%というデータがあり、その数字を上げようと努力していたと思います。しかし、すべての層に向けて認知率を上げても、実際に使ってもらえる人は多くはないと思います。

 このレポートでは性別や年齢問わず、価値観や行動様式が近い人たちで分けているので、ターゲットをごとに適切なアプローチや方向性を考えやすくなります。

――ターゲティングと適切な戦略を考えるために使っていけるのですね。

武田:そうです。たとえば「健康コンシャス層の20代から30代女性をターゲットとする」というように、誰を相手にして、どう戦って、どう伝えていくのかというところまで具体化でき、戦術に使えるレポートだと言えます。

――それぞれのセグメントは、どのような人たちで構成されているのでしょうか。

武田:男女比や年代はセグメントごとに大きく違っています。

 健康ストイック層は約6割が女性で、その中でも60代から70代の割合が多いです。健康コンシャス層も約6割が女性ですが、健康ストイック層よりも若い人が多いです。一方、まだ大丈夫層は約6割が男性で、健康上の悩みがない若い人たちが多いです。トレーニング大好き層も約6割が男性で、20代から30代が半数近くを占めています。

情報の取り方の違い、健康ストイック層は新聞や雑誌が高い傾向に

――具体的に、セグメントごとでどういった行動や意識の違いがあるのでしょうか。

武田:一例として、セグメントごとに情報源としているメディアを調査したデータをご紹介します。まずテレビ、ラジオ、雑誌、新聞の4マスに関しては、どの層もテレビが一番多いという点は同じですが、健康ストイック層では新聞や雑誌が他のセグメントよりも高いのが特徴です。

 受け身で見るテレビに対して、新聞や雑誌は自ら積極的に情報を取りにいくものだと考えられます。コツコツ健康層も、他のセグメントと比べると新聞は多いものの、雑誌は多くありません。

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武田:折り込みチラシに関しては、健康ストイック層が一番多くて、トレーニング大好き層も意外と見ています。

 そして交通広告に関しては、トレーニング大好き層がトップになっています。また、健康ストイック層よりも健康コンシャス層の方がよく見ているという違いもあります。

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デジタルでの特徴はより顕著に違いあり

――デジタルですと、セグメントごとの違いに変化はありますか。

武田:デジタルになるとさらに特徴が顕著に表れます。

 健康コンシャス層は若い方が多いのもありますが、デジタルから情報を取る率が非常に高くなっています。健康コンシャス層とトレーニング大好き層は、YouTube、Twitter、Instagramから情報を取る人が多いです。健康食品の場合市場の半分くらいが通信販売になるので、デジタルで情報を取る人が多くなるという背景もあると思います。

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武田:健康情報サイトに関しては、健康ストイック層とトレーニング大好き層が多くなっています。このように、セグメントによって情報を得るメディアが大きく違うことがわかるので、どの層に対してはどのメディアを通じてコミュニケーションを取れば良いかが見えてきます。

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武田:そして店頭・人経由に関する調査では、家族や友人からの情報は多いのですが、商品パッケージや店頭は全般的に多くありません。おそらく、健康食品に関しては、出かける前に何を買うかある程度決めている人が多いのではないかと思います。

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ウェルネストレンド白書でマーケティングを効率的に

――ウェルネストレンド白書を企業はどのようにマーケティングに活かしていくことができるでしょうか。

武田:このレポートでは、40以上のヘルスベネフィットや50以上の素材について調査をしていますので、分厚くなっています。また、新商品をどこに向けて出せば良いかという仮説をつくるためにはなるべく幅広く見える構成にしています。

武田:企業で自社の製品がある場合は、自社製品の領域に関連するものをさらに調査していけば良いわけです。

 まずは、このウェルネストレンド白書を使って方向性や戦略を決めていただき、その上で仮説を立てて深掘りをする調査を追加すると、非常に短期間かつ低コストで調査ができます。企業で調査を行う前に白書でウェルネス業界全体を見渡すことで、より密度の濃い調査結果が見えてきて、いい戦術案が出ると思います。もちろん我々ウェルネス総合研究所でもご依頼いただければ追加の調査はお受けしますが、具体的な施策に落とし込むには、そうした追加の深堀調査があった方がやりやすいでしょう。

――最初にウェルネストレンド白書のデータを知ることで、マーケティングがとても効率的になりますね。

武田:健康食品の通販などをやっている企業は、自社の顧客についてはしっかり分析されていると思います。ただ、競合の顧客など自社の顧客以外の調査は、今まで手がつけられてきていない企業も少なくありません。この白書は、非顧客を自社の顧客化していくためにも有効です。

定点観測×最新トレンドを押さえて提供

――今後、「ウェルネストレンド白書」にてどういった価値提供を行っていきたいと考えていますか。

武田:変化の速い時代ですから1年に1回ですと情報が古くなってしまうので、半年に1回ほどのペースで出していきます。

 ご購入いただいた企業の方々からのご依頼で社内勉強会なども個別に開催しているのですが、参加者の方からいただいた質問やアンケートに書かれたご意見を次のウェルネストレンド白書に反映してレポートを進化させるということもしていきます。

 たとえば、「セグメントをZ世代などのジェネレーションで分けてみるとどうなりますか?」という質問があったのですが、7種のセグメントにおいて各ジェネレーションがそれぞれ何割くらいの比率になるかといった切り方をしてもおもしろいと思います。ですので、ご購入いただいた方々にはどんどんフィードバックをいただければと思います。

――同じ項目の変化を定点観測的に追っていくものと、新しい切り口のものと両方のレポートが見られるのですね。

武田:はい、トレンドワードを押さえ、タイムリーな調査もやっていきます。Vol.2では、タンパク質と炭水化物と脂質という三大栄養素についての意識調査をしました。それぞれについて、意識して減らしている、意識して摂っているというような形で聞いています。その回答もセグメントごとにきれいに分かれました。

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武田:たとえば糖質については、健康ストイック層は「やや意識して控えるようにしている」と「控えるようにしている」という回答が多くなりました。ラクして健康層やまだ大丈夫層は、「特に意識していない」が多かったです。タンパク質についても、積極的に摂る層とそうでもない層とで分かれました。タンパク質に関しては今プロテインがブームとなっていますが、こうしたデータがあることで誰に向けてアプローチをすれば良いかがわかります。意識していない人にいくらアプローチしても、効率が悪いので。

 また、今は良い材料を追加していく傾向が見えてきました。同じ炭水化物が多い食材でも、糖質が少なくて食物繊維が多いものを選べば「良い炭水化物を追加する」という形になると思います。このように、ウェルネストレンド白書では半年ごとの変化とそのときのトレンドも捉えていきたいと考えています。

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行...

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MarkeZine(マーケジン)
2022/07/28 10:00 https://markezine.jp/article/detail/39475