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売上8割減からの復活劇 文房具の「伊東屋」に学ぶ、オリジナル商品×ECのWeb戦略

「過ごす店舗」を目指すためのコンテンツ

 松井氏がまず挙げたコンテンツが「顧客それぞれが過ごす、過ごしやすい空間」だ。ビル内には自然を感じられる光と木の温もりを取り込み、そして音にも気を配った。実は伊東屋の各フロアでは、それぞれ異なったオリジナルの音が鳴っている。商品と顧客が主役という考えを基に店舗用の音を構築したという。

過ごしやすい空間

 こうした空間へのこだわりは、銀座店正面のウィンドウディスプレイにも施されている。こちらは季節や時期ごとに社内で自ら企画し展示する場所で、コロナ禍の2021年クリスマス時期には、逆境に負けずに突き進む象徴として不死鳥をディスプレイした。クリスマスだから赤と緑というお決まりのスタイルではなく、伊東屋スタッフがそのときの顧客への想いを込めて展示している。

 過ごすという意味では「働く場所の提供」も行っている。10階にビジネスラウンジ、貸会議室を用意した。「ワンフロア全部を使った贅沢な空間で、ぜひクリエイティブな会議を」とメッセージしている。

 良い仕事には良いものを体に入れるべきとの考えから、「働く人を体の中からサポート」する施設も用意。11階に野菜工場、12階にはレストランがある。

 大切な文房具売場は「働く道具の提供」として各フロアにテーマを設定し、それに沿った文房具を展示、販売している。たとえば2階のテーマは「Share」。グリーティングカードや便箋など、心をシェアできる文房具を用意している。

 最後に挙げたコンテンツは「楽しく過ごす」ための体験だ。2階にはポストがあり、便箋を選んで、思いを込めて手紙を書き、投函できる。そこにある商品からそのまま体験につなげられる場所だ。そのほか、伊東屋のコンセプトや商品をスタッフの紹介で体験できる「伊東屋ツアー」もある(現在は感染対策のため停止中)。

画像を説明するテキストなくても可

 銀座店舗はこれら5つのコンテンツによって、ものと出会えて、ものを楽しめ、ものが好きな仲間を作れるという、楽しく過ごせる場所になった。松井氏は、実店舗だからこそ五感を刺激する場でありたいと述べ「ここ以外では絶対提供できないぞ、というプライドを持って届けたい」と強調した。

コロナの大打撃から立ち直るための二つの戦略

 銀座店舗をリニューアルし、様々な評判の中、前進していた伊東屋だが、2020年コロナ禍の緊急事態宣言で大きな打撃を受ける。店舗の来店客数と売上が大幅に減少。松井氏も「銀座から人がいなくなった、一時はゴーストタウンのようでした」と振り返る。逆に世間一般ではECの利用者が増えていった。一度経験すればその便利さから、実店舗に行く意欲はますます薄れる。

 こうした変化を受けて、銀座の老舗として存在していた店舗そのものが、伊東屋を知るためのメディアだったと松井氏は痛感する。そして、その危機感をバネに、松井氏と伊東屋は戦略を練り直し、攻勢に出る。

 松井氏は「答えはシンプルでした。ECとオリジナル商品の二つが戦略のキーです」と述べた。店舗の代わりに売上を支える場所として、以前から強化をしていたECにさらに力を注いだ。ECサイト構築ツールとしては、インターファクトリーが開発・提供するクラウドコマースプラットフォーム「ebisumart」を利用している。

 オリジナル商品は、ECで戦うための起爆剤だ。そもそもAmazonなどのプラットフォームの中には、同社が扱っている多数の文房具製品が同等に並んでいる。ならば伊東屋から買わなくても良いという考えは容易に想像がつく。だからこそのオリジナル商品だ。差別化により、新たなブランド価値を確立させるだけでなく、高い収益性も担保する。

二つの戦略

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

 就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社インターファクトリー

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/05/30 10:00 https://markezine.jp/article/detail/41982

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