メルマガ経由売上が4割!コンテンツ力で差別化するフィラディスワインクラブ
株式会社フィラディスは、2003年8月設立。みなとみらいに本社を置く、ワインの輸入、卸業を営む会社である。主に欧州、北米地域のワインを輸入し、レストランなど飲食店へと卸すほか、2021年4月には、他社からワインセラーの「フォルスタージャパン」の事業譲渡を受けた。そして、ワインのECサイト「フィラディスワインクラブ」を主にBtoC向けのビジネスとして運営している。
社員にはワイン好きが多く、ECサイトの責任者である五十嵐祐介さんは、 JSA認定ソムリエでありワイン小売大手からの転職。ECサイトのデザイナーでありフロントエンジニアである西岡卓哉さんは、 JSA認定ワインエキスパートを持ち、元々は「フィラディスワインクラブ」の顧客だったという具合だ。
ECサイトは、まず2015年5月に「フィラディスワインクラブサーティ」として、3,000円以下のワインを30本厳選するというコンセプトで開始した。立ち上げ店長としてコンセプトを打ち立てたのは、他ならぬ五十嵐さんである。
「品揃えが豊富なワインECサイトは他にもあり、後発だったため、他とは違うコンセプトが必要だと考えました。フィラディスが直輸入しているワインの中から、厳選して30本、自宅でちょっと贅沢に飲んでいただける3,000円という価格に設定しました。30本あれば、国、ブドウの種類、タイプなどを網羅することができ、30本すべて飲んでいただければかなりワインに詳しくなっていただけます」(五十嵐さん)
続いて同社の得意ジャンルであるシャンパーニュ専門ECサイト「ザ・シャンパーニュ」を、そして、こちらも同社が直輸入を行う、高級レンジの赤白ワインを扱うECサイト「Collection」を立ち上げた。現在では、3つとも「フィラディスワインクラブ」内の、コーナーとしての位置付けになっている。取材前日に楽天市場に店舗をオープン。今後はモール展開も行っていく予定だ。
「2016年に西岡が入社してくれるまで1年半、私ひとりでECサイトを運営していました。元々フィラディスが数人で始めた会社です。卸売業が軌道に乗り、事業拡大となった際に、BtoC向けであれば投資が比較的少ないECから始めようという経緯です。ひとりでできることはそう多くなく、商品選定とその商品についての記事を書くことくらい。ワインECとしては後発でしたから、他のサイトがやっていないことを探し、『家でワインを楽しむ』ことにフォーカスしたコンテンツをアップするようになりました」(五十嵐さん)
どのような料理とあうのか、ワインの生産地はどのような地域でどんな食文化を持つのか。そのような軸で情報を集め、五十嵐さんはサイトに記事をアップ、メルマガを毎日書き続けた。
「文章を書くことが好きなので、ひたすら長いメルマガを書いて送るということを続けていると、徐々に会員と売上が増えていきました。今でもメルマガ経由の売上が4割を占めるほどです。自分たちが本当においしいと思ったワインを目利きして直輸入し、お客様にもおすすめするのが当社のコアビジネスですから、それをECサイト上でも実践し、情報発信をしていくということをやっています」(五十嵐さん)