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“良い写真”のためのコミュニケーションとは AD/コピーライター/フォトグラファーが徹底解説[座談会前編]

撮影チームのコミュニケーションをうまく進める4つのコツ

1.無理なオーダーになっていないかを確認する

千葉 続いては「撮影チーム内のコミュニケーション」について考えていきたいと思います。

Q. 撮影チーム内のコミュニケーションで工夫したり大事にしたりしていることは?

コンセントメンバーの声(2)
「フォトグラファーさんやスタイリストさんに無理のない稼働になっているかを確認しておくこと」

この回答を補足すると、たとえば「撮影は全体で3時間だけど、このカット数は可能か?」「この場所でこういうふうに撮りたいけれど問題なくできるか?」など、デザイナーが思い描いているイメージを写真によって落とし込んでいくときに、無理なオーダーになっていないかを確認していくイメージです。

デザイナーやディレクターだけで考えて結論を決めてしまったあとにみんなに伝えるやりかたには落とし穴のようなものがあると私は思っています。やりたいことが実現可能かをまずはフォトグラファーさんに確認。もしできない場合、それに近い写真を撮ることができるかどうかは、撮影チームのコミュニケーションの中で生まれてくるものだと思うんです。

鹿児島 そうそう。フォトグラファーさんはじめ、自分だけではたどりつけない解決策を、フォトグラファーさんはじめほかの人が持っていたりしますよね。実際、田村さんとのお仕事で「交差点で上からこういうふうに撮りたいカットがある。でもどう実現したら良いのかわからない」と相談したときも、田村さんの経験からいろいろな解決策を教えてくださったことがありました。

2.専任でイメージの「すり合わせ役」を立てる

田村 現実的に可能であるかをあまり意識せず、ふんわりとしたオーダーをされることもありますが、やはり事前にデザイナーさんとフォトグラファーとで打ち合わせをしないと撮影当日に大変な事態を招いてしまう可能性があります。だからこそ、事前の打ち合わせはもちろんやっておいたほうが良いんですよね。

実はここ数年、「デザイナーさんとフォトグラファーの真ん中に立ち、そうしたすり合わせを担当する人が必要だ」という話もよくなされていて、実際に増えてきているんです。

千葉 コンセントにも「撮影コーディネーター」として活躍している人がいるのですが、やっぱりそういった役割は必要ですよね。デザイナーがそれを担うことも多いのかもしれませんが。

田村 とくに規模感があまり大きくない撮影の場合だと、スタジオ選びや撮影中にどこに何を置くかといったことを、デザイナーさんやスタイリストさん、フォトグラファーが行うことは多いですよね。誰が何をやるのかのほかにも、明確に言葉にせずぼんやり決めているものが結構あるはず。事前の打ち合わせで全て決めるのも難しいため、各自の経験に頼ったり、コミュニケーションがよく取れているチームで仕事をすることも結構あります。

では経験があまりない場合や初めてのチームで臨む場合はどうしたらいいかというと、やはり話し合うしかない。当たり前のことではあるのですが、事前の打ち合わせが大切です。

3.「イメトレ」で、伝える内容を具体的にする

鹿児島 チームでコミュニケーションを取るために、まずは自身で「イメトレ」をしておくことが大事だと思っています。何が必要かをすべて想像してみて、「ここはわからないから、この人に聞いておこう」などを確認しておくんです。

先ほどの「トーン」の話にしても、「こんなシチュエーションでこういったことを伝えたい写真だから、この雰囲気にしたい」というように、裏側の意図とともにフォトグラファーさんに伝えるようにしています。それにより当日フォトグラファーさんが使う機材も変わるかもしれないですしね。

千葉 私もイメトレはよくやっています。撮りたいカットやそのために必要な時間などを香盤表(連載記事Vol.2参照)に起こして共有する。なぜなら「時間軸」や「空間軸」のような拠りどころとなる軸がないまま伝えてしまうと、「できる・できない」の判断ができなくなるかもしれないからです。

ロケハンにもフォトグラファーさんと一緒に出向き、やりたいことを時間軸や空間軸で捉えて具体的にしていきながら、問題ないかどうかを確認するようにしています。そうすることで、本番の撮影現場で失敗することも少なくなるのです。

4. フォトグラファーにロケハン同行をお願いする

鹿児島 同行をお願いすることを遠慮してしまう人もいると思うためお聞きしたいのですが、フォトグラファーさんにとっても一緒にロケハンに行くことは有効なのでしょうか。

田村 もちろんです。フォトグラファーとしても絶対に一緒に行ったほうが良いです。やはり撮影場所によって光も変われば背景の映り込みも変わってくるため、実際に現場に行って撮ってみて、光の感じや雰囲気などその場所で表現できる「トーン」をつかんでおくことが大事なんです。たとえば「今回目指している“秋のお部屋の中”という感じが撮れるからここにしよう」など、ロケハンで実際に現場を体感して撮ってみるからこそ決められる。フォトグラファー自身が「トーン」をつかむためにも、そして撮影チームに共有するためにも、ロケハンに一緒に行くのはとても良いことだと思っています。

もうひとつのロケハンが有効な理由は「1カットにつき、どのぐらいの時間をかけられるのか」を共有しておけることです。

たとえばスタジオ撮影の場合、3時間で30カット撮りたい場合もありますし、Instagramにアップする写真を2ヶ月分まとめて撮りたいなどの依頼も多くなっています。結局撮影は「1カットにかけられる時間の積算」。たとえ経験豊富なチームで臨む場合でも、「今回の“トーン”に合った写真を撮るためには、1カット何分かかるか」というのは、実際の現場で初めてわかるわけです。

ロケハンで「トーン」を共有し、イメージしながら通しで実際に撮ってみて、「今回は、全体の撮影時間が○時間だから、1カットの時間を短くするために撮影セットをいくつかあらかじめ組んでおこう」「1カットを撮るのに2秒かかるのではなく、1回につき6コマ撮れるカメラに切り替えよう」などを事前に検討し、本番に向けて準備しておくことができます。とくにまだ経験の少ないチームで撮影をする場合には、事前にこうした検討をしておかないと本番の撮影が頓挫してしまう可能性があります。

人間は、考えたりみんなで意思疎通したりするのにとても時間がかかる生き物。本番の撮影現場で、いかに人間の思考時間を減らして進めることができるか。そのためにも前もってロケハンをし、チームみんなで打ち合わせをしておくことが大切です。

(後編へ続く)

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MarkeZine(マーケジン)
2023/10/18 08:15 https://markezine.jp/article/detail/43813

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