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FEATURE

「タブレットがメディアの壁を崩壊させる」Web広告研究会・本間氏が語る「これからのメディアと広告」


 2月22日、日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会の春のフォーラムが開催された。代表幹事を務める花王の本間充氏は、2013年がどのような変化の年になるのかを総括した。

ネット広告の技術が、他媒体のビジネスを変えるかもしれない

公益社団法人日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会 代表幹事本間 充氏(花王株式会社 メディア企画部門 デジタルコミュニケーションセンター企画室長) 
日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会 代表幹事 本間 充氏
(花王株式会社 メディア企画部門 デジタルコミュニケーションセンター企画室長) 

 第27回「WABフォーラム」(会場:TEPIAホール)は、電通が「日本の広告費」を発表した翌日に開催され、代表幹事である本間充氏が開会の挨拶を述べた。

 まず、4年連続で前年割れとなった総広告費が2012年にプラスに転じたことに触れ、「少し景気がよくなってきているのではないかと感じている」とコメント。インターネット広告費が全体に占める構成率は前年14.1%から14.7%と増加したものの「なかなか15%に届かない」と苦笑。しかし、テレビの構成比が前年同様30.2%にとどまったことから、インターネットメディアの好調さを指摘した。

 続いて「みなさんは、日本の1日の広告件数をカウントしたことはありますか?」と以下のようなグラフを示した。「ディスプレイ広告に関していうと、1日にこれだけの広告が取引されている。電通の発表にあったように運用型広告(※)が増えるのは当然」(本間氏)。

 広告件数が増えたことがインターネット広告をIT化した要因のひとつであり、検索連動型広告でも、キーワードをひとつずつ発注することはありえない。しかし、テレビや雑誌は1件ずつ発注する。こうした商取引の違いを指摘したうえで、「冷静に考えると、テレビや雑誌やラジオの広告もネットと同じスキームで売買したら、全部の雑誌の広告も自分たちで買えるのかもしれない、地方局のCMも買えるかもしれない。そこにはいろんな可能性がある」と、インターネット広告でつちかった技術が各媒体のビジネスを変えることもありうると語った。

ニールセンの月間ディスプレイ広告配信データなどをもとに作成したグラフ。テレビ・ラジオには民放連の総量規制があるため、インターネットメディアと単純に比較はできないが、WEBが他を圧倒している。
ニールセンの月間ディスプレイ広告配信データなどをもとに作成したグラフ。
テレビ・ラジオには民放連の総量規制があるため、単純に比較はできないが
WEB広告の件数が他を圧倒している。
※運用型広告とは

運用型広告とは、膨大なデータを処理するアドテクノロジーを活用したプラットフォームにより、広告の最適化を自動的にもしくは即時的に支援するような広告手法のこと。検索連動広告、新しく登場してきたアドエクスチェンジ/SSP/DSPなどが典型例。また一部のアドネットワークもこれに含まれる。なお、枠売り広告のほか、タイアップ広告やアフィリエイト広告などは、運用型広告には含まれない。出典:インターネット広告媒体費における小分類の変更について(電通「2012年 日本の広告費」より)

タブレットでは、メディア間の垣根が崩れようとしている

 昨年秋以降、7インチや11インチなどのタブレットが出てきた。このタブレットの普及についても本間氏は触れた。「タブレットはこれからさまざまなサイズ・機種が出てくる。そこで問題になるのは、それらのブラウザごとにデザインするのかということ。PC・携帯・タブレットごとにサイトのデザインを統一するべきなのか。さらにスマートテレビが加わったらどうするのか。これは、おそらくテクノロジーで解決することになる」(本間氏)

 そして「タブレットの普及は僕たちに、PCサイト中心のウェブサイトデザインから違うところへ行きなさいということを暗示している。もっとプログラムを使ってコンテンツを作りなさいと」と語り、コンテンツづくりの現場にも変革が必要なことを示唆した。

 さらに、このデバイスがもたらす変化について言葉を続ける。

 「タブレットには、ウェブを見るだけでなく、テレビやラジオのようなコンテンツ、電子新聞を見る機能も内包されている。そこでは、テレビ/雑誌/新聞/ラジオ/ウェブという垣根が崩れてしまっている。そこでは『ウェブサイト vs 電子新聞』『ウェブサイト vs YouTubeの動画』かもしれない。PCの世界ではあまりこうした比較はされなかったが、タブレットでは明らかに(ウェブサイトの)コンペティターが増えている」(本間氏)

デジタル・マーケティングでビジネスを成長させるのは?

 最後に本間氏は、今回の「Web広告研究会宣言」として「デジタル・マーケティングでビジネスを成功させるのは宣伝部長です」という言葉を掲げた。

 「『宣伝部長のせいにするの?』と思われるかもしれないがそうではない。技術的にやれることはたくさんあるが、それを全社的なマーケティングコミュニケーションにどう活かすのかをちゃんと考える時期が来た。みんなで一緒に、ただし会社のトップディシジョンをする方と一緒に考える必要がある」(本間氏)

 「一部門だけでウェブサイトをつくる時代は終わった。そこから違うステージに行きましょう。そして、企業の内部にある壁を取り払って、デジタル・マーケティングをどうすべきか一度考えてみませんか? ネットの世界が一番IT化されている。ほかのメディアでもそうしたらどうなるか、みんなで考えてみませんか?」とあいさつをしめくくった。

 MarkeZineでは、この後に続いて行われた、第一部:鹿毛康司氏(エステー 株式会社 執行役 宣伝部長)講演、第二部:本間氏と石川氏(日本アドバタイザーズ協会理事長代行/株式会社 資生堂)の対談のもようも引き続きお届けします。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

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MarkeZine(マーケジン)
2013/02/26 12:37 https://markezine.jp/article/detail/17275

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