2013年、広告関連業者の倒産件数は205件
帝国データバンクは、2013年の広告関連業者の倒産動向について調査・分析した(対象は負債額1000万円以上、法的整理のみ)。2013年の倒産件数は205件。前年比7.7%の減少で2年ぶりに減少した。負債総額は同23.0%減の135億7300万円と3年連続で減少した。
負債規模別に見ると「5000万円未満」が138件で、構成比は67.3%ともっとも高い。広告関連業者全体では倒産件数が減少しているが、「5000万円未満」の構成比は上昇傾向が続いている。
目立つのは、新聞や雑誌、パンフレット、チラシなどの"紙媒体"のほか、販促の企画や販促ツールの制作などを手がけていた小規模業者の倒産だ。「IT化に伴い得意先において内製化が進んだことで受注が減少」したことを倒産原因にあげている業者もあり、IT環境の充実による受注環境や媒体環境の変化が、従来型の媒体を扱う中小零細業者の倒産につながっている可能性がある。
業態別の動向を見ると、その構成比には目立った変化は見られない。また、前年比では「ディスプレイ業」が29.4%減と3割近く減少したほか、「広告制作業」(同11.8%減)も2ケタ減となった。「広告代理業」は同4.4%の減少。
今後の見通し
アベノミクス効果による株高・円安は、企業業績を押し上げ、個人消費を回復させようとしている。こうした経済環境は広告業界にとって追い風であり、今後もしばらくはその恩恵を業界にもたらすと予想される。
その一方で、中小零細クラスの業者にとっては厳しい状況が続きそうだ。IT環境の充実はクライアント企業の内製化を促し、販促ツールや広告物のデザイン、制作、撮影などを自ら行うケースが増加している。従来は広告関連業者の業務領域だった作業が侵食されていることで、受注の減少につながっていると考えられる。
電通発表の「日本の広告費」によると、2013年はインターネット広告が前年比108.1%と引き続き伸びている反面、新聞(同98.8%)や雑誌(同98.0%)といった"紙媒体"は苦戦している。こうした媒体環境の急速な変化が、ノウハウに乏しい中小零細業者の負担となっており、帝国データバンクは、今後も小規模業者の倒産動向には注意が必要だとしている。
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