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JR東日本、Suicaデータの社外提供は引き続き「見合わせ」

有識者会議の中間とりまとめ

 日立製作所は2013年6月27日、JR東日本から個人情報を含まない「Suica」の履歴情報の提供を受け、日立のビッグデータ解析技術により分析し、首都圏における駅エリアの利用目的や利用者構成などをレポートとして提供する新サービス「日立 交通系ICカード分析情報提供サービス」を開始すると発表した。

 しかし、JR東日本はデータ提供について約款等への記載や個別の許諾を行なっていなかったことから、多くの問い合わせや苦情が寄せられた。

 JR東日本は同年7月、外部提供を希望しないユーザーのデータは除外するなどの対応を行うとともに、9月に「Suica に関するデータの社外への提供についての有識者会議」を設置。今年2月までに計5回開催され、問題の整理と今後の運営についての議論が行われた。

法改正などを注視しながら、安心・納得できるデータ提供を

 有識者会議における「中間とりまとめ」では、事前に十分な説明や周知を行わなかったことなど、利用者への配慮が不足していたことは問題であり、JR東日本という公共性の高い企業の立場からも、利用者に不安を与えた事実を重く受け止める必要があると指摘。

 その一方で、「7月提供のSuica分析用データ」(※)を提供した時点では、一定レベルの匿名化処理がされ、特定の個人を識別することができない状態であると評価できたので、個人情報保護法の「個人情報」に当たらず、同法の適用を受けないと考え、提供した。プライバシー保護の観点からも、日立製作所との間で特定の個人を識別することを禁止する契約を締結していたことなどから、法的に問題となることはないと考えていたと当時の状況を整理した。

 有識者会議ではこうした状況を踏まえて検討した結果、JR東日本は、現行法において、合理的と考えられる範囲での法の解釈運用に努めていたことが認められるが、個人情報の定義における特定の個人の識別性の論点については専門家の間でも解釈に幅があり、また、現在、法改正が検討されているため、今後の立法化の動向にも注視していく必要があるとしている。

 また、プライバシーの保護については、一定レベルの匿名化処理や日立製作所との間で特定の個人を識別することを禁止する契約を締結しているので、直ちに個人のプライバシーが侵害されるおそれはないと判断されるものの、今後、技術の進展に伴い、特定の個人が識別され新たな問題が生じる可能性も考えられるため、今後とも継続して最善と考えられる配慮を行うべきであるとしている。

 また、Suicaデータの活用については、これまで、JR東日本の自社サービスの品質向上を目的とした取組にSuica分析用データを活用しており、自然災害発生時の対応や地域のマーケティングなどの自社サービス以外にも活用が期待される一方で、より安心・安全と考えられる集合匿名化を行った場合、相当数の利用者のデータが使用できなくなり、分析結果の精度が低下する課題もあると指摘している。

 さらに提言として、今回の経験を活かし、法改正や技術の進展などの社会の動向を注視しながら、利用者が安心・納得できるようなデータ提供のあり方を多角的な観点から検討すべきであること、JR東日本は、ビッグデータが生みだす価値が社会に理解されるよう、公益性の高い統計情報を公表するなど積極的な活動を行っていくことを望むとしている。有識者会議は今後も、必要に応じてJR東日本に対して助言を行っていく。 

※ 2013年7月に日立製作所に提供された「Suica利用データから氏名・電話番号・物販情報等を除外し、生年月日を生年月に変換した上、さらに、SuicaID番号を不可逆の別異の番号に変換したデータ」を指す。(「Suica に関するデータの社外への提供についての有識者会議『中間とりまとめ』受領について」より)

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MarkeZine(マーケジン)
2014/03/24 15:00 https://markezine.jp/article/detail/19516

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