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「強い人工知能」と「弱い人工知能」の違い、知っていますか? 人工知能の基本と活用を考える

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 マーケター向けに、マーケティング分野における人工知能(AI)の活用について解説する本連載。第1回のテーマは「人工知能の正しい認識と今後」。人工知能と呼ばれる領域の整理や、人工知能の活用の可能性についてご紹介します。

「人工知能」とその注目の背景

 現在、人工知能といった言葉が様々な分野で広がりを見せている。マーケティングの分野においても例にもれず、数多くの機会で人工知能という言葉は使われており、実際に触れている方も多いだろう。しかし、そもそも人工知能とは何か、マーケティングでどのような活用ができるのか把握できている方はどれくらいいるだろうか?

 当連載では、人工知能の基本、マーケティングの分野における活用の可能性、そして人工知能の領域での代表的な手法を用いた活用事例について解説していく。第1回目は、人工知能の基本として、人工知能と言われている領域の整理や様々な分野での活用の可能性について解説していく。

 人工知能(AI)とは、一言でいえば「コンピュータを用いて人間と同様の知能を実現させること」だ。さらにカリフォルニア大学バークレー校教授ジョン・サール氏によると以下のような区別がされている。

  • 強い人工知能:知能を持つ機械
  • 弱い人工知能:人間の知能の代わりを一部する機械

 強い人工知能には、SF映画等で登場するロボットがあげられる。人工知能というとまずこちらをイメージする方もいるだろう。一方、弱い人工知能は、コンピュータチェスやコンピュータ将棋のようなものが挙げられる。現在世の中で話題となっているものの多くは「弱い人工知能」のことであり、何十年も昔から様々な研究が行われている。しかし人間の知能は複雑であり、それを模倣することは、コンピュータが進化した時代においても難しい問題だった。

 この状況に変化が起きたのは2012年。コンピュータによる画像認識等の技術力を競う国際コンテスト「ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge 2012(ILSVRC)」で、トロント大学のチームがディープラーニング(深層学習)(※1)という手法を用いることで2位以下に大差をつけて優勝し、大きな注目を集めた。同年6月、GoogleもディープラーニングによってYouTube上の画像を学習させることによって、猫の画像を猫と認識できるようになったと発表したことも話題となった(参考)。

 これらを契機に、あらためて人工知能そしてディープラーニングという手法が注目され、世界中で研究されるようになった。IBM、Microsoft、Facebook等の大手企業も研究を進め、自社のソリューションでの活用や研究発表を行っている。

言葉に踊らされないために

 では、ディープラーニングによって人工知能が実現でき、あらゆる課題が解決できるかというとそうではない。ディープラーニングはあくまでも一つの手法であり、現状では解決できない課題も多々存在している。

 前述の画像認識のように、物体を認識するにあたり、その物体の持つ「特徴量」(※2)と呼ばれる要素を発見するためにはディープラーニングは非常に有効だ。一方で、既に実用化が進んでいる文字列の検索システムのように比較的シンプルなパターン認識で実現できているものについては、ディープラーニングはオーバーテクノロジーであり、コストや処理時間に見合う精度の向上が見込めるかというとそうでもない。

 また、戦略や企画立案のように過去のデータを参考にするだけでは上手くいかないものや、クリエイティブ制作のように創造性が必要とされ何が評価されるか不明確なものに対するディープラーニングの活用方法は見えていない。

 ディープラーニングは人工知能の歴史の中において、大きなブレイクスルーではあるが、その言葉に踊らされてはいけない。自身や自社の課題に対して解決するための適切な手法は何か? 冷静な視点での判断が必要だ。

 そして、現在言及されている人工知能の多くは、ディープラーニングも含めて人間の学習能力をコンピュータで実現しようとしたものであって、多くの人がイメージするであろう人工知能とは少し異なっている点について理解しておくことも重要だろう。

※1ディープラーニングとは:脳機能に見られるいくつかの特性をコンピュータ上のシミュレーションによって表現したモデル(ニューラルネットワーク)の一つの手法である。特に三層を超える多階層のニューラルネットワークのことをいう。詳細は第3回に掲載予定。

※2特徴量とは:画像を分析する際に抽出する特徴のこと。


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