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トップマーケター「マーケターがデジタルとアナログを区別する時代は終わった」

2017/03/07 11:00

 マーケティングのデジタルシフトが進む現代において、アナログの重要性が再認識され始めている。そのような状況に切り込んだのが、2017年1月に東京と大阪で開催されたイベント「MarkeZine Day Special powered by 日本郵便 デジタルシフト時代を切り拓く『デジタル×アナログ』のあり方とは?」だ。トップマーケターと大手ベンダーたちは、デジタルとアナログを組み合わせることで生まれる新たな可能性についてどう考えているのだろうか。今回は、トップマーケターの活用法を中心にお届けする。

デジタルはマーケティングの一部でしかない

 第1部のタイトルは『Topマーケターが本気で語る、デジタルとアナログ』。大手企業のマーケターたちは、どのようにデジタルとアナログを組み合わせ、活用しているのだろうか。日本マクドナルドの足立氏は、同社におけるデジタルの活用法についてこう語る。

左から、日本マクドナルド 上級執行役員 マーケティング本部長 足立 光氏
富士フイルム e戦略推進室 eマーケティンググループ 一色 昭典氏
パナソニック コンシューマーマーケティングジャパン本部 クラブパナソニック運営部部長 中村 愼一氏

 「デジタルは主に三つのエリアで活用しています。一つ目はマスメディアの補完です。当社は幅広い層をターゲットとしているので、いまだにマスメディアが最も効率が良いんです。しかし若い年代を中心にデジタルでしか届かない層が出てきたので、そこを補完しているわけです。

 二つ目は日時を指定して訴求する場合です。たとえば朝マックは午前7時に広告を出すと効果がありますし、ランチは10時から11時に広告を出すと効果があります。三つ目は話題作りです。当社のプロモーションは4から6週間くらいの期間で展開するため、開始後に想定通りの効果が出ていなくても、期間内にあまり効果的な手が打てません。そのため、初日にどれだけ売上を上げられるかが重要になりますので、発売前の話題作りをソーシャルなどで行っています」(足立氏)

 このようにデジタルを活用している日本マクドナルドだが、本格的に活用を始めたのは2年程前からだという。実は富士フイルムもデジタルの活用を始めたのは比較的最近だと、同社の一色氏は言う。

 「私が所属しているe戦略推進室は5年ほど前にできました。私はずっと経営層にデジタルマーケティングの重要性を説き続けていたのですが、昨年、社内ICT部門を集約した組織が新設され、会社としてデジタルマーケティングを推進していく体制が整いました。ただ、デジタルと言ってはいますが、ICT化により可能になったデータドリブンマーケティングを推進しています。デジタルの利活用で得られる各種データを基に、それぞれの事業部に対しどのようにマーケティングを展開すべきかを支援するかが、重要課題になっています」(一色氏)

 このように、「デジタル」を特別視するのではなくあくまでマーケティングの一部として捉える考え方は、足立氏の口からも語られた。

 「デジタルはマーケティング全体の一部でしかないし、それで良いと思っています。当社の場合、店頭で使える割引クーポンの利用率やその中で紙の占める比率を見ても、地域によって倍以上の差があります。そのため、まだまだ紙媒体も有効な地域、ターゲットがあると理解しています。私は、マーケティングにおいてデジタルとアナログを分ける時代は過ぎたと思っています。全体の中で『このメッセージを届けるためにはこちらを使おう』と判断し、活用できるようにしなければなりません」(足立氏)

 2007年から会員サイトの「CLUB Panasonic」を運営し、デジタル活用の先進企業としても知られるパナソニックの中村氏も、この意見に同調する。

 「マーケターはデジタルとアナログを分けがちですが、その必要はありません。最も重要なのは、顧客に何を届けどのように捉えてもらい、販売に繋げるかです。デジタルもアナログもその手段でしかないので、あくまでマーケターとしてデジタルでもアナログでも迷ったらとにかくやってみて、効果検証してPDCAを回すことです。その際、アナログにおいてもしっかりと効果検証を行う必要があります」(中村氏)


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