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CPA70%改善のワードは「ンヒィィィィィ」インテリジェンスも驚くTwitterデータ分析と広告配信

2017/03/30 10:00

 ニーズはあっても顕在化していない、いわゆる潜在層がツイートする傾向にあるキーワードを元に広告を配信すれば、競合よりも早く自社のサービスに出会ってもらえるのではないか。そう考えたインテリジェンスは、Twitterデータを活用した分析結果から広告配信を一気通貫で実施。CPA70%改善、ブランドリフト200%と高い成果を出した。今回、取り組みの詳細を紹介したい。

Twitterデータの分析から広告配信まで一気通貫

 ツイートデータを活用したインサイト調査や、Twitter利用者への広告配信など、Twitterをビジネス向けに活用することは、マーケターにとって当然の選択肢だろう。では、Twitterを活用したデータ分析・調査から広告配信までを一気通貫する取り組みを実施したことがあるマーケターはどれだけいるだろうか?

 インテリジェンスは、ツイートデータを分析することで「アルバイトを探したい」という思いが顕在化する前、潜在的にニーズを持ち合わせる人がツイートする傾向にある言葉を分析。割り出したキーワードを元にプロモツイートを配信することで、CPA70%改善、ブランドリフト200%といった高い成果を出したという。今回、その取り組みの詳細を紹介したい。

左から株式会社インテリジェンス Worksディビジョン マーケティング企画統括部 デジタルマーケティンググループ マネージャー 森勇樹氏、同グループ 渡邉美智子氏、株式会社NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 ソーシャルビジネス推進室 課長代理 西澤聡子氏、Twitter Japan株式会社 Twitter Client Solutions 情報サービス業界担当 シニアクライアントパートナー 伊藤政司氏
左から株式会社インテリジェンス Worksディビジョン マーケティング企画統括部 デジタルマーケティンググループ
マネージャー 森勇樹氏、同グループ 渡邉美智子氏
株式会社NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 ソーシャルビジネス推進室 課長代理 西澤聡子氏
Twitter Japan株式会社 Twitter Client Solutions 情報サービス業界担当 シニアクライアントパートナー 伊藤政司氏
※本記事は2017年2月に行った取材をもとにしたものです。担当者役職等は取材時点のものになります。

●Twitterデータビジネスとは?

 広告と並ぶTwitterの主要な事業が、Gnipで展開しているデータビジネスだ。Twitterプラットフォームから創出される膨大なデータを、Gnip製品と呼ばれるAPIプロダクトに落とし込み、パートナー企業に提供する。そのパートナー企業経由で、クライアント企業のビジネスに活用されるというTwitter エコシステムと表現されるモデルだ。このパートナー企業の中で、コンサルティング力、ビジネスツール開発力などがトップレベルのわずかな企業を、オフィシャルパートナーとして認定しているという。今回、そのオフィシャルパートナーとして日本で最多の導入実績を上げるNTTデータが、Twitterの全量データを活用して、クライアントであるインテリジェンスのビジネスに貢献した。

“ニーズが発生するタイミング”を捉えて、競合に差をつけろ!

 今回の取り組みは、2015年11月に、アルバイト情報サービス「an」の、BtoC向けデジタルマーケティング全般を担当する森氏が、“アルバイトのニーズが発生するタイミング”に何とかアプローチできないかと考え始めたのがきっかけだという。

 2016年1月からTwitter Japanとディスカッションを重ね、6月にNTTデータと連携スタート。7〜8月にデータの調査を行い、9月に広告配信、施策後の調査用の配信を10月に行った。広告配信でのKPIは2つ、“配信におけるCPA”と“認知系の上部ファネルに向けた他の施策と比べたときの、ブランドリフト”だ。どちらも、今までより高いパフォーマンスを記録したという。

 「私たちのターゲットは、アルバイト探しのニーズを持った人々です。普段はリスティング等の獲得系施策を展開し、上部ファネルに対してはCMやOOHを主に行っています。しかし、これらの取り組みは競合他社も同様に力を入れているため、どこか別の突破口が欲しかった。そこで思いついたのが、ニーズが発生するタイミングを捉え、メッセージを送ること。それができれば、どこよりも先に、まずは当社に出会っていただけると考えました」(森氏)

利用者像やニーズを明確にしたいなら、断然Twitter

 森氏がTwitterに目をつけた理由は何か。利用者のニーズがツイートに明確に現われ、ターゲティングに活かせること。さらに他のSNSよりもリアルタイム性が高いからだという。そのTwitterのデータについて、西澤氏は次のように評価する。

 「Twitterは特定のアカウントごとに発言を追っていくことができるため、データから利用者像をリアルに描き出せます。ですから、アルバイトを探しているユーザーの発言を時系列で追うことで、“アルバイト探しのニーズが発生するタイミング”の特徴を捉えることが可能だと考えました」(西澤氏)

 実際に使ったデータソースは、Twitterの日本語データ全量。Twitter利用者のデモグラフィック情報や趣味嗜好情報を、ツイート内容などから分析し提供するサービス“ユーザープロファイルDB”を活用して、アルバイトを探している利用者の趣味嗜好、性別、年代など特性を洗い出し、ターゲット層を明確にした。

 「アルバイトを探している層には学生さんとそれ以外の方がいて、発言傾向がかなり異なります。アカウント単位でツイート分析をしたり、学生の中でアルバイトを探している人とそうでない人を比較したりして、発言の傾向を捉えていきました。さらに言語解析で、どのような単語が使われているのかを調べ、より特徴的な単語を捉えていきました」(西澤氏)

 結果、従来のターゲティングで想定されていたキーワードだけでなく、机上で考えるだけでは思いつかないものや、アルバイトを探す利用者ならではのコミュニケーション系の単語が見えてきた。

 「それは予想を裏切る斬新な結果でした。たとえば、真面目に勉強を頑張っている方は、あまりアルバイトには興味がないイメージだったのですが、アルバイトを探している人の分析結果には意外と勉学に関連するキーワードが多く挙げられていました」(森氏)

不安になるほど、予想を裏切るキーワード……

 分析の結果が出たら、実際に広告の配信に落とし込んでいく。まず、NTTデータが分析したキーワードから、より効果的だと思われるものを200〜300ほどピックアップし、プロモツイートで配信。そして、広告への接触者と非接触者で、どのような態度変容があったか、ブランドリフトが起きたかを調査した。

 「ロングテールを探すというマーケット的な狙いもあり、ターゲティングに使用するキーワードは、母数は少ないが実際にアルバイト探しをしている率が高そうな利用者向けのものと、ツイートの絶対量が多いもの、つまり質と量の2軸で選びました。」(森氏)

 広告配信を見据えると、精度が高くてもボリュームが少なければ効果的に意味がないものになってしまうが、ボリュームを重視すると従来の施策と変わらなくなってしまう。質と量のバランスを考慮したという。では、具体的にどのようなキーワードがあったのか?

 「質を重視したキーワードは、Twitterでは普通に使われているけれど、私たちがターゲティングをする際には絶対に思いつかないようなものが多かったですね。たとえば、『ンヒィィィィィ』というキーワードが挙げられます。質と量ともに多かったキーワードとしては、『フォロバ』(意味:フォローバック)や『ワロタ』(意味:笑ってしまった)などのTwitter用語やネットの用語、また“年上”“年下”といった人間関係系のものでした」(渡邉氏)

長期的な視点で広告効果を確認

 施策後の効果検証で、CPAは過去のDMP施策やアルバイト系のプロモツイートと比べて、19〜70%改善したという。

 「カテゴリでいうと、人間関係系のワードのCPAが最も良く、ボリュームも取れました」(渡邉氏)

 またブランドリフトに関しては、純粋想起や利用意向において、過去のCM等の施策が130%伸びたところ、今回の施策は180〜200%もアップしたことがわかった。

 「特に良い結果が出たものが、“直近で使いたいですか?”や“将来的に使いたいですか?”といった時間軸を考慮した利用意向の質問に対しての回答です。サービスを使うまでの期間が長くなるほど、利用意向が高くなり、競合との差も開いていきました。顕在化するまで1週間の人もいれば、3ヵ月ほどかかる人もいます。今回の施策では、少し時間が経ってからニーズが顕在化するであろう方々にも響いたことを評価しています」(森氏)

 今回の取り組みは長期的にCPAを見たことも特徴的だと、プロジェクトの全過程において支援をしてきた伊藤氏は語る。

 「ニーズの潜在時からアプローチを続けてタイミングを捉えることを目的にしているのに、効果検証の段階で短期的なCPAだけを見て“悪かったね”と結論づけてしまうケースも少なくありません。しかしインテリジェンスさんは、長期的視点からブレることなく、じっくりと取り組んでいました。これができるかどうかも大きいと思います」(伊藤氏)

 実際に、短期的には難しい局面もあったという。

 「私も運用担当として、この結果でいいのか? と思うこともあったのですが、Twitterさんや森が、“これでいい”とはっきり方針を示していたので、精神的にやりやすかったです」(渡邉氏)

データのアップデートを含めてTwitterで施策を続けたい

 今回の施策の振り返りとして、「結論としては、“やって良かった”の一言ですね」と森氏は語る。

 「目的としていた、ニーズを的確に捉えること、またニーズが発生するタイミングを捉えること、これらはマーケティングの基本ではありますが、実際には難しい。これに果敢に挑戦するため、パートナーを巻き込みながら具現化するように腐心し、一定の結果を得たことは大きいです」(森氏)

 「当たり前ですが、私たちが想定する利用者像は、ごく一部に過ぎません。世の中には多種多様なニーズを持つ人がいるわけで、それにきちんと対応するために、データを正しく活用することが重要なのだと実感しました」(渡邉氏)

 西澤氏は、数値やデータの信頼性について触れる。

 「アルバイト探しなど、特定のステータスにある人々の発言傾向を捉えることが、数値的に本当に可能だと実感したことは一つの収穫でした。想定外のキーワードも出てきて、“これは本当に入れてもいいものか”と迷ったりもしたのですが、数字的には事実であり、広告配信においても結果が出ていました。これからも、分析の数値は信じていこうと思いましたね」(西澤氏)

 さらに伊藤氏は今回の施策を、NTTデータというデータのプロが入ったことで、精度が高まったと評価する。

 「最初の段階からNTTデータさんが参画したのは大きいと思います。分析は素人とプロではまったく違います。自社だけで頑張る、というのも一つの方法ではありますが、今回はデータのプロが深く調査・コンサルティングをして、インテリジェンスさんがその結果に基づいて、素早く挑戦的なビジネスジャッジをされたことが成功の秘訣でしょう。こういった取り組みが増え、Twitterのデータをよりよくご活用していただけるようになると嬉しいですね。Twitterがビジネスにインパクトを与えられるんだということが広がって欲しいと思います」(伊藤氏)

 最後に森氏は「今回の結果は我々の資産。これを大切に、今後もNTTデータさんとデータのアップデートを含めてTwitterで施策を打っていきたい」とデータ活用への意欲を語ってくれた。Twitter、NTTデータとタッグを組むインテリジェンスが次はどのような展開を見せるのか。これからの取り組みが楽しみだ。

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