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表面的な「データドリブン」が施策を迷走させる データの見方が180度変わる「デジタル行動観察」

ユーザーを理解せず、数値目標を掲げることの危うさ

三宅:このように、一人ひとりの行動を観察することはとても有効です。中でも、1ユーザーの動きを時系列で見ると、因果関係らしきものが見えてくることが大きいですね。

  ふたつの数値データがあって、一方が上がったらもう一方が上がるとき、「これらの間には相関がある」といいます。たとえば、サイトへのアクセス数が増えると、売上が増えるというとき、「サイトへのアクセス数」と「売上」の間には相関があると言えます。

 ただし大事なのは、相関があるとき必ずしも因果関係があるとは限らないことです。サイトへのアクセスと売上に相関があるとき、サイトへのアクセス数の増加が売上増加の要因なのか、それとも別の要因があるのかはわからないからです。複数の定量データがあると相関は簡単に見出せますが、因果関係はわかりづらい。ところが、時系列データがあると、マーケターが直感的に因果関係の有無が推定できます。データ解析のスキルは不要です。

時系列データで見ると、事象間に因果関係があるかどうかのヒントが得やすい
時系列データで見ると、事象間に因果関係があるかどうかのヒントが得やすい

 しかし、多くの企業では数字を出して、ただそれだけを追ってしまいます。たとえば、定量データを用いて「新規登録から2ヵ月内に6回購入すると、その後の継続購入率が上がる」と導きだせたとします。そこで、5回買った人に向けて1回無料キャンペーンを行う、という施策をやりがちです。

 でも、その6回という数字の背景には、なぜ、どういう風に6回買ったのかという文脈、言い換えれば「継続購入につながる本当の原因」があるはずです。肝心なのはユーザーにその文脈に合った体験をしてもらうことです。そのために必ずしもみんなが6回購入する必要があるわけではない。それなのに6という数字ばかり追っていると、本当のユーザーの姿を見失って見当外れな施策を打つことになってしまいます。

押久保:なるほど。今のデジタルマーケティングは定量的なデータに偏りがちなので、数字の背景にあるユーザー行動の文脈、ユーザー行動の本当の原因がおろそかにされてしまう。結果として、妄想のユーザー像に基づいて施策を最適化しがちだということですね。あちこちで起きている失敗でしょう。デジタルマーケティングにはまだまだやれることがたくさんあるなという印象を受けます。

顧客に関する事実情報をもとに判断すれば、PDCAを正しく回せる
顧客に関する事実情報をもとに判断すれば、PDCAを正しく回せる

三宅:デジタルマーケティングの手法は色々増えているが、メインは変わっていないと感じます。多くの企業でも同じように感じているのではないでしょうか。

押久保:だから、こうして行動の文脈からユーザーを想像して、ビジネスに効く一番おいしいところを把握して、施策をバンバン打てるようになるといいですね。

ユーザー行動観察がMA活用のカギ

三宅:MAの成功事例で取り上げられている企業さんもよくよくお話を伺うと、その成功につながった行動の文脈は事前にわかっていた場合が多いです。答えがわかっているからそれを自動化することで成果を高められている。でも、その他の文脈やシーンはわからないので、思うようにMAの活用が広がらないようです。先端を走る企業さんでさえそうなのだから、それ以外の企業さんはもっと活用できていない、文脈もわかっていないのだろうなと想像できます。

押久保:なるほど。その課題はユーザグラムでブリッジできますね。ユーザーの行動を観察して新たな仮説を作ってMAで自動化して試行錯誤すれば、どんどん成果が高まるでしょうから。

三宅:そうですね。ユーザグラムも今後どんどん機能拡張していく予定なので、いろいろと活用していただきたいです。直近ではSDKでスマホアプリでのユーザー行動も観察できるようにしていく予定です。

押久保:可能性は広がりますね。これからも期待しています! 本日はどうもありがとうございました。

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