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ママのお悩み解決アプリ「ママリ」はなぜテレビCMを展開したのか?

 0〜2歳児までの子どもを持つ母親から圧倒的に支持されているアプリ「ママリ」。2017年に出産した母親の5人に1人が利用しているというママリが、2018年2月中旬からテレビCMの放映を開始し、大規模なマーケティング戦略を展開した。すでにターゲット層の間で高い知名度と使用率を誇っていたママリが、満を辞してテレビCMを開始した理由は何か。そして、その成果はどのようなものか。アプリマーケティングにおいて、必ずしもデジタル戦略が正解ではない理由について、ママリを運営するコネヒトの大湯俊介氏、増田早希氏が語った。

0歳児の母親5人に1人が使用するアプリ「ママリ」

 平成25年度版厚生労働白書によると、子どもを持つ20〜40代の女性に「子育てで最も頼りになった情報源」を聞いたところ、「自分の親」のほか「ママ友」「インターネット」を大きな存在として挙げているという。

出典:平成25年度版厚生労働白書

 親の育児アドバイスもありがたいが、同じくらいの月齢の子どもがいる母親同士ならば、悩みや相談も打ち明けやすいし、共感も得られる。また、少し上の子どもを持つ母親がいれば、自身の経験から的確なアドバイスも与えることができ、新米ママもひとりで悩まずに済む。もし身近にそういうママ友がいなかったり、親が遠方で支援を得られない場合、今の時代はインターネットで悩みを相談することも可能だ。

 コネヒトが提供する「ママリ」は、そんな子育て中の母親を支援するサービスだ。2014年1月に妊娠や子育てに関する情報Webサイトしてスタートし、その後子育て中の母親をつなぐコミュニティ機能を強化して、ユーザー数を増やしてきた。2018年現在、「2017年に出産した母親の5人に1人が利用するアプリ」であり、0〜2歳の子どもを持つママ向けアプリとして抜群の知名度と活用度を誇る。

「ママリ」の新しいロゴ。左にあるシンボルマークは、ママリの「M」と、
多くのママたちに支えられて一歩踏み出すママの姿を「●」で表現している。

 中でも支持されているのは「ママの悩みに、ママが答える」というQ&A機能だ。登録すれば誰でも無料で利用することができ、投稿数は月間300万件以上にのぼるが、未回答率は数%にとどまる。現在ママリは月間600万のユーザー(※アプリとWebメディアの合算値)がいて、ユーザー同士が活発なコミュニケーションを展開している。ユーザーの満足度も非常に高い。育児や子育てに役立つツールの推薦やその活用法、長期休暇期間の子連れ帰省ノウハウなど、実践に役立つ情報がすぐ入手できる。

 こうしたコミュニケーションを深めることで、さらにサービスの質が向上し、その結果有料会員に移行するユーザーも増えているという。有料会員制度は2017年9月からスタートしたサービスだが、「有料会員への移行は、あくまでコミュニケーションの延長線にあるもの。まずはコミュニティの質担保が重要」とコネヒト 代表取締役社長の大湯氏は語る。コミュニティの活性度としては「回答率」を重要視しているという。

 このママリが、2018年2月中旬〜3月中旬にかけ、テレビCMを中心とした大規模なマーケティング施策を行った。テレビCM放映前の時点ですでに100万会員を抱えており、ターゲット層の認知度も十分だったが、このマーケティング施策を行ったことで、ダウンロード数は目標値の120%を達成。同時に投稿数は2倍になったが、未回答率は以前と変わらず数%を維持し、ユーザーと投稿数が増えた分、コミュニケーションは活発になったという。

効率の良いデジタル施策ではなく、テレビCMを展開した理由

コネヒト株式会社 代表取締役社長 大湯俊介氏

 そもそも今回、同社がテレビCMを中心とするマーケティング施策に踏み切ったきっかけは、大きく2つあるという。

 第一に、デジタル広告で取りきれない層に対するアプローチだ。モバイルアプリの訴求施策なので、「単純比較すると、やはりデジタルの方が効率的なことは事実です」と大湯氏は語る。

「ですが、ママリはネットリテラシーが高いユーザーだけでなく、『子どもと家族を守りたい』と思っている方すべてを対象としています。これまでデジタル施策を中心にマーケティングを進めていく中で、デジタルでは取りきれない層がいることは、肌感でわかっていました。そうした層に向け、しっかり訴求したいという思いがありました」(大湯氏)

 第二に、ブランドの強化フェーズにあったこと。これまでと同じく、デジタル施策でダウンロード数を獲得するだけでなく、「『ママリ』というブランドを認知させていく段階に来ていました」と、大湯氏は語る。アプリとしてのママリは知らなくても、ママリと聞くと「子育てに役立つらしい」「いいサービスらしい」と想起できるくらいにブランド力を向上させていく。そのために、テレビCMという大きな発射台が必要だったという。

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この記事の著者

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/05/28 08:00 https://markezine.jp/article/detail/28396

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