音声感情解析AIを開発するEmpathはスプツニ子!氏が「アーティスト」として就任することを発表した。スプツニ子!氏はアーティストとしてEmpathが有する感情解析AIの倫理的あり方を構築していく予定。
人工知能が汎用化していく中で欧州におけるGDPR規制など、テクノロジーに対する倫理的問題がこれまで以上に注目されている。市場や生活者への説明責任を果たし企業ブランドを守るため、Googleを始めとするテック企業はデジタル倫理学者の採用を活発化させている。こうした流れの中、音声感情解析AIを開発するEmpathは自らのテクノロジーの倫理性を見つめながら営利企業としての未来のあり方を再考するにあたり、スプツニ子!氏を迎えた。
スプツニ子!氏のバック・グラウンドであるスペキュラティブ・デザイン(※)を参照しながら、自らのテクノロジーが引き起こし得るディストピア的未来の可能性にも注意を払いながら、より人道的なテクノロジーのあり方をともに考察および構築していく。
※スペキュラティブ・デザインとは、企業の問題解決や商品の売上向上ではなく、解決困難な課題において問題提起を行いより良い未来へのシナリオを示し、人々の間で議論を引き起こすことを目指す立場。
スプツニ子!氏は「テクノロジー自体に善悪はなく、それを使う人間のあり方こそがテクノロジーの未来を決定します。感情解析という分野を切り開くEmpathとそのチームに可能性を感じるからこそ、今回アーティストとして一緒により良いテクノロジーの未来を構想していくことに賛同し、Empathに参画することになりました。表面的なアート×テックという文脈を超えて、本質的にテクノロジーのよりよいあり方を追求していくことにワクワクしています」とコメントしている。
同社とスプツニ子!氏は直近では、イギリスの王立美術大学院大学ロイヤル・カレッジ・オブ・アートと東京大学生産技術研究所が共催する「DESIGN ACADEMY」内で、「AIと音声感情解析の現在」をテーマとしたワークショップを4月26日(金)に開催。参加者は「最高にクリエイティブなディストピア」をデザインする予定。
参加者にEmpathの感情解析技術から様々な未来をスペキュラティブ・デザインとして提起してもらうことで、営利企業としての倫理性という問題を公の議論に開く狙い。
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