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マーケターを効率よく育てるには?元P&G音部氏による強い組織の作り方【おすすめの書籍】

 新年度が始まって2ヵ月が経ち、「組織に新しいメンバーを迎えた」「部下の育成に携わるようになった」というマーケターも多いのではないでしょうか。今回おすすめする本は、P&Gや資生堂など様々な企業のブランド組織を指揮・構築してきた音部氏による一冊。マーケティングのプロフェッショナルとして必要な視点、とりわけ組織のマネジメントや人材育成に役立つ概念が明かされています。

マネジメントに役立つ概念を手厚く解説

『マーケティングプロフェッショナルの視点 明日から仕事がうまくいく24のヒント』1,620円(税込)音部 大輔 (著) 日経BP社
『マーケティングプロフェッショナルの視点 明日から仕事がうまくいく24のヒント』
1,620円(税込)音部 大輔 (著) 日経BP社

 『マーケティングプロフェッショナルの視点 明日から仕事がうまくいく24のヒント』は、P&Gやユニリーバ・ジャパン、資生堂といった企業において、ブランドの成長を牽引してきた音部氏の著作。マーケターが身につけるべき視点の中から特に有用性の高いものを厳選し、まとめ上げられた本です。

 本書の特徴は、マーケティング組織を構築していくために欠かせない概念が手厚く説明されていること。組織や戦略に関する話は抽象的になってしまいがちですが、本書にはわかりやすい例えや図が添えられ、実務経験が少ないマーケターも理解しやすいよう工夫されています。

「知識と道具」を与えることで育成効率を上げる

 著者は、第3章「ブランドマネジメント」において、「なぜ組織が人材を育てることができるのか」という問いを掲げ、人材の育成効率が高い組織について考察を深めています。

 著者によると、強い組織は新人に実践的で効率的なトレーニングを提供するだけでなく、「経験値などを含む知識が効果的に流通する仕組み」を整えていると指摘します。加えて、経験の浅い彼らが競争力を高められるよう、消費者理解の方法やデータ共有の仕方といった「道具」を仕立てているそうです。

 「知識と道具」を揃えることで、発展途上のマーケターであっても、組織への貢献度を上げることが可能に。自社の発展途上層が競合の平均層と互角の貢献をもたらしていれば、その企業は強力な競争優位性を持つことができます。自社にとっての「知識と道具」は何に当たるのかを意識しながら人材を育てていくことで、強い組織作りができるようになるはずです。

 また、組織作りにおいてたびたび取り上げられるのは、「属人的な成功をどのように再現すべきか」という問い。これに対し、著者は、上司が部下を育成する際に「自分のコピー」を作らせると良いと提案しています。

 その具体的な方法は、部下から提案を受けた際に上司はすぐにフィードバックを行わず、「さて、私はこれから何を言うでしょうか」と聞くこと。これを繰り返すと、部下は事前に上司に何を言われそうか考えてくるようになります。すると自分の視点に加えて上司の視点も手に入り、今まで見えていなかったものが見えるようになるのです。著者自身も、20年前に大きな影響を受けた上司のコピーが、今でも助けてくれていると振り返っています。

 実はこの考え方は、自分がスランプに陥った時にも役に立つそうです。著者曰く「マーケターのスランプは、うまく物事が見えない、うまく物事を考えられない」ことが大半。そこで好調な時の見方や考え方を記録した「自分マニュアル」を作っておき、そこに立ち返ることで、スランプを脱出することができるのです。

AI時代のマーケターに求められる能力とは

 本書の第4章には、AI時代のマーケティングに関するトピックも取り上げられています。著者は、AIが作業を効率化することでブランド当たりに必要な人員が減り、その結果、個々のマーケターの優劣が一層ビジネスの結果につながるようになると見ています。

 その際に差がつきやすいのは、何が正しい目的か、資源をどう組み合わせるか、といった戦略立案の能力。著者は、AI時代にはこの力の重要性が増していくと述べており、組織に関しては、「再現性と経験値の収集にたけ、人材育成を正しく実現できる企業に成長機会が開かれる」としています。

 本書で語られている様々な概念は、タイトル通り「明日から仕事がうまくいく」ヒントを与えてくれるだけでなく、将来を見据えた組織やブランドの強化についても、新しい発想をもたらしてくれるはずです。

 

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/05/29 08:00 https://markezine.jp/article/detail/31079

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