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CX向上の鍵は「信頼の獲得」にあり!Tealiumが提唱するファーストパーティデータ活用戦略とは

 急速なデジタルシフトに対応するためには、ユーザーの閲覧や行動履歴といったデータ分析による顧客理解が重要だ。一方、世界的な法規制の流れによってCookie利用に制限がかかりはじめている。今後は自社に蓄積されるファーストパーティデータをいかに活用し、顧客に寄り添うかが、企業にとって大きな課題だろう。2021年3月3日に開催された「MarkeZine Day2021Spring」では、Tealium Japanの小泉潤一氏がファーストパーティデータの活用戦略について語った。

企業の「顧客視点」に消費者たちは疑問

 新型コロナウイルスの感染拡大がビジネス界にもたらした大きな変化といえば、急速なデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進だろう。ではDXとは、具体的に何か?

 この疑問に対し、Tealium Japanの小泉潤一氏は、次のように説明する。

 「令和元年7月に経産省が発表した『「DX推進指標」とそのガイダンス』によると、DXとは、『データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること』と記されています」(小泉氏)

Tealium Japan株式会社セールスディレクター小泉潤一氏
Tealium Japan株式会社セールスディレクター小泉潤一氏

 つまりポイントとなるのは「顧客視点」で、これを起点として事業をデジタル変革していくことがDXというわけだ。

 そこで問題となるのが「顧客視点」の実現だ。小泉氏は「変革に当たって重要な鍵が、カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上です」と語る。顧客視点で、顧客体験をよりリッチで満足度の高いものにしていく必要がある。そのために、デジタルやデータの活用は必須だという。

 もちろん企業側も、顧客理解やCX向上に向けて手をこまねいているわけではない。カスタマージャーニーマップを描き、データを活用してより良い提案につなげようと努力したり、メッセージを定期的に送ったり、さまざまな取り組みを進めている。

 しかし、こうした企業努力が顧客に受け入れられているとは限らない。小泉氏は「最大の課題は、カスタマージャーニーの設計が企業目線になっていることです」と指摘する。

 本来カスタマージャーニーとは顧客が決めるべきもので、企業はそのジャーニーの中に「自らを組み込む」と表現したほうが位置付けとしては適切だ。そのためには、顧客の状況を知る必要がある。

 一方で、米フォレスター社の調査によると「広告活用のために行動をトラッキングしていることに不快感を覚える」消費者は63%。消費者は企業に対して不信感をつのらせている。

 企業がデータを活用して顧客にアプローチしても顧客の不快感につながったり、見当違いのターゲティングで顧客側が迷惑がったりと、「顧客と企業は視点さえ合っていない」のが一般的な状態だ。

 企業はより顧客視点に立ったデータ活用を求められている反面、Web閲覧履歴や購買履歴といった個人情報の取り扱いが年々厳しさを増している。欧州のGDPRや米カリフォルニア州のCCPA施行、主要WebブラウザによるサードパーティCookieの排除など、顧客の「個」をターゲティングするやり方そのものが、大きく変化しようとしている。

 こうした状況において企業側も、個人情報の取得に当たっては、当事者の同意を得るためにCMP(Consent Management Platform:同意管理プラットフォーム)を実装する例が日本でも増えている。しかし、これも消費者の同意通りに動いていないケースが65%あることが報告されているなど、依然として課題は多い。

既存のデジタルマーケティングが通用しなくなる

 なぜCMPで、こうした個人情報の収集・活用・管理規制対応がうまくいかないのか。タグマネジメントツールや、リアルタイムCDPのリーダー企業として、長年この課題に取り組んできているTealiumは、CMPが機能不全に陥る原因を次のように考える。

 主な要因として第1に、Cookie情報の正確な分類ができていないこと。第2に、Cookieとタグの関係性を把握していないこと。その結果として、タグ発火ルールとタグマネジメントの連携ができていない事態が起きているという。

 仮にこうした前提がしっかりできていても、CMPとタグマネジメントツールの連携には時間がかかるうえ、CMPサービスによっては1種類のタグマネジメントシステムとしか連携できないといったケースもある。例えばCMPがGTM(Google Tag Manager)と連携しているケースでは、Google社製品には対応しているが、そのほかのYahoo! やAdobeのプラットフォームには対応できない。

 またプライバシー保護の観点ではブラウザによるサードパーティクッキーの利用制限も大きなインパクトを与えている。Cookie規制の波は年々高くなっており、2022年にはGoogle Chromeが、サードパーティCookieの利用を制限することを表明している。これによりWebブラウザトラフィックの86%に影響が出るといわれている。

 近い将来、デジタルマーケティング担当者が進めてきた「ユーザー行動の把握」や「ドメインをまたいだユーザー行動の把握」「広告やペイドメディアのROIの把握」といったことができなくなる可能性も高い。

例えば、何ができなくなるか
例えば、何ができなくなるか

 行動が追えずアトリビューションが取れないためWeb広告の見た目上のROASが下がり、結果的に広告出稿予算が削減されるリスクが生まれる。本来広告経由で取れていた売上が減少する事態にもなりかねない。

 そこで現在、ドメインに別名を割り当てる「CNAME(シーネーム)」機能を使用することで、サードパーティCookieをファーストパーティCookie化する手法や、Webコンテンツやサービスを利用するに当たり、メールアドレスの登録やサインアップ等による個人情報収集を前提条件とする事例などが登場している。

 しかし、前者は今後、規制の対象となる可能性が高かったり、後者もユーザーフレンドリーの観点で課題があったりするなど、根本的な解決には至っていない。

 そこで小泉氏がこれからのCX向上に向けて訴えるのは、「ファーストパーティデータ戦略をきちんと考えること」だ。

次のページ
今こそ必要な「ファーストパーティデータ戦略」とは?

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/04/16 10:00 https://markezine.jp/article/detail/35819

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