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業界No.1のメーカーECサイトを目指して――オンワード×ブレインパッドが描くデジタル戦略とは

 コロナ禍でもEC事業を伸長させ、2021年2月期の連結EC売上高は約416億円となったオンワードホールディングス。同社のデジタル戦略を支えるのが、オンワードデジタルラボの酒見信次氏だ。売上やCVRという“近視眼的”な戦略だけでなく、徹底的な顧客起点によるIT・データ活用戦略を立てている。本記事では酒見氏とオンワードグループのデータ戦略パートナーであるブレインパッドの近藤嘉恒氏が、2022年度は連結EC売上高460億円を目指すオンワードグループのデータ活用戦略について対談した。

業界No.1のメーカーECサイトを目指す

近藤:コロナ禍で苦境に立たされているアパレル企業も多い中、御社は継続してEC売上高を2桁成長されています。今回の対談ではその要因を探っていきたいです。

 まず、御社がこれだけの成長を見せているのは、2度のリプレイスをはじめとした「自社ECの強化」「データ活用の推進」にあると思います。これまでの取り組みについて振り返っていただけますか。

酒見:はい、当時スタートトゥデイ社(現:株式会社ZOZO)が提供していたフルフィルメントサービスから自前化したのが1度目のECリプレイスです。「自前化」したことにより他モール連携や会員基盤の統合、MAの導入もでき、物流、CSなどの柔軟性も高まって、お客様ニーズと社内ニーズの両方に対応できるようになりました。

株式会社オンワードデジタルラボ デジタルマーケティングDiv. 課長 酒見信次氏
株式会社オンワードデジタルラボ デジタルマーケティングDiv. 課長 酒見信次氏

酒見:しかし、その時々のニーズに合わせて都度カスタマイズを繰り返す半面で、「システムの複雑化」が進み、お客様のニーズへの対応が困難になる場面も出てきました。加えて、時流に合わせて「オムニチャネル戦略」や「データ活用」のニーズも出てきていました。1度目のリプレイスがEC単体の刷新しか考えていなかったのに対し、「5年後を見据えた将来設計」をテーマに視野を広げて戦略を描いたのが2度目のリプレイスです。

近藤:どのようなコンセプトでECリプレイスを進めたのですか?

酒見:コンセプトは「業界No.1メーカーECサイト」です。その背後に「グループ全体でDXを推進するためのEC基盤」として定め、「サイトの利便性向上やオムニチャネル化、在庫の一元化、データの一元化」を本格的に実現するというミッションを設定しました。

 今回、競合のECサイトを調査し、パーソナライズ・オムニチャネル化・利便性・決済方法など様々な項目で比較検討しました。たとえば利便性は、「商品の探しやすさ」「文字の見やすさ(視認性)」などです。また「サイト内の表示速度」も、“当然のサイト品質”として向上させることをテーマにあげました。

 そして「業界No.1メーカーECサイト」となるために何が必要なのかを考え抜いた結果、「徹底したパーソナライズの実現」が必要だという考えに至りました。

“徹底した”パーソナライズが必要な理由

近藤:「パーソナライズ」はどのECサイトでも実施していて、ある意味「特別な機能」ではなくなってきました。そのような中で、オンワードとして具体的にどのような点を改善しようと考えたのでしょうか。

株式会社ブレインパッド マーケティング本部長 近藤嘉恒氏
株式会社ブレインパッド マーケティング本部長 近藤嘉恒氏

酒見:以前のECサイトでは「十分なパーソナライズ」ができていませんでした。たとえば「23区」は売上構成比が大きいエースブランドなので、常に「23区」のブランドロゴがトップページの一番目立つ場所に固定されていました。しかし100以上のブランドがある中で、“すべてのお客様”が「23区が一番好き」「今23区が一番気になっている」とは限りません。

 また、メールの「お気に入り通知」にも構造的に課題がありました。販売開始をお知らせする際、アイテム表示の順番は、実はECシステムの「ブランドマスタ」順でした。「23区」が1番、「組曲」が2番、「ICB」が3番で「自由区」が4番となっていたのです。お客様にとって「興味があって好きなもの」から表示したほうが喜ばれるため、そのような構造を根本から改善しました。

近藤:まさに原点に立ち返った「顧客起点」で構造を見直していったわけですね。

酒見:はい。パーソナライズの原点は、「その人が欲しい情報を届ける」ことです。しかし、様々な要因によりできていないことも多いです。その理由は、長年にわたりビジネスの構造を会社起点で構築してしまってきたからだと思います。新たに顧客視点に立ち、CX(Customer Experience)ファーストで仕組みを見直そうとした時に構造すべてを一致させていくことは、難しい面がありますが、「顧客起点を考え続ける意識・姿勢」が大切だと思っています。

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「データ・システム」の全体が俯瞰できるからこそ行える「顧客起点」

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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2021/10/27 10:00 https://markezine.jp/article/detail/37130

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