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ひとり広報の“孤軍奮闘”状態をどう解決する?原因とできることを考えた

 ベンチャー・スタートアップ企業が広報部門を新設し、未経験者が1人目の広報に就任するケースが増えている。広報PR業界にとってポジティブな動きである一方、基礎的なスキルを習得する機会が少なかったり、経営層との連携がうまくできなかったりすることで、孤独や悩みを抱える場合もあるという。こうした孤軍奮闘の状態をどう解決していけばいいのか。異なる立場から広報PRに従事する3名が集まり、原因とできることを議論した。

「もっと頑張りたいのに」孤独を抱えるひとり広報も

MarkeZine編集部(以下、MZ):本日は異なる立場から広報PRに従事している3名をお招きし、「ひとり広報」をテーマに考えていきたいと思います。本田さん、まずはこのテーマについて説明をいただけますか?

本田:外資系PRファームの代表をやっていたところから3年前に独立し、それまであまり接点のなかったベンチャー・スタートアップの方々ともかかわるようになったのですが、未経験で社内にノウハウがないところから広報になって、誰にも教えてもらえず孤軍奮闘しているケースをよく目にするようになりました。

 広報PR従事者が増えていることは間違いなく良いニュースですが、悩んでいる人になにができるか、新しく入ってきた人にどうやってスキルを獲得する機会を持ってもらうかは、業界全体で考えるべき課題だと思っています。

株式会社本田事務所 代表取締役 / PRストラテジスト本田 哲也氏(Twitter:@hondatetsuya70)「世界でもっとも影響力のあるPRプロフェッショナル300人」にPRWEEK誌によって選出されたPR専門家。2006年にブルーカレント・ジャパンを設立し代表に就任。19年より株式会社本田事務所としての活動を開始。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)理事。『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『ナラティブカンパニー 企業を変革する「物語」の力』(東洋経済新報社)など著作多数。

株式会社本田事務所 代表取締役 / PRストラテジスト  本田 哲也氏(Twitter:@hondatetsuya70

「世界でもっとも影響力のあるPRプロフェッショナル300人」にPRWEEK誌によって選出されたPR専門家。2006年にブルーカレント・ジャパンを設立し代表に就任。19年より株式会社本田事務所としての活動を開始。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)理事。『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『ナラティブカンパニー 企業を変革する「物語」の力』(東洋経済新報社)など著作多数。

MZ:北野さん、日比谷さんはご自身もひとり広報のご経験をお持ちです。

北野:私は新卒で現在の会社に入社し、営業を4年、その後、未経験・一人で広報になって6年目というキャリアです。広報仲間や、他社のひとり広報さんから「もっと頑張りたいのにどうすればいいかわからない」と、相談されることがあります。

 私も最初はそうだったのですが、広報の仕事=メディア対応やリレーションだと誤解してしまうのは、よくあるケースかもしれません。本当はその手前に目的があり、解決策もいろいろ存在しているはずなのですが、それらを飛ばして「メディアリレーションを築かないと。でもメディアの知り合いもいないし、やり方もわからない」と困ってしまう。対メディアのことだと思うと、社内にも相談しにくくなってしまいます。

株式会社プレシャスパートナーズ 執行役員CMO 兼 経営戦略室 室長北野 由佳理氏1990年11月生まれ。2013年に大学卒業後、新卒で株式会社プレシャスパートナーズに入社。大手企業を中心にアルバイト・パート領域の採用コンサルティング営業を経験し、2017年4月に広報部設立に伴い異動。経営戦略室室長を経て、2020年4月に執行役員に就任。現在は経営戦略・広報部門の統括などを担当している。
株式会社プレシャスパートナーズ 執行役員CMO 兼 経営戦略室 室長 北野 由佳理氏
1990年11月生まれ。2013年に大学卒業後、新卒で株式会社プレシャスパートナーズに入社。大手企業を中心にアルバイト・パート領域の採用コンサルティング営業を経験し、2017年4月に広報部設立に伴い異動。経営戦略室室長を経て、2020年4月に執行役員に就任。現在は経営戦略・広報部門の統括などを担当している。

人材育成の不足とスキルセットの変容が同時に起きている

本田:基礎となるスキルセットがインプットされていないために、打ち手の幅が狭くなっているという状況は、確かにありますね。ネットを中心に事例やノウハウがシェアされるようになってきましたが、それらの情報は体系化されているわけではないので、理解に偏りが生じてしまうこともあります。

日比谷:私も社内ノウハウなし・未経験から企業広報になり、5年前に独立しました。2013年頃から「BtoB/IT広報勉強会」を主催してきたのですが、最近、参加者が勉強会に求めることが変わってきていると感じます。かつてはメディアの方と直接知り合いたいとか、特定の手法について知りたいという方が多く、最近はいま本田さんがおっしゃったような、基本的な考え方や戦略策定を教わりたいという人が増えています。

 でもそれは「広報とは?」という概念を知りたいということではないんです。概論を既に教科書などで読んでいても、実践ではなかなか活かせない。概念とそれぞれの打ち手の間をつなぐ、中間部分のコンテンツが足りていないのかもしれません

kipples 代表 日比谷 尚武氏 「人と情報をつなぎ、社会を変える主役を増やす。」をテーマに、セクターを横断するコネクタ。広報、マーケティング、新規事業の支援、コミュニティ作り、官民連携促進を中心に活動。一般社団法人at Will Work理事・一般社団法人Public Meets Innovation理事・Project30(渋谷をつなげる30人)エバンジェリスト・公益社団法人 日本パブリックリレーションズ協会 広報副委員長・ロックバー主宰、他
kipples 代表 日比谷 尚武氏
「人と情報をつなぎ、社会を変える主役を増やす。」をテーマに、セクターを横断するコネクタ。広報、マーケティング、新規事業の支援、コミュニティ作り、官民連携促進を中心に活動。 一般社団法人at Will Work理事 ・一般社団法人Public Meets Innovation理事・Project30(渋谷をつなげる30人)エバンジェリスト・公益社団法人 日本パブリックリレーションズ協会 広報副委員長・ロックバー主宰、他

本田:一方で、ベテラン広報勢が完璧かというとそうではなく、時代の変化に応じて新しいスキルを獲得していく必要があります。この点、従来のやり方に囚われずトライしているひとり広報さんはたくさんノウハウをお持ちですが、ベテラン世代との接点があまりなく、シェアされていない。逆にひとり広報側は、普遍的なスキルを習得する機会を持てていない。この分断は、本当にもったいないことです。

 まとめると、従事者が増えたことで人材育成が追いついていないという問題と、広報PRに求められるスキルそのものが変わってきているという問題が、パラレルで起きている。これがいまの日本の広報PRではないかというのが、私の理解です。

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/05/24 09:00 https://markezine.jp/article/detail/38808

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