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今知っておきたいマーケティング基礎知識

CPMの計算方法や基本を押さえ、効果的なデジタル広告戦略を知る

 Web広告の出稿などを検討する場合に、最初に遭遇するといっていい「CPM(インプレッション単価)」。広告のコストを表す言葉で、そのまま課金方式としても使用されています。広告媒体の選定やコストについて検討する時に触れる言葉であるため、しっかりと理解しておきたい用語です。ここでは、CPMの計算方法などの基本を解説します。

Web広告の基本CPM(インプレッション単価)とは

 Web広告におけるCPMとは「Cost Per Mille」の略で、広告がWeb上で1,000回表示されるごとにかかる広告費のことです。

 WebサイトやSNSでコンテンツや広告が表示される回数を「インプレッション」ということから「インプレッション単価」とも呼ばれています。

 主に、ページの指定されたエリアに表示される「ディスプレイ広告」などのコストを検討する場で登場します。

 なお、広告の課金方法にはいくつかの種類があり、広告が表示されたタイミングで課金されるタイプの方法は「インプレッション(CPM)課金」と呼ばれ、CPMのみで課金方式を指す場合もあります。

 たとえば、Google広告で使用される「CPM(インプレッション単価)」は、Googleにて表示される広告の回数1,000回あたりに対して入札をする課金方式自体を指しています。

CPMの計算方法と単価相場

 CPMは広告媒体によって事前に決めることができる場合と、入札で決まる場合があります。Google広告やSNS広告は後者を採用しており、競合の有無やターゲット設定など様々な要因で上下します。

 そこでまずは、CPMの基本的な計算方法を押さえておき、広告費の参考にしていきます。

 CPMの計算は、広告費を表示回数で割った1回あたりの金額に、1,000を掛けて出すことができます。1,000を掛ける前の金額がCPM単価となり、一般的な単価相場は「10円~500円程度」です。

 1回あたりの金額では小さすぎることから、1,000回を1つの目安としています。実際の広告費も、表示が1,000回を超えた時点から費用が発生する形式をとる広告媒体が多くなっています。

 CPM算出のための計算式は、

CPM = 広告費÷広告の表示回数×1,000

 となります。たとえば、10万円の予算で100万回、広告を表示できた場合、CPMは100円になるといった計算です。

 この計算式を応用し、広告にかかるおおよその予算を暫定的に出すこともできます。

 CPMの単価相場が50円の広告を出し、100万回表示させたい(100万回のインプレッションが欲しい)場合は、

50×1,000,000÷1000=50,000円

 となり、5万円の予算が必要なことがわかります。

似ているようでまったく違うCPMに似た用語の意味

 CPMと同じようなWeb広告用語に、CPC(クリック単価)やCPA(コンバージョン単価)があり、それぞれの意味を理解しておく必要があります。

CPMに似たWeb広告用語

v CPM:ユーザーが実際に閲覧できる広告が1,000回表示されたときの費用または、その課金方式
CPC:広告が1回クリックされるごとにかかる広告費用または、その課金方式
CPA:広告が成果(コンバーション)を獲得するのにかかる広告費または、その課金方式
CPV:広告動画が再生(視聴)されるごとにかかる広告費または、その課金方式
eCPM:広告が1,000回表示されたときの費用

vCPMとは

 vCPMとは「Viewable Cost Per Mille」の略で、広告がユーザーに対して実際に1,000回表示されたときの広告費になります。

 CPMは「表示された回数」で算出しますが、この「表示」の定義が実は広告媒体によって違いがあります。たとえばユーザーが、広告が掲載されたページを訪問したものの、広告が表示される前に遷移・離脱したり、広告の位置によってはスクロールしなければ見られなかったりといったことがあります。しかしCPMは、実際には見られていなかったであろう訪問でも、広告がブラウザに読み込まれた時点で「表示された」とすることがあるため、広告の効果がない表示(インプレッション)が存在していたのです。

 そこで、広告がユーザーに実際に見られた回数をカウントするようになったのがvCPMです。

 vCPM算出のための計算式は、CPMと同様に

vCPM = 広告費÷広告の表示回数×1,000

 となります。

 実際に表示された回数のため、CPMよりも単価が高くなることも多いのも特徴です。

 最近ではCPMがvCPMに置き換わっている広告媒体も多く、検討する媒体がどうしているかは事前に確認しておく必要があります。

 なお「表示」の定義は広告媒体の基準に則ります。たとえばGoogleでは広告の50%以上が1秒以上表示されることを「視認範囲のインプレッション単価」としているなど、広告媒体ごとに定義がありますので、広告を検討する場合には同時にここもチェックしておくと良いでしょう。

CPCとは

 CPCとは「Cost Per Click」の略で、広告がWeb上で1回クリックされるごとにかかる広告費のことです。クリック単価とも呼ばれていて、広告がクリックされた回数をCPCに掛けたものが、最終的な広告費となります。

 CPC算出のための計算式は、

CPC = 広告費÷クリックされた回数

 となります。

 CPMとの大きな違いは、CPMが「表示される」ごとに発生することに対して、CPCはユーザーの「クリック」という行動がともなって初めて発生する広告費である点です。

CPC課金のメリットとデメリット

 CPCを課金方式として見た場合、CPM課金方式とどちらがいいか比べることになるため、CPC課金方式のメリットとデメリットも紹介します。

 CPCを課金方式は広告をクリック=誘導したいページに訪問してもらってから費用が発生するため、表示されるごとに費用が発生するCPMよりも確実な成果が期待できます。費用対効果が測りやすく、1クリックあたりの広告費用も安価になりやすい点もメリットと言えるでしょう。

 一方で、CPCは入札やオークションで単価が定められるため、競合が多いジャンルでは入札単価が高くなりがちです。

 また、間違ってクリックされても1クリックと換算されるなど、意図しないクリックに注意しなければなりません。特にスマートフォンなどではスクロールをしようと思ってタップしてしまうといった誤タップが多くなりがちなことから、コンバージョンに直結しないタップが生まれやすくなります。

CPAとは

 CPAとは「Cost Per Action」の略で、広告が成果(コンバーション)を獲得するのにかかる広告費のことです。日本語では、「顧客獲得単価」とも呼ばれています。

 CPMやvCPM、CPC同様に、CPAはかかった広告費をコンバーション数で割って算出します。

 CPA算出のための計算式は以下です。

CPA = 広告費÷コンバージョン数

 成功報酬型の課金方式を指す場合もありますが、展開した広告戦略に対して、1人の顧客を得るのにどのくらいのコストがかかったのかを評価するのにも活用できます。

CPVとは

 CPVとは「Cost Per View」の略で、広告動画がWeb上で再生(視聴)されるごとにかかる広告費のことです。

 CPV算出のための計算式は以下になります。

CPV = 広告費÷動画再生数

 動画を視聴したとする基準は広告媒体によって様々で、最後まで動画が視聴されて成立する場合もあれば、視聴後一定秒数を経て成立する場合もあります。

eCPMとは

 eCPMとは「effective Cost Per Mille」の略で、CPCなど「表示」以外で費用が発生する広告が1,000回表示されたときの広告費になります。

 CPMは1,000回表示ごとの費用なのに対し、CPCは1クリックごと、CPAは1コンバージョンごとの費用のため、費用対効果などを一律で比較したくとも比べることができません。そこで、CPCやCPAも広告の表示回数で広告費を割り出します。

 eCPM算出のための計算式は、CPMと同様です。

eCPM = 広告費÷広告の表示回数×1,000

 CPC やCPAなど基準が異なる広告であっても、表示にかかるコストが算出できるため、CPM課金やCPC課金、CPA課金など、課金方式を選ぶ際にどれが最適かを測る検討材料にすることができます。

CPMを活用した広告とは

 CPMは表示を主体とした広告費および課金方式となります。

 ここではCPM課金方式のディスプレイ広告やリスティング広告での活用のポイントなどを紹介します。

CPMのメリットとは

 CPM課金やCPC課金、CPA課金など数ある課金方式のなかから最大の効果が得られる広告を選択するには、まず広告の目的を明確にすることが重要です。

 そのためにもCPM課金のメリットを押さえておきましょう。

CPM課金のメリット

  • 多くのユーザーに認知されやすい
  • 広告費がクリック数に左右されない
  • CPCが割安になる場合もある
  • 比較的安定した広告運用ができる

多くのユーザーに認知されやすい

 CPM課金では、設定した広告費用に対して最大限の表示回数となるよう調整されます。そのため、多くのユーザーの目に触れやすい利点があります。

 ディスプレイ広告など視認性の高い広告では、広告内に伝えたいことを入れることで、ページに訪問してもらえなくともある程度の告知をすることができます。

広告費がクリック数に左右されない

 CPC課金はクリック数によって広告費が変動するため、何らかの要因でクリック数が増加した場合、広告費が高騰してしまいます。

 媒体によっては上限金額を設けることもできますが、広告掲載を希望していた期間の前半で想定以上にクリックされてしまった場合、想定した期間を待たずして予算を使い切ってしまう可能性があります。

 一方でCPM課金は、広告が表示された段階でのカウントとなり、そのタイミングはユーザーの行動で左右されないため、希望した期間を狙った状態で掲載できます。

CPCが割安になる場合もある

 CPM課金は、表示を主体とした広告ですが、当然ながら広告をクリックしてもらうことで、誘導したいサイトやページに訪問してもらうことができます。

 広告のデザインやキャッチコピーを工夫することでクリック数が増えれば、CPCは割安になり費用対効果の高い広告になります。

比較的安定した広告運用ができる

 CPM課金は事前の入札で設定したCPMで運用されるため、広告費が大きく変動することはあまりありません。広告の運用に大きく時間をとることができない場合でも、安定した広告運用が可能です。

CPMのデメリット・注意点とは

 CPMのデメリットや注意点を押さえておくことで、より良い広告運用ができます。

CPM課金のデメリット

  • クリック率が低くても費用が発生する
  • 費用対効果がわかりにくい

クリック率が低くても費用が発生する

 CPM課金は広告が表示されることで費用が発生します。

 また、メリットの項目で挙げたように、一定期間安定して広告が表示されるため、クリックの有無に関わらず費用が発生します。

 そして、クリック数が少なければクリック率は低くなります。広告の目的を、クリックして訪問してもらう、訪問後に購入や会員登録などのアクションをしてもらうことに絞った場合、費用対効果はそれほど高くはならないでしょう。

費用対効果がわかりにくい

 vCPMの項目で触れたように、CPM課金では実際には広告が表示されていなくても、読み込まれた時点で表示と認識されることがあります。また、広告が表示されていても、ユーザーがしっかりと視認しているかどうかはわかりません。

 自社サイトや誘導したいページへの訪問者数、コンバージョンの達成率などにどれほどの影響を与えているのかがわかりにくい点は否めません。

メリット・デメリットを把握して効果的な広告戦略でCPMを活用

 CPM課金のメリットとデメリットで触れましたが、CPM課金の最大のポイントは費用発生が表示されたタイミングである点です。

 メリット・デメリットを把握したうえで、ディスプレイ広告が良いか、リスティング広告が良いかを選んでいきます。

視認性の良さを最大限に生かせるディスプレイ広告

 CPM課金は安定して広告を表示させることができるため、新商品や社名など認知度を高めたいときに有効な手段と言えるでしょう。特にディスプレイ広告であれば、ランディングページや商品紹介ページに誘導しなくても、広告自体で商品やサービス、社名やブランド名などの認知率向上が期待できます。

 そのため、新商品や元々知名度のある商品のキャンペーン告知、ブランドイメージの構築などに適しています。

 訴求力のある広告をデザインできれば、クリック率を上げることも可能です。クリック率が高まっても広告費に影響はないことから、クリックの多い広告におけるCPM課金のコストパフォーマンスは非常に良くなります。多くのクリック数が見込める広告であれば、CPM課金が効果的です。

 なお、広告媒体によってはCPC課金からCPM課金に切り替えることも可能ですので、最初はCPC課金で出稿し、クリック率が高まっているようであればCPM課金に移行するのも良いでしょう。

リスティング広告にも活用できるCPM課金

 視認性が高く、認知度向上が期待できるCPM課金は、一定の範囲内に情報を盛り込めるディスプレイ広告が適していると思われがちですが、リスティング広告での展開も一考の余地があります。

 リスティング広告は、興味をもって検索をかけたキーワードに対して表示されます。比較的クリック率が高くなる傾向があるため、クリックごとに加算されるCPC課金よりも、CPM課金がお得になります。

 リスティング広告における1つの基準に「クリック率0.1%」というものがありますので、クリック率が0.1%を超える場合は、CPM課金がおすすめです。

CPM課金のポイントは広告の目的とターゲットの明確化

 CPM課金方式は、幅広いユーザーに告知したい、認知してもらいたいときに効果が期待できる方式です。

 それだけに広告媒体を選ぶときには、ターゲットが合致しているかを確認しましょう。ターゲットの絞り込みには、ペルソナの設計などがおすすめです。

 もちろん、誰にでも見てもらえる可能性の高い課金方式ですので、ターゲットを広くすることで想定外のターゲットにヒットする可能性もあります。広告媒体ごとにターゲットをわけて広告デザインを変更したり、あえて広くしたりしてみるなど、細かな調整を重ねることで成果が期待できます。

広告媒体の選定もクリック率を高める戦略

 数多くのCPM課金方式の広告が並ぶサイトでは、自社の広告は埋もれがちになります。

 競合企業・商品とはターゲットが同じになるため、広告媒体として候補に挙がるサイトやページは重複しがちです。

 あえて、競合企業・商品の出稿が少ない媒体を選んでみるのも良いかもしれません。そのときは、ターゲットの再考や、カスタマージャーニーマップなどを作成してタッチポイントを見直してみると良いでしょう。

まとめ:Web広告にかかるコストや課金方式を見極めて効果の高い広告を

 CPMは広告費を指すほかに、課金方式を指すこともあります。まずは担当者と何について話しているのかを明確にし、齟齬のないよう検討を進めていきましょう。

 なお、CPM課金方式のメリットとして、運用の手間が少ない点を挙げていますが、やはり最大限の費用対効果を狙うのであれば、細かな調整が欠かせません。定期的にCPMを算出するのはもちろん、その後のクリック率やコンバージョン率をきちんと追い、ターゲットを再確認するなど改善を繰り返していくことが大切です。

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この記事の著者

マーケ研究所(マーケケンキュウジョ)

 マーケティングに関する情報を調べ、まとめて届けています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/07/17 00:00 https://markezine.jp/article/detail/42693

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