ドコモデータから見えるインサイトを基に、最適な配信先を提案
MZ:今回、dADNWを通じてキャンペーン広告を配信した狙いを教えてください。
永井(日本コカ・コーラ):主な狙いは、当社がまだアプローチできていない層へのリーチにありました。Coke ONでd払いが可能になった2020年9月から約2年半が経ったものの、Coke ONを使ったことがないd払いユーザー、いわゆる潜在顧客がドコモ経済圏には大勢いる──そう考えた時に、ドコモさんから丁度、「dADNWを活用してみないか?」とご提案をいただきました。
酒井(NTTドコモ):ドコモの携帯電話サービス契約数は7,200万人(※2)、dポイントクラブの会員数は約9,600万人います(※3)。dADNWを活用することで、これらの方々にリーチができ、Coke ONの新規利用者を増やすことができるのです。
※2 home5G、モジュールを除く(契約数は2023年6月時点)
※3 dアカウントを作ることで、ドコモユーザーでなくとも会員になることは可能(会員数は2023年6月時点)
MZ:今回、日本コカ・コーラに対してdADNWのどのような活用法を提案されたのでしょうか?
椿本(D2C R):まずは永井様と話し合い、Coke ONを今後使っていただけそうなユーザー分析から始めました。
市川(NTTドコモ):Coke ONを取り巻く市場概況や、保有データから見える生活者インサイトなどの調査・分析結果を土台に、仮説ベースでターゲット設計を行ったのです。そうしたマーケットインの発想での提案作成から、具体の広告配信設計まで、ドコモデータをフル活用しています。
椿本(D2C R):具体的には、仮説設計したターゲット属性をセグメントとして可視化するため、ドコモ様が保有する位置情報などを活用してユーザーの行動を浮き彫りにしました。そして、「コンビニに頻繁に行く層」や「特定のアプリカテゴリを利用する層」など、行動や嗜好に基づいた形でターゲットを割り出し、広告配信しました。
広告配信方法を二段階に分け、運用改善を行う
椿本(D2C R):さらに、このキャンペーンでは、1ヵ月の期間を二つのフェーズに分けました。前半では0次分析で炙り出したターゲットに対して広告配信を行い、その結果得られたCVRなどを基に、後半ではドコモの拡張配信AIエンジン「docomo Sense(ドコモセンス)」を使用。ターゲットの拡張とセグメントの精緻化に取り組みました。
市川(NTTドコモ):前半でCVした層としなかった層のデータを基に、しなかった層への配信を停止し、新たなターゲット層への配信を試みたのです。新たなターゲット層を見つけられたのも、dポイントクラブ会員数約9,600万という母数の大きなパネルがあったからです。docomo Senseを活用して位置情報やペルソナの類似性を基にした順位付けを行い、前半よりもCVしそうな層を優先して配信しました。
椿本(D2C R):dADNWの配信面には、ディスプレイ広告(dメニュー・マイマガジン)とメール(メッセージS)の2種類がありますが、今回はメール広告が特に効果的でした。メール特有の1to1コミュニケーションに近い情報の届け方が良かったのだと思います。
市川(NTTドコモ):メールによるアプローチの特長は、受信ボックスにメールが残る点です。実際にユーザーの行動履歴を見ると、メールはディスプレイ広告とは異なり、配信直後でなくても2、3日後にCVするケースが見られました。