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クロスデバイス時代による広告コミュニケーションの変革と進化するエージェンシー

2012/02/28 14:00

 先進的な取り組みを行うデジタルエージェンシーが、2か月交代で責任編集を行うコーナー「Agency's Choice」。1月~2月は株式会社スパイスボックスが担当します。

 日本初のインタラクティブエージェンシー(デジタル領域の総合広告代理店)として誕生し、企業のデジタルコミュニケーションを総合的に支援しているスパイスボックス。これまで4回に渡り様々な分野のプロフェッショナルと対談を行ってきました。最終回となる今回のテーマは、スパイスボックスが自ら標榜しているインタラクティブエージェンシーについてです。インターネットがもたらす広告コミュニケーションの変化と、それに対し進化が求められるエージェンシーについて、私なりの考えをお話させて頂きます。

旧メディアとインターネットメディアの比較に意味はない

 広告コミュニケーションが変わったと言われて久しい昨今、「マスメディアが崩壊する!」といった言葉が雑誌のタイトルを賑わしていたこともなんだか懐かしく思われます。

 旧メディアとインターネットメディアを比較し、やれ「ネットの時代だ」「いやテレビはまだまだ大丈夫だ」といった広告業界内での論争や、総合広告代理店 vs インターネット広告代理店といった構図もなんとなく沈静化し、もはやインターネット専業の広告代理店は、ソーシャルゲームビジネスなどに軸足を移しつつあります。

 明日の広告はこれだ! といった議論も良いと思いますが、広告コミュニケーションにとって大事なのは “今”と“少し先の未来”です。今まさに起こっていることを、いかに敏感な嗅覚で嗅ぎ取ってコミュニケーションに昇華できるかがポイントになります。

 “今”の生活者にとって、テレビだろうが新聞だろうが実際に接触しているのであればそれは紛れもなく“今”のメディアです。その意味では、インターネットもテレビも変わりません。どちらが費用対効果が高いのかという議論も、0か100かでいずれかを選択するのではなく、届けたいユーザーに合わせ、最適なコミュニケーションを設計することが必要です。

ソーシャルメディアで動画が話題になってもTVCMには敵わない

 ソーシャルメディアによって、効果的なコミュニケーションが生まれるのではないかという過度な期待に対しても少し冷静にならなければなりません。

 確かに、YouTube登場以降、広告枠を購入しなくてもユーザーに興味を持ってもらえる内容であれば、ソーシャルメディアを通じて積極的に閲覧される時代となりました。では、YouTubeで拡散した広告コミュニケーション目的の動画は、実際にどのくらい視聴されているのでしょうか。

 2011年にYouTubeにアップされた広告目的の動画(TVCMや、Web限定CM、バイラルムービーなどを指します)で最も閲覧数が多かったのは、NTT docomoのWebCM「森の木琴(Forest Xylophone)」。2012年2月21日の段階で再生回数は800万回を超えています。これは、日本のWebCMとしては脅威的な数字です。

 次いで閲覧数が多かった広告動画は、トヨタ自動車のドラえもんCM 「のび太のバーベキュー」篇。こちらの再生回数も500万回を超えています。実写版ドラえもんということで、ネット上でも話題になったTVCMです。

 では、YouTubeでの再生回数はテレビと比較するとどのくらいのボリュームなのでしょうか。テレビの視聴数を正確に算出することはできませんが、ビデオリサーチが公表している数字では、個人視聴率1%当たり関東地区で約40万6千人。平均視聴回数が1回だとしても個人視聴率が10%を超えれば、面白かろうがなかろうが、理論上は関東地区だけで400万を超える視聴回数となり、YouTubeにアップされた大ヒット広告動画と同レベルという計算になります。しかも、TVCMが繰り返し放送されることで、平均視聴回数が上がることを考慮すると、露出量としてはWebを圧倒します。

 さらに、前述したNTT docomoの動画はカンヌ広告祭で受賞していますし、トヨタ自動車の動画はYahoo!トピックスで掲載されるなど、ソーシャルメディアで拡散するきっかけがあっての再生回数です。動画をソーシャルメディアで話題化させて認知を拡大させよう! と思っても、なかなか難しく、露出量という点において、テレビは最強の広告メディアとなります。

 ここまでは、メディアという観点からインターネットとテレビを比較しました。しかし、インターネットはメディアという側面とは別に“インタラクティブ”という性質を持っており、消費者とのコミュニケーションに重要な変化をもたらしています。


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