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「分析」で得た知見を「顧客対応」へ、ブレインパッドが語るOne to Oneマーケティング成功の秘訣

分析は「目的を達成するため」に行うべし

株式会社ブレインパッド マーケティングオートメーションサービス部 部長 東 一成氏
株式会社ブレインパッド
マーケティングオートメーションサービス部
部長 東 一成氏

 続いて会場では、同社マーケティングオートメーションサービス部の東一成氏が登壇。まずはアナリティカルCRMを使ったOne to Oneマーケティングの取り組みについて、実例を基にポイントを述べた。その肝となるのは、「データ分析を目的とするのではなく、目的を達成するために分析する」ということだ。

 東氏によると、昨今のビッグデータの流行をきっかけに、「データ分析をしたい」という企業が増えているという。だが、データ分析をすれば、問題点ややるべきことが弾き出されるわけではない。これについて東氏は「『データ分析をすれば、目的が見えるのでは』という期待は理解できますが、まず必要なのは『ミッション』です」と忠告する。そのミッションを実現するためには、戦略目標を設定する必要がある。これは、目標の進捗を具体的に数値で落とせるKPIが設定できるものほど良いという。

 例えば「顧客ロイヤルティを向上したい」「売上を上げたい」というだけでは漠然としている。しかし、例えばカード会社であれば「ゴールドカード保有者の比率を上げたい」、ネットショップなら「一人当たりの購入単価を◯%上げたい」といった数字に落とし込める。これがより具体的な戦略目標とKPIとなる。この目標を達成するために、「半年後までに比率をどこまで上げるべきか」といったKPIのしきい値を決めることができる。設定したKPIをクリアしていけば、最終的に目標達成につながる。そしてKPIをコントロールするのがマーケティング施策であり、そこで必要なのがアナリティカルCRMを用いた予測分析というわけだ。

アナリティカルCRMで顧客ニーズを引き出すには?

 ここでいう予測分析とは、分かりやすくいえば確率予測のこと。具体的には、「購入確率の高い顧客をセグメント化する」「将来発生する顧客のニーズを予測する」ということだ。

 従来こうした取り組みを実行するには、悪くいえば「勘」に頼るしかなかった。例え顧客データや購買データがあったとしても、誰がどの商品を購入するかを算出するには、膨大なデータの組み合わせが必要になる。その大量の組み合わせから確率を算出するのは至難の業だ。そこで一般的には「購買ニーズの高いF1層に限定し、単純な購入割合を計算して、高ければDMを送ろう」といった施策が取られることが多い。

 だがこれだと、潜在ニーズを抱える顧客層を見逃してしまうリスクがある。これを解決するのがデータマイニングや機械学習のアルゴリズムだ。これらの技術を活用すれば、膨大な組み合わせの中からルールを見つけ出し、確率計算の数式が立てられる。それを大量のデータに適用すれば、購買確率の高い顧客リストが生成されるという仕組みだ。

 「そのため、分析の前にまずデータを整備する必要があります」と東氏は語る。技術的にいえば、顧客を軸にして過去の購入明細やWebのアクセスログなどを1行のデータにまとめ、商品購入可能性について「0」「1」のフラグを立ててデータを整えるといったものだ。この過去データにアルゴリズムを適用すると、確率が算出されるという。

誰に何が必要? 過去データから予測する

 続いて東氏は、アナリティカルCRMおよびOne to Oneマーケティングの実例として4社の事例を紹介した。米国の資材流通大手のグレンジャー社の100%子会社でMRO(Maintenance, Repair and Overhaul)事業を営むMonotaRO社は、60万顧客・2,500項目・1,200万件以上(数値は本事例の公開当時)の購入履歴データを基に予測分析を行い、ほぼ毎日キャンペーンを実施。キャンペーン商品については、過去の履歴から購入確率の高い顧客にメール/FAXを配布してアピールすることで売上増を実現している。

 また米小売大手のSears社も、7,500万人超の顧客データを基にカタログ送付対象者を高精度で自動抽出、年間数千万円のコスト削減のほか、購買確率の高い顧客に適切にアプローチしてクロスセル/アップセルを実行し、同じく数千万円の利益増加を達成しているという。

 この2例に対し、レコメンデーションによってOne to Oneマーケティングを実現している企業もある。月額固定料金で様々な音楽を配信するRhapsody社は、顧客満足度向上に向け、一人ひとりに最適な音楽をレコメンドする必要があった。そこで、過去の再生履歴データを基に同じ趣味・思考のユーザーをセグメント化し、パーソナライズ機能の向上を実現したそうだ。また、映画紹介サービスの仏Allocine社は、登録ユーザーへの映画レコメンドの精度を上げるため、監督・俳優・ジャンルなどの共通属性を持つ作品同士を重み付けしてリンクし、公開前の新作映画や旧作を含めてレコメンドの品質を向上したという。これによりサイトのPV数が伸び、広告収入も9~15%に向上した。

 こうした分析結果を実行するのがオペレーショナルCRMだ。本講演では、オペレーショナルCRMの取り組みについて実例を交えて解説された。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2014/11/11 10:20 https://markezine.jp/article/detail/21081

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