リンクシェア・ジャパンは「Linkshare Symposium Tokyo 2015」を開催した。イベント中、「海外事例に見る媒体トレンド」と題し、米国で注目の集まるユニバーサルカートの事例が紹介された。セッションでは、オズビジョンの山本慎二郎氏、サンフランシスコでShopStyleJapanの運営に携わる小川飛春氏、リンクシェア・ジャパンの大田諭氏が登壇。ユニバーサルカートが米国で注目される理由、日本における導入の可能性が語られた。
ユニバーサルカートとは、媒体社のカート1つで複数のECサイトから買い物ができるシステム。1つの会員情報を媒体社に登録すると、その情報をもとに様々なECサイトで買い物ができるようになる。
キュレーションサービスアプリ「KEEP」は、Pinterestのように様々なアイテムの画像を閲覧しながら買い物ができるサービス。例えば、KEEPで紹介されている鞄やコスメを取り扱うECサイトがそれぞれ別の場合でも、ユーザーは気にすることなく購入することができる。
また、キャッシュバックサイト「Ebates」でも、「Ebates Buy Now」というユニバーサルカートが導入されている。Ebatesは、会員登録をしたうえでサイトを経由して外部のECサイトで買い物をすると、キャッシュバックやポイント還元などが受けられるというサービス。「Ebates Buy Now」が導入されたことで、利用するECサイトを選び「Buy Now」ボタンを押すだけで、割引などが反映された決済ができるようになった。ユニバーサルカートの導入後、ECサイトによってはCVRが10%上昇した例も出ているという。
米国では、これらのサービスが多くのメディアにとりあげられているという。その背景には、ECにおけるモバイルユーザーのCVR向上という課題があると、小川氏は説明する。
「米国で最も買い物が行われる、つまりECの繁忙期は11月の第4金曜日から始まるホリデーシーズンです。2014年はECサイトのトラフィックの内、25%がモバイル経由だったという調査結果が出ています。しかしながら、モバイルからの購入率は2013年に比べ32%アップしたものの、トラフィック数から考えると対策の余地があります。そのため、CVアップに効果があるとみられるユニバーサルカートが話題になっています。」(小川氏)
モバイルの利用が急速に拡大する日本でも相性が良さそうなサービスだが、個人情報の取り扱いが障壁になるという。「セキュリティとユーザビリティは、トレードオフの関係にあります。バランスを見ながら、ユーザビリティの高いサービスを実現できれば」と山本氏。日本でもユニバーサルカートの導入は行われるのか、今後の動向が気になるセッションとなった。
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