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イベントレポート(AD)

国内事例から探る、One to Oneカスタマージャーニーの構築&あらゆるシーンで顧客とつながる方法

 2015年12月3、4日、セールスフォース・ドットコムは「Salesforce World Tour Tokyo」を開催した。マーケター向けの基調講演ではエノテカ、リクルートジョブズ、コニカミノルタが登壇。顧客との関係構築をいかにすすめているか事例が紹介されるとともに、あらゆる課題に対応するMarketing Cloudの可能性が示された。

「あらゆるシーンで顧客とつながる」方法は既に存在する

 「今、顧客とつながる新たな方法が登場している。その方法とは『Marketing Cloud Connect』によって、One to Oneのカスタマージャーニーを構築することだ」。冒頭、米国セールスフォース・ドットコムのブライアン・ウェイド氏はこのように強調した。

米国セールスフォース・ドットコム Marketing Cloud チーフプロダクトオフィサー ブライアン・ウェイド氏
米国セールスフォース・ドットコム Marketing Cloud チーフプロダクトオフィサー ブライアン・ウェイド氏

 新製品「Marketing Cloud Connect」は、2015年9月に米サンフランシスコで行われたセールスフォースのイベント「Dreamforce」にて発表された機能。これにより、「Salesforce Marketing Cloud(以下、Marketing Cloud)」のデジタルマーケティング機能を、同社のSFA「Sales Cloud」をはじめとする6つのクラウド基盤と柔軟に連携することができるようになった。つまり、メールやソーシャル、広告、そしてWebテクノロジーからIoTまでを駆使して、これまで以上に顧客とOne to Oneの関係を築くことができるのだ。

 米国にてMarketing Cloudのチーフプロダクトオフィサーを務めるウェイド氏は、Marketing Cloudがこれまで複数の企業買収を通じて戦略的に形づくられてきたことを解説。2014年に同社が提示した企業ビジョン「Customer Success Platform」に触れ、Marketing Cloudはこの一翼を担うものだと位置づける。

顧客との関係構築に重要な5つのステップ

 「日本の消費者は特に、ネットへのアクセス率が高く、スマートフォンの普及・習熟度も高い。つまり、“つながっている”顧客がますます増えているといえます」とウェイド氏。このような状況を加速させているカギは、クラウド、ソーシャル、モバイル、データサイエンス、IoTという5つのテーマであり、これらのすべてを味方にマーケティングを展開できるのが、Marketing Cloudだと話す。

 Marketing Cloudは主に、「Mail Studio」や「Advertising Studio」といったチャネルごとの施策を簡単に展開できる5つの製品と、「Audience Builder」「Contents Builder」といった4つの機能によって構成される。マーケターはこれらを通して、カスタマージャーニーにおけるあらゆる場面で顧客とつながることができる。ウェイド氏はまた、「顧客との関係構築をカスタマージャーニーの視点で捉えると、ライフサイクルにおける5つの重要なステップが見えてくる」と話す。その5つとは次のものだ。

  1. 新規を獲得する「アクイジション」
  2. 購買をかなえる「セールス」
  3. 自社の顧客としてエントリーする「オンボーディング」
  4. 絆を深める「エンゲージメント」
  5. ファンとなり評判を広めてもらう「アドボカシー」

 最初のステップは、「アクイジション」。新規顧客の獲得だ。例えば、資生堂の直販EC「ワタシプラス」ではMarketing Cloudの「Advertising Studio」を使って1対1の広告キャンペーンを展開。Facebook広告をはじめとするソーシャル広告と、各種ディスプレイ広告、さらにメールも最適化し、ROIを見極めながら新規顧客の獲得を実現している。

次のステップは、「セールス」。この段階でポイントになるのは、セールス部門をマーケティング部門がいかに支援できるか、という点だ。ある不動産会社では、Marketing Cloudと並行してセールスフォースが扱うマーケティングオートメーションツール「Pardot」を活用し、マーケターの効率的なリード発掘と育成を実現、営業へとつなげる連携の円滑化に成功している。  残りのステップは3つあるが、イベントでは実際に各ステップで新たな取り組みを進める企業が登壇。その事例を紹介した。

 次のページからは各社の事例を紹介したい。

講演資料のダウンロードが可能です

 「Salesforce World Tour Tokyo」の講演資料をこちらからダウンロードできます。記事とあわせてご覧いただければ、より深く内容が理解できるかと思いますので、ぜひご利用ください!

本記事で紹介したレポートは……
Day2:12月4日 虎ノ門ヒルズフォーラム
【9-1セッション】
[Marketing Cloud プロダクトキーノート]One to One カスタマージャーニー エノテカ、リクルートジョブス、コニカミノルタなど、最新国内事例を一挙公開

◎ダウンロードはこちらから!

スタッフの知見をカスタマージャーニーへ反映したエノテカ

 3つ目のステップが「オンボーディング」。これから始まるカスタマージャーニーにエントリーしてもらう段階だ。ウェイド氏は「“第一印象”のチャンスは一度きり。だから、オンボーディングは関係づくりにおいて非常に重要だ」と協調する。

 ここでは、ワインのインポーターであるエノテカにおけるMarketing Cloud活用のデモを経て、同社の通販事業部長である池照直樹氏が登壇。戦略が語られた。

エノテカ株式会社 執行役員 通販事業部長兼情報システム部兼物流管理部 池照直樹氏
エノテカ株式会社 執行役員 通販事業部長兼情報システム部兼物流管理部 池照直樹氏

 エノテカは直販店舗と卸売業に加えて、ECを展開。「当社の強みは、ワインの質とラインアップ、そしてスタッフの知見。67%がワインの資格保有者で、店頭にてお客様に合った1本を提案し続けてきた。ECでも、店頭と同じ体験を提供し、スケールさせることが現在のテーマ」と池照氏。

 そこで同社では、Marketing Cloudの一機能である「Audience Builder」を使って、顧客の属性や購買の情報を一元化およびセグメンテーションを行い、購入した商品を分岐点にシナリオを構築。「Journey Builder」によってカスタマージャーニーを組み立てていった。「知識と経験から『次に何を好きになっていただけるか』を提案するのはアートの世界」との池照氏の言葉に、ウェイド氏も「データからきっちりとセグメンテーションするのはサイエンス、この融合が肝腎だ」と続ける。

 今後の展望について池照氏は、さらに細かいセグメントへのアプローチと、SNSを活用した新規顧客へのアピールを挙げる。「どのチャネルでも、エノテカのホスピタリティを感じていただきたい」とのビジョンには、カスタマージャーニーの精度が上がるほど近づきそうだ。

最適なタイミングで最適な情報を届けるリクルートジョブズ

 カスタマーのライフサイクルにおける重要なポイントの4つ目は、「エンゲージメント」だ。講演後半のガイドを務める、セールスフォース・ドットコム執行役員の笹俊文氏は「顧客の行動などから嗜好を知り、理解を深めれば、次なる適切な商品・サービスの提案が可能になる」と語る。

 その事例として紹介されたのが、リクルートジョブズのサービス「リクナビ派遣」でのMarketing Cloud活用だ。同社にてデジタルマーケティング部を率いる板澤一樹氏が登壇。活用の詳細が語られた。

株式会社リクルートジョブズ IT戦略室 デジタルマーケティング部 部長 板澤一樹氏(左)、株式会社セールスフォース・ドットコム 執行役員 Salesforce Marketing Cloud 笹俊文氏(右)
株式会社リクルートジョブズ IT戦略室 デジタルマーケティング部 部長 板澤一樹氏(左)
株式会社セールスフォース・ドットコム 執行役員 Salesforce Marketing Cloud 笹俊文氏(右)

 板澤氏は、言語処理技術を用いて自動で返信する、同社のフロム・エーナビのキャラクター「パン田一郎」の公式LINEアカウントを手がけたことでも知られる人物。「リクナビ派遣は会員登録を前提としているので、登録がジャーニーの起点となる。以降、ユーザーの検索条件や閲覧案件といったデータを蓄積して、Webコンテンツやメールの内容を最適化している」と語る。

 ただしメールについては、届け方にも工夫がされている。たとえ内容がユーザーに合ったものでも、ユーザーの勤務時間中にプッシュ通知で求人情報が届くと逆効果だ。サイトにアクセスした際にMarketing Cloudを通して配信するなど、ユーザーが情報にいかに接触するかを工夫しているという。板澤氏は「タイミングは非常に大事」と語る。「今後はMarketing Cloudでアプリのプッシュ通知なども行いたい。データやテクノロジーを活用して、各ユーザーに最適なエクスペリエンスをデザインすることが、我々の使命だと考えている」と結んだ。

講演資料のダウンロードが可能です

 「Salesforce World Tour Tokyo」の講演資料をこちらからダウンロードできます。記事とあわせてご覧いただければ、より深く内容が理解できるかと思いますので、ぜひご利用ください!

本記事で紹介したレポートは……
Day2:12月4日 虎ノ門ヒルズフォーラム
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ソーシャル上の顧客の声を事業に活かすコニカミノルタ

コニカミノルタ株式会社 CSR・広報・ブランド推進部 ブランド推進グループ 係長 中村俊之氏
コニカミノルタ株式会社
CSR・広報・ブランド推進部
ブランド推進グループ 係長 中村俊之氏

 最後のステップは、「アドボカシー」だ。あまり耳慣れない言葉だが「訳すなら提唱者、伝承者。ブランドのファンが評判を広めてくれる状態を指す」と笹氏は解説する。イベントでは、コニカミノルタがMarketing Cloudの「Social Studio」を通して生活者の声を傾聴している事例が紹介された。

 ゲストとして登壇した同社CSR・広報・ブランド推進部の中村俊之氏は、同社のグローバル共通のビジョン「Giving Shape to Ideas」に触れ、「技術ありきではなく、顧客の声を起点にビジネスを展開し、顧客の思いを形にすることを目指している」と語る。

 約10年前にカメラ事業を移管し、現在は情報機器や医療機器を主に手がける同社。以前は生活者のブランドイメージを定量的に把握することが難しかったが、現在はMarketing Cloudを通して「企業ブランドの位置づけを定量的につかめるようになった」という。また、テレビCMなどへの反応を、ブランド施策の評価としても活用している。

 ソーシャルはさらに重要な存在になり、消費を変えていくとの笹氏の示唆に、中村氏も同意。「ソーシャル上の声を開発やセールス部門へ適切に届けることも、我々マーケティング部門に求められる役割。今後のイノベーションのためにも、顧客の声を聞いて進化を続けたい」と語った。

 結びには、改めてウェイド氏が登壇「あらゆるタッチポイントで、Marketing Cloudは顧客のブランド体験を提供する」と強調した。エノテカ、リクルートジョブズ、コニカミノルタという、先進企業の具体的な事例を通して、顧客とつながることは可能であり、「いかに顧客とつながるか」を考え・実行することが重要であるというメッセージが込められた充実の講演となった。

講演資料のダウンロードが可能です

 「Salesforce World Tour Tokyo」の講演資料をこちらからダウンロードできます。記事とあわせてご覧いただければ、より深く内容が理解できるかと思いますので、ぜひご利用ください!

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

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MarkeZine(マーケジン)
2016/01/13 10:00 https://markezine.jp/article/detail/23595