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マーケティング領域で「弱い人工知能」はどう使われている? 機械学習の活用方法を考える

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 マーケター向けに、マーケティング分野における人工知能(AI)の活用について解説する本連載。第2回はマーケティングにおいて現在、「弱い人工知能」による機械学習がどのように使われているかを紹介する。

マーケティングにおいて随所に見られる人工知能

 人工知能は広告マーケティング領域においても活用されている。Eコマースやコンテンツ最適化を行うレコメンデーションエンジン、LPOツール、また、DSP(Demand Side Platform)などにおいて、すでに活用されており、具体的には、前回解説した「弱い人工知能」による機械学習が用いられている。

 以下に、機械学習を活用したサービスを紹介しながら説明していく。

MA(マーケティングオートメーション)におけるコンテンツ最適化

 マルチチャネルで収集した顧客属性や行動データ(閲覧履歴や購買履歴など)を統合して分析する。これによって購入確率や購入額などを予測し、さらに予測結果と行動データを踏まえてメッセージやコンテンツの最適化を行う。「LiftIgniter」や「SAILTHRU」などがサービス提供している。また「BloomReach」は、商品の説明文や検索キーワード、ソーシャルメディア上の投稿を自然言語処理して活用することでレコメンド精度を向上するソリューションを提供している。

小売店舗における品揃えの最適化

 「C-B4」は、小売店舗における売上実績(POSデータ)をもとに、商品の売上と販売数の関係性を学習することで、品揃えの最適化と売上の改善予測を行っている。

顧客サポートの自動化

 「Facebook」は通常電話で行っている配車や宅配などの応答自動化に取り組んでいる。メッセージアプリ「Facebook Messenger」に組み込まれたデジタルパーソナルアシスタント“M”はユーザーの問いかけに対し自然言語処理を行い、Uberなどの外部アプリのAPIに連携し、配車を代行する(ただし、現段階での“M”は人工知能と人力での応答との組み合わせとも言われている)。

DSPにおける広告入札設定の最適化

 「RocketFuel」などの機械学習を活用したDSPでは、SSPからの大量のビッドリクエストに対して、予測モデルを用いて入札している。過去の落札率(Win Rate)や配信した広告のCTRといったデータを入力データに用いて、入札単価やターゲティング条件、配信時間などをシステムが自動的に最適化する。

アドフラウド(不正な広告)の検出、防止

 「Drawbridge」、「AdTheorent」などでは、膨大な数の広告トラフィックから、ボットの行動履歴を蓄積・学習することで人間か否かの推定を行う。それによってボットなど人間以外のアクセスを検出し、ブロックあるいはレポートを行う。

キーワード、コピーのレコメンド

 「Persado」、「Textio」などでは、過去のキャンペーン実績データから、広告クリエイティブにおける効果的なキーワードやコピーを学習する。目標とするKPIやターゲティング条件の入力をもとに、KPI予測値や差し替えるべきキーワード、コピーをレコメンドする。

音声を認識する広告フォーマット

 「Nuance」は、ユーザーの音声を認識(※)することによって最適な商品(または広告クリエイティブ)を提示する。例えばフラワーショップの広告を表示後、 「どんな花が好きか」を音声で問いかけ、ユーザーの回答をもとに花束をレコメンドする。

※Automatic Speech Recognition(ASR)という技術によって音声を認識し、文章化する。そのうえで自然言語処理を行い応答する。

感情分析による広告効果計測

 「Affectiva」、「Emotient」などでは、広告やコンテンツを見たユーザーの顔の表情を、「ディープラーニング(深層学習:本連載第1回記事参照)」によって認識し、複数の感情タイプのうちどれにあたるか判別することで、広告やコンテンツの質的効果を計測する。

 これらの活用事例にあるように、マーケティング領域における機械学習は、処理の最適化や人間がおこなっていた作業の自動化といった場面で広く浸透している。

 たとえば、運用型広告における膨大な量の入札処理や不正検出のような人力では不可能な作業をはじめ、広告コピーの制作や広告を見た人の反応を把握するといったこれまでコンピュータでは難しかった領域にまで及んでいる。その範囲は、広告やECサイト、Eメールのみならず、メッセンジャーなどのスマホアプリやリアル店舗といった多様なチャネルに拡大している。


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