SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第100号(2024年4月号)
特集「24社に聞く、経営構想におけるマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MarkeZineオンライン法律相談所

第3回 通信販売広告表示の「はてな?」その2

今回はネットで通信販売や、ネットオークションへの出品などで行うときなどに、どうしても気になる「通信販売広告表示」についての疑問について、お答えしていきます(その1、その3)。

【質問】
 ネットオークションへ出品しているのですが、出品者も事業者として「特定商取引に関する法律」の表示義務がある、といわれました。どういうケースで必要となるのでしょうか?

【回答】

 「特定商取引に関する法律」(以下「特商法」)において規制の対象となっている者は、①「販売業者」と②「役務の提供の事業を営む者(=役務提供事業者)」です。

 ネットオークションへの出品者は落札者に物品を販売していることから、出品者が特商法上の「販売業者」に該当する場合は、通信販売広告表示事項(特商法第11条)を広告に記載する必要があります。では、「販売業者」とは一体いかなる者をいうのでしょうか?

 特商法に「販売業者」の定義は記載されていませんが、経済産業省のホームページによれば、「『販売業者(略)』とは、販売(略)を業として営む者の意味であり、『業として営む』とは、営利の意思をもって、反復継続して取引を行うことをいいます。なお、営利の意思の有無についてはその者の意思にかかわらず客観的に判断される」と解説されています。

 このように、法人であっても個人であっても、①営利の意思をもって、②反復継続して販売を行う場合は、「販売業者」に該当し、特商法の規制対象となります。

 それで次に、ネットオークションの出品者は、どのような場合に「販売業者」に該当することになるのでしょうか?

 ネットオークションにおける出品態様には様々なものがありますので、画一的な基準を設けることは困難です。しかし、経済産業省が策定したガイドラインによれば、「営利の意思」や「反復継続」の要件については、ネットオークション以外の場における取引も含めて総合的に考慮し、ネットオークションの出品者が「販売業者」に該当するか否かを判断するとされています。この考え方によれば、ネットオークション以外の場において事業者である者が、その事業で取り扱う商品をネットオークションに出品する場合は、その数量、金額等にかかわらず原則として「販売業者」に該当します。

 また、このガイドラインによれば、ネットオークション以外の場における取引の態様にかかわらず、ネットオークションにおいて次のような出品をする場合は、特段の事情がある場合を除き、当該出品者は「販売業者」に該当するとされています。

  1. すべてのカテゴリー・商品について
    1. 過去1か月に200点以上または一時点において100点以上の商品を新規出品している場合(トレーディングカード、フィギュア、中古音楽CD、アイドル写真等、趣味の収集物を処分・交換する目的で出品する場合を除く)
    2. 落札額の合計額が過去1か月に100万円以上である場合(自動車、絵画、骨董品、ピアノ等の高額商品であって1点100万円を超えるものについては、同時に出品している他の物品の種類、数等の出品態様等を併せて総合的に判断される)
    3. 落札額の合計が過去1年間に1000万円以上である場合
  2. 特定のカテゴリー・商品について
    1. 家電製品等について、同一の商品を一時点において5点以上出品している場合
    2. 自動車・二輪車の部品等について、同一の商品を一時点において3点以上出品している場合
    3. CD・DVD・パソコン用ソフトについて、同一の商品を一時点において3点以上出品している場合
    4. ブランド品に該当する商品を一時点において20点以上出品している場合
    5. インクカートリッジに該当する商品を一時点において20点以上出品している場合
    6. 健康食品に該当する商品を一時点において20点以上出品している場合
    7. チケット等に該当する商品を一時点において20点以上出品している場合

 このガイドラインに定める基準に該当しなくても、①営利の意思をもって、②反復継続して販売を行う場合は、「販売業者」として特商法の規制対象となりますので、ガイドラインに定める基準が絶対的なものでないことに注意する必要があります。

本稿中、意見にわたる部分は、筆者個人の見解を示すにとどまり、筆者の所属する法律事務所の意見を表明するものではありません。また、具体的事案により本稿中とは異なる結果が生じる場合があります。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
MarkeZineオンライン法律相談所連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

笹倉 興基(ササクラ コウキ)

弁護士(東京弁護士会所属)。1995年早稲田大学法学部卒業。1999年弁護士登録。黒田法律事務所において、特許権、商標権及び著作権といった知的財産権に関する案件、ベンチャー企業の支援を担当している。また、M&A・事業再生・リストラクチャリングや民事再生などにも注力しており、ビジネス法務の分野において第一線で活躍中。ネットビジネスに関連する法律に精通している。 www.kuroda-law.gr.jp

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2006/10/19 12:00 https://markezine.jp/article/detail/291

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング